童話に救いはあるのか(1)
- カテゴリ:小説/詩
- 2009/02/05 07:22:08
先日、こぶとりじいさんの創作スレ立たせていただきました。
参加してくださった方ありがとうございます。
途中から参加しようにも内容がアダルティすぎましたねぇ・・笑
はなとんが無理やり終わらせてくれましたw
さて、なぜ「こぶとりじいさん」だったのか。
きっかけは朝のラジオのトーク番組でした。
あたし実はあまりこの童話のあらすじを覚えていなかったんです。
夕方、学校から帰ってきた息子とこんな会話をしました。
こは「こぶとりじいさんの話、知ってる?」
お子「うん。知ってるよ。ママ知らんの?」
こは「うん。教えて」
息子はあらすじを大方覚えていました。
大体こんな流れです。
1)顔にこぶのついた二人のおじいさんがいます。
2)ある日一人のおじいさん(A)が山の中で、鬼たちがどんちゃん騒ぎを
しているところに遭遇します。
3)最初は恐る恐る見ていましたが、鬼たちがあまりにも楽しそうに踊って
いるので、自分もつい踊りだします。
4)鬼たちはおじいさん(A)の踊りがたいそう気に入り、その褒美として顔についた
こぶを取ってあげます
5)その話を聞いたもう一人のおじいさん(B)が、自分もこぶを取ってもらおうと
同じように山の中へ行きます。そして鬼たちを発見します。
6)おじいさん(B)は一生懸命踊ってみましたが、その踊りが下手だったので
鬼たちは怒り出します。
7)おじいさん(B)は、おじいさん(A)から鬼たちが取ったこぶをもう一つ付けられ
泣く泣く山を降りていきました。
話を聞いた後、息子にこう尋ねました。
こは「例えばね、金の斧と銀の斧の話があるよね?金の斧をもらって帰った
男の話を聞いて、同じようにするんだけど、その時嘘をついちゃって、結局
斧を返してもらえなくなるよね。舌切り雀でも、大きなつづらと小さなつづら、
欲を出して大きなものをもらおうとするからバチがあたったんだよね?
こう考えると物語って、何かを伝えたくて書いてるものってたくさんあるよね。
嘘をついてはいけません。欲を出してはいけません。
じゃぁ、おじいさん(B)はなんでこぶを付けられたんだろう?」
物語ではおじいさん(B)を「いじわるなおじいさん」と記述してるものも
ありますが、あらすじとおじいさんの性格にはあまり関連性がありません。
そう、おじいさん(B)はいじわるだからこぶを付けられたんじゃないんです。
彼はこぶを取ってもらおうとそれなりに一生懸命踊りました。
でも、その踊りが鬼たちに受け入れてもらえなかっただけなんです。
今読んでいる村上春樹の小説「ダンスダンスダンス」にも似たような
記述がありました。「僕は踊らなければならない。それも”とびっきり上手に”・・」
この「踊る」という表現は比喩です。目的を達成するまでは足を止めずに
周囲が惚れ惚れするくらい踊り続けるのだ。そうしないと、これからも僕は
損なわれ続けるだろう。そして周囲の人間を傷つけていくことになるだろう。
そこには自分の置かれた現状をどうにかして打破しようとする人間のひたむき
な想いが込められています。
昔話や絵本や童話、あらゆる物語に意味があるとするならば
この「こぶとりじいさん」にも意味はあるはずです。
一見教訓が無いような、救われないお話は数多くあります。たとえば
王子とツバメの哀しい物語。
雪の降り積もる中、裸足でマッチを売る少女の話。
小さな花と小さな小鳥がかごの中で冷たくなっていく話、
紙で出来た踊り子に恋をして暖炉に飛び込んだ木の兵隊。
思いを伝える声も無いままに海の泡になった人魚姫。
そして、「ちいちゃんのかげおくり」(*これには戦争はダメだという強い思いを感じますが
(長文のため続く)

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- ☠とらねす☠
- 2009/02/05 09:21
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