Nicotto Town


妄想系音楽論


Vienna, Part 1

Keith Jarrett「Viena Concert」

Keith Jarrettのピアノに出会ったのは学生時代、生協で何の気なしにこのCDを手に取ったときでした。もともと即興でピアノを弾く人だということは知っていたのですが、好き好んでザラザラした音を聞いていましたので、こういう音楽に出会う機会がなかった。視聴もせずに買って帰って、その音の広がりの深さに驚愕し、少しずつジャズの世界にも興味を持っていくようになりました。

41分53秒もの長い演奏ですが、穏やかで静かなリフレインから始まる演奏は、夜の森の中で焚き火を見つめている旅人のような気持ちにさせられます。はじめは小さく、穏やかな光に包まれて、炎の暖かさを好もしく感じていますが、炎とともに薪の形が刻一刻と変化していくように、演奏もゆっくりと雰囲気を変えて行き、少しずつ、見つめる炎に引き込まれるように本当に少しずつ激しさを増して行きます。いつの間にか旅人は抑え切れない激情に駆られて、炎をはじめは思ってもみなかったような大きな、熱い光のほとばしりにまで大きくしてしまいます。自分の身の危険をも感じるほど大きくなってしまった炎は、それでもやはり少しずつ、徐々に落ち着きを取り戻し、ふと気づくとはじめのような穏やかな、優しい光と暖かさの中に収束して行きます。それはまるで、焚き火を見つめる旅人が、炎の中に自分の人生を見出して過去の亡霊に出会ってしまったかのような不思議な時間です。

人によっては、「海」と印象を述べる人もいます。感じ方の違いは原体験にもよるのかもしれませんが、優しくもあり、危険でもあり、何か人知を超えた大きなものに触れるような思いになるのは共通しているようです。

Keith Jarrettのソロ・ピアノの中ではそう人気が高いものではありませんが、その後いくつもの傑作を聴いているとしても、やはりぼくはこのVienna, Part 1が好きです。

↓これは冒頭部分だけを紹介しているようです。
http://www.youtube.com/watch?v=DrruQSGFir4

※ Keithのクセで、演奏中に自分が弾いているメロディを鼻歌でうなっていたり、足を踏み鳴らしていたりするのがマイクに拾われています。Keithの演奏の好き嫌いが、ここで分かれるようです。

#日記広場:音楽

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2010/04/06 18:10
>ユウキ
なるほど、空ねえ。確かにそういう感じ方もあるのか。
ぼくはずっと勝手に炎しかないと思い込んでいたのだけど、やはり感性は個性なのだねえ。

>ericさん
昔ワタシの上司にグラピを持ちつつ転勤している人がいました。
3LDK中央のリビングはほぼグラピで占領され、テレビはグラピの下に寝転がって観ていたそうです。

>イッテンバッハさん
ザ・プログレ!1曲目のインパクトに比して、メロディの強い、ドラマティックなアルバムですよね。
スティーヴン・キングの「ダーク・タワー」を読みながら一部この曲を思い出してました。
…ずっと聴いてると疲れるけどw
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2010/04/05 18:27
以前は聴きどころのはっきりした音楽にしか興味を持てませんでしたが
こうした内省・内観を促す音楽に、心惹かれるようになりました。

目をつぶって聴いていると、イメージが立体化するような気がします。

King CrimsonのThe Court Of The Crimson Kingを聴いていると
宇宙や天地創造といった壮大なイメージが広がってくるから不思議です。
英語がわかんないから、なおさら勝手に想像が膨らみますw
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2010/04/05 15:46
いいですね**
…最近妙にピアノが弾きたくて
実家に残されたピアノを送ってもらおうかと思ったり(置く場所なんてないのに;)

あと、パイプオルガンの音が好きなのでコンサートに行きたいのです。
少し前に1000円で観られる機会があったのですけど、体調が悪いので結局行けず。
チェンバロも生で聴いてみたいです♫

※ブログと関係ない話ですみません
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2010/04/05 10:51
いいですねぇ
これ
すごく 好み でした!!

私的に 空 ってイメージでした~~



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