企業の内部留保
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- 2009/01/19 12:21:29
某ブロック紙朝刊の1面コラム。
「吝嗇」というタイトルで、企業の内部留保に触れている。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/fourseasons/141624.html?_nva=1
吝嗇(りんしょく)とは、ケチという意味で、石川啄木はそれを「しみったれ」
と読ませ太宰治は「つましさ」と読ませたそうだ。
なるほど、一つの言葉を2面からとらえると、良くもとれるし悪くもとれるんだ
な。勉強になったぞ。
で、読んでいくと、景気拡大期に企業は利益を人件費に回さず、「貯金」した。
利益を生み出したのは低賃金で働く労働者だった。
いま、大企業が業績を低く予想して、(内部留保を雇用に吐き出さないのは)
つましいのか、それとも?
みたいな内容。
読み間違ってるところがあるかもしれないので、よければURL先を。
1面にコラムを書くくらいの書き手なので、きっと内部留保が何を指しているか
っていうのは解って書いてると思います。
で、どうしたらいいんでしょうか。
「大手企業が今後の業績を低く予想する「つましさ」」
大概、上場企業は、株価を維持するために、業績を高く見積もりたい傾向が
あると思います。一方で、高い業績予想に比して決算が低くなるまたは、下方
修正が続くと、投資家は企業の業績予想を信頼しなくなり、より低い株価評価
をします。
業績予想を低く予想しているのは、「つましい」わけではなくて、やむを得ず、
誠実に発表しているにすぎないと思います。
別に、派遣職員を契約解除することを正当化するために出してる数字では
無い。
内部留保は、税引前利益から税金を引き、株主に配当した分の残りです。
これは、株主に属するものと考えられます。
だから、株主は、内部留保を会社が投資して、株主の期待する増え方をする
と考えれば、配当を少なくして内部留保を大きくする配当政策を支持します
し、もうその会社に有効な投資手段がないと考えると、大きな配当を要求し
ます。
その判断は、株価に表れます。だから、必ずしも今の配当性向の高い会社
の株式が高くなるかというとそうではない。配当が低くても、内部留保が将来
の利益を期待以上に生み出すと考えると、株価は高くなります。
だから、内部留保のない会社っていうのは、ひとつは「利益を生み出してい
ない会社」。利益を生み出していない会社は、税金も払ってません。
もうひとつは、投資をせず、利益をすべて株主に配当している会社です。
企業は、必要最小限の現金しか持っていません。現金は、持っているだけ
では価値を生み出さないからです。だから、内部留保も、そのほとんどは、
設備投資やその他の投資に化けてます。
今、蓄積した内部留保を、赤字を出して吐き出そうとするには、僕の思いつく
限り、①決済用の準備金を使う②設備や関連会社の株式を売却する
③投資し得た固定資産を担保に、銀行の融資を受けてそれを使う。
くらいしか考えつきません。
①は、当面の資金繰りに大きく影響し、倒産しかねません。②は、当面の
資金は確保できても、将来の収入を犠牲にします。先の雇用をもっと悪く
する可能性が高い。③は、利子の返済の為に、今まで以上にコストを圧縮
する必要性が出ます(コストには当然人件費も含まれます)
僕は、製造業が内部留保をまだたくさん持っているっていうことは、先の成長
に向けての準備があるということだと思います。
内部留保を吐き出し始めたら、それはもう日本の製造業はこの先成長しない
ってこと。
以上は、政治経済素人である☆☽いくじろうの勝手な意見です。
新聞の1面コラムを書く大先生の言うことが、正しいに決まっています。
そうなんですよね。
コラムニストのこういう手法に、怒っていいのか、スルーすべきなのか。
実は、毎度悩んでいます。
毎度毎度、バカの一つ覚えのように、誇大表現でしか読者を引きつけられな
いコラムニストなのだから、こういう誇大表現も仕事を得る為の手段なのだと、
スルーしてもいいのではないか?と思う時もあり、
自身の仕事の為とは言え、読者を意図的にミスリードするなんて、問題だろう
という思いが交錯するんですよね。
やっぱり、私もまだまだなんだと思います。
僕の書き方も、ちょっと間違ってる。
内部留保を投資に回すっていう言い方は、ちょっと無いかも。
企業が自由に使えるお金として、フリーキャッシュフロー(FCF)の額で
説明すれば、正しいのかな。
でもFCFだと、センセーショナルな金額になりようが無い。
コメントありがとうございます。
「”もしかしたらそういう企業もあるかもね”というお話をしているのだ」
この逃げ具合が、カチンとくるんですよね(笑)
ほとんどの、会社とか経済のことを知らない読者は、
「労働者を搾取してけしからん(怒)内部留保を吐き出せ」
なんてミスリードされちゃうんですよ。
しかも、書いた人間は断定していないんで、何の責任もない。
会社だって慈善事業じゃないし、先を見越してお金を運用できなければ、
潰れてしまいますから、内部留保を持つということは、経営者たるものの
手腕の一つでしょう。
もちろん、バランスというものもありますけれど。
で、問題のコラムですが、ニュアンスをかもし出しているだけで、なんら断定的
な見解を示していませんから、読者としては、
企業側が、良識の範囲を超えた内部留保を持っているのだという確証がない
ままに、「”もしかしたらそういう企業もあるかもね”というお話をしているのだ」と
いう受け止め方でいいのだと思います。
コラムを書いている人もお金を稼がなくてはいけませんからね~(-_-;)
ちょっと新聞の書き様にカチンときたんで、長くなっちゃいました。
僕も某外資メーカーに就職したいなと、大学出たとき思ってました。
アメリカの会社の給与が高いのは、キャッシュフローを生み出す
人材には金を惜しまないからかなあ。
先月まで通っていた会社は、
外資(アメリカ)でしたが、利益はほぼ社員に還元されてたせいか
お給料は相当良かったです
ただ、1年に2社程を買収したりで、その度に社員の顔ぶれも変わったり、
社名もかわったりで、落ち着きのない会社でした
そんなこんなで、リーマンに始まってアメリカでも不況到来で
とうとう今年、吸収合併されてしまうそうです
また社名も変わり、顔ぶれも変わるんだろうな・・
これから厳しくなっていくようです
あ、何か少しずれたようでごめんなさい