Nicotto Town



夜に帰り道を歩いていると、たまに出会う猫がいる。
三毛猫で尻尾が長く、鈴の首輪をつけている。
人慣れしている様子からも飼い猫だろう。

歩いていると鳴きながらこちらに近づいてきて足にまとわりつく。
しゃがむと体を寄せてくるが、触ろうとするとするりと逃げていく。
しかし歩きだすと進路をふさぐように走ってくる。
ある交差点に差し掛かるとついてこなくなる。
不思議なやつだ。
だから私はたまに出会うそいつを「不思議猫」と呼んでいた。

ある日、再びそいつが現れた。こっちをみて鳴いたので、私も口笛で応えて
しゃがんでそいつを待った。

少し遊んでいると、「あら、めずらしい!」と声がした。
振り向くと、おばさん二人が不思議猫と私を見ながら話をしていた。

その二人と少し話をした。
二人は不思議猫の飼い主さんだった。
不思議猫はメスで、基本的に室内飼いなのだがたまに脱走するらしい。
人慣れはしているが他人に自分から近づくことはほとんどなく、
ましてや鳴くことはないらしい。
「お友達がいたのねぇ~」とおばさん。
色々話した後、挨拶をして別れた。


私はなぜか猫に怖がられるタイプだ。
私が見つめると猫は大体猛ダッシュで逃げていく。
だから不思議猫はものすごく人慣れしてるだけだと思ってた。
餌をあげたわけでもない。会ったのも3~4回で、そこまで顔見知りなわけでもない。
不思議猫は一体私の何を気に入っているのだろうか。
色々分かっても、やっぱり私にとってそいつは「不思議猫」だ。




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