透明な彼女 4
- カテゴリ:自作小説
- 2010/03/30 14:43:34
どうして? 何これは? 意味が分からない。 亮太の謎の行動に戸惑い、おかしくなってしまいそうだった。
「ありがとうね……どうぞ」
母さんもすんなりとそれを受け入れている。何を言ってるの? 私はここにいるじゃん。ずっと一緒にいるじゃん。
「か、母さん!」
慌ててそう声を出した。だけど私を無視して母さんは家の中に入っていった。亮太のお母さんと同じように、無視されてしまった。何がどうなっているんだろう。 その時、またあの頭痛が襲ってきた。
「痛っ……」
痛みをこらえ、家の中に入る。頭痛をこらえながら私はあの感覚を思い出していた。 何か大事なことを忘れている気がする。それがもうすぐで思い出せそうなんだ。ここに答えがあるって、この痛みが訴えている。
「結衣、ここだよ」
亮太が立ち止っていたのは、和室の前だった。襖に手をかけて、私がやってくるのを待っている。痛みに顔を歪ませながらも、そこへ近づいた。 ここに、私が忘れているものがある。 亮太が襖を開けた。
「……え?」
一瞬、何が起きたのだろうと思った。頭痛さえも忘れてしまうくらい、何かが止まった気がした。
その瞬間、頭の中にひとつの映像が流れこんできた。 亮太とのデートに胸を弾ませ、笑顔で歩いている私。交差点に差し掛かったところで、鳴り響くクラクション。振り向くと、迫りくる大きなトラック。そして目の前に大空が広がった。そこで映像は終わった。
私は全て思い出し、言葉を失っていた。目の前にある線香と額縁に飾られた自分の写真。それが何よりの証拠。
私は死んだ。
全ての辻褄が繋がってしまった気がした。あの日、亮太の家で目覚めたのはきっと、しんだ瞬間まで亮太のことを考えていたから。彼の家に行くことが楽しみで仕方なかったから。ただ、トラックと衝突して頭を打ち、記憶が飛んでしまっていたんだ。
「私、死んでたんだ」
やっと呟いた一言。隣の亮太が頷いた。
「結衣が死んで、葬式が終わって帰ったあの日。部屋にお前がいたんだ。びっくりしたよ。たった今、骨になったはずのお前がいたんだから」
亮太が話すことは、夢のようで現実のことだった。
「幽霊でもいい。俺は結衣と一緒にいたかった。忘れているなら好都合だと思った。だから結衣を閉じ込めてたんだ。自分が誰にも見えない幽霊だってことに気付かせないために」
そうだったんだ。そうなると、今までの謎の行動に納得がいった。そして亮太のお母さんと、私の母さんに無視された理由も。それは簡単、見えてなかったんだね。
「ずっとずっと、そうして一緒にいたかった。だけど母さんに無視されたって、悲しそうに言うお前をもう見てられなかったんだよ。結衣が死んでることに気付かないのを良いことに、お前を閉じ込めて、無理矢理一緒にいようとしてる自分が憎くて堪らなかった」
亮太はそう言うと、涙を零した。いつの間にか私も泣いていた。だから亮太はいつも悲しそうに笑ってたんだね。笑顔の裏で、大きな罪悪感を抱えながら一緒にいたんだね。気付いてあげられなくて、本当にごめんなさい。
「私、今なら分かるよ。何で亮太にしか私が見えないか」
「え?」
「亮太がこの世で一番、大切な人だからだよ」
そう言うと、亮太は涙を更に流して俯いた。小さく嗚咽が漏れてきた。
「ごめんね。私ずっと一緒にいたかったのに、死んじゃった。もう一緒にいられない」
胸が締め付けられるように痛くなった。もう死んでいるのに、感情はちゃんと残っているんだね。どうせなら、こんな惨いことせずに一瞬に消えてしまいたかった。
神様は残酷だ。私と亮太に、こんなにも辛い別れを訪れさせるなんて。
お互い涙でもう前も見えない。二人のすすり泣く声だけが、この狭い和室に響いていた。
「亮太、そろそろ私、行くことにする」
このままお互い一緒にいると、私はずっと幽霊で居続けたいって思ってしまう。そんなことしたら一生亮太は幸せになれない。私がいたら新しい恋人も作れないし、きっと忘れることができなくて、触れることができなくて苦しむ。私は消えなければならない。
「行くなよ。一緒にいろよ!」
亮太は情けない泣き顔でそう叫んだ。私も同じだよって叫びたかった。だけどしっかりと口を噤んだ。
「私、亮太に会えて良かった。最後にこうして亮太にちゃんとお別れ言えて良かった」
頷く亮太。きっともう、どうにもならないことを分かっている。口では引きとめているけど、ちゃんと分かってくれる人だから。
「亮太がいて良かった」
「結衣がいて良かった」
私たちはお互いそう言い合うと、目を合わせて笑った。
そして、私は笑顔のまま消えた。
終
月白ちゃん
読んでくれてありがとう(;ω;)
感動してもらえるとこっちが感動やw
最後のシーンは結構悩んだからそう
言ってもらえるとありがたい♪
純ちゃん
こめんとありがとう(^ω^)
そう言ってもらえるとすっごい嬉しいよー((;ω;))
ありがとうありがと!
最後 よかったよぉー!
最後のシーンが超よかった!
ゆうかちゃん
感想いっぱいありがとう!
途中途中に誤字脱字発見したし助かったわ☆
そんな風に言ってもらえて嬉しいよ(;ω;)
ランちゃん
見てくれてありがとうーっ!
これは本当ふとしか拍子に思いついた話で、
なんか書いててこっちが悲しくなったわw
残念だったね。結衣ちゃんの真相か...
寂しいけど、ハッピーエンドってゆうやつだよね
最高なお話だったよー
文句なにひとつあらへんでー
やっぱ死んぢゃってたんだ。
予想ついてた))黙r
すげぇえぇ
本格的ぃぃぃ
スゲスゲスヘ