菓子折りを受け取り、Ｃ弁護士に促されて全員席に着きました。
席順は一番奥がわたし、右隣が母。
わたしの正面が空席で、その右（母の正面）がＣ弁護士、
そしてＤ弁護士・犯人・奥さんの順で座りました。
会議用の部屋だったので、正面の人とは十分な距離があります。

Ｃ弁護士が
「慰謝料の件なんですが、
いかほどお支払いさせていただければよろしいでしょうか？」
と聞いてきました。
　　　　　　慰謝料ぉ！？？
慰謝料なんてもらえるの(・・;)？？
しかもいかほどって。。。。( ･´ω`･ )！？？
わたしが
「金額はおいくらくらいで考えてます？」
と聞くと、奥さんが
「わたくしどものできる限りの金額をお支払いさせていただきます。。。
こんなことで○○さんの傷が癒えないことは重々承知です。。。」
と＠＠；
「具体的な数字をいってもらわないとこちらも困ります(-"-)」
というと、Ｃ弁護士が
「わたしの上司に相談したらこの案件の場合、30万くらいが妥当だといってました。
わたしが今までに担当した痴漢被害の場合、ほとんどが5万～10万。
よくて15万でしたから、30万満額受け取れた方は見たことがありません。」
といいました。

悩むわたし。
しばしの沈黙。。。。

わたしが
「奥さん。わたしが30万といったら即支払えますか。
支払った後、これからの生活は成り立ちますか。」
と聞くと、隣りにいるダンナと相談して
「はい、すぐにお支払いいたします。
わたしたち家族の生活のことまでご心配いただきまして、
本当にありがとうございます。。。。」
と、奥さんは涙ポロポロ(´△｀)；
「本心をいえば300万はいただきたいところです(-"-)
でも、これからご主人の収入も不安定になってきますし、
引越しも余儀なくされるでしょうから慰謝料は30万で結構です。
わたしはこれまでずいぶんあなた方には寛大に配慮してきましたけど、
それもこれが最後です。
生活費が足りなくなったら奥さんも働いて、お金の価値を身をもって知ってください。
頼ってきたご主人は前科一犯の犯罪人で、もうアテにはできませんよ。
それから愚か者のご主人は、
苦渋を舐めながらご家族のために生きていってください。
慰謝料が振り込まれた時点でわたしとあなた方との関係は終わりです。
この一件で一家離散になろうが、
離婚して路頭に迷おうがわたしの知ったことではありません。
性犯罪を犯した者にくれてやる情けはこれ以上持ち合わせてませんので。
慰謝料が30万ぽっちで済んでラッキーだったと思ってください」
というと、ふたりは目頭を押さえながら深々と頭を下げました。
わたしが慰謝料の金額が書かれた書類に署名・捺印し、弁護士さんたちと
この事件のことについて話をしていると、
遠い目をしていた奥さんがいきなり語り始めました。
「わたしは主人が大好きでした。。。
主人と話していると、まるであやとりをしているように何時間も何時間も
楽しい会話が続いて途切れることがないんです。
わたしは子供たちより主人のことが大切だったんです。。。。
朝、主人が出勤するときは、姿が見えなくなるまで見送りました。
夕方になると、お夕飯の支度をしながら主人の帰りを今か今かと待ち焦がれて。。。
門の開く音がすると、
お夕飯を作っている手を止めて主人を門のところまで向かえに行くんです。
これがわたしたちの幸せな毎日でした。。。。
それなのにこの人は裏切ったんです!!
わたしたち家族を裏切ったんです!!
もう、憎くて汚らわしくて、この人とやっていくことはわたしにはできませんっ!!
こうして隣に座っているのさえ不潔で許せないんです!!」
あまりにも突然だったので、わたしたちはあ然～∑(￣□￣;)ﾅﾝﾄ!!
奥さんは完全に自分だけの世界の住人になっていました。。。


奥さん、突然の乱心です。。。。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく