Nicotto Town


こはるびより ⁰㉦⁰๑ 


いつか、どこかで読んだ短編集だった。

1冊の短編集に収まってた、短い小説。

施設で育った少女が毎晩勉強しながらビートルズのCDを聴いていた
一般の家庭にはありふれているようなガラクタを、彼女は何一つ持ってなかった
CDプレーヤーと1枚のCDは前その部屋に住んでいた施設の子が
残したものだった。彼女はそれを毎晩聞きながら勉強した。
それしかなかったから。CDのタイトルは「ラバーソウル」

 どうでもいいがラバーソウルのラバーは愛ですかそれともゴムですか?
 個人的にはゴムであって欲しいなどど思いつつ読んだっけw
 (むしろゴムが愛です)

少女はやがて医師になった。医者になれば死ねると思ってた。
母は少女が小学校に入ったばかりの頃、
幼い姉妹を残して、見知らぬ男性と心中した。
父親はその後暴力を奮う様になり、姉を殴って殺した。
残された少女は、自分も死ぬ道を選んだ。
だけど、どうすれば死ねるか分からなかった。
死ぬために、その知識を得るために、彼女は必死で勉強をしてきた。

姉の死は自分が見つけた。
毎晩酔って暴力を奮う父が、自分に暴力を奮おうとしたのを姉が助けてくれた。
そのせいで姉はひどく父親に殴られ、家具に頭をぶつけてしまう。
朝、姉を起こそうと身体を揺するが反応がない。
身体が冷たかった。温めないきゃと思った。
妹はヒーターをつけ、姉の身体を毛布でくるんで、一生懸命さすってた。
学校に来なかったのを心配した教師が家を訪れ、その光景を見つけた。
「おねえちゃんが冷たいの。温めようと思ったの」
そういう彼女を教師は何も言わずに引き寄せ、強く抱きしめた。

やがて大きくなった彼女は、母親の死の真相を知らされる。
母親は、ある既婚者の男とホテルの部屋で心中したのだが
その男は病魔に犯され残り僅かな命だったこと。
男と女はお互いがばらばらにならないように紐で身体を
くくりつけ、ダイナマイトで爆死という道を選んだ。
肉片が飛び散らないようにシーツで囲いを作っていた。
死んだ後も別々に埋葬されてしまうのが分かっていたから
どっちの肉か骨か分からなくするためにそうしたのだ。

その短編のタイトルはそれからずっと忘れられない。
「SOUL CAGE」ソウル・ケイジ。

たくさんの本を読んできたあたしが偶然読んだ
たった一つの短いお話だけど
どうしてこれほどまでに心に残っているんだろう
それも、ある種の親密さをもって。

施設を出るとき少女は
そのCDプレーヤーと1枚のCDをそのまま部屋に残してきた
次にその部屋に入る、見知らぬ後輩のために

あたしたちが知らないだけで
きっと不幸な子供たちはたくさんいる


#日記広場:小説/詩

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2009/02/07 11:17
。:゚(。ノω\。)゚・。
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2009/02/06 09:40
ん~奥が深い話ですね・・・・
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2009/02/06 09:20
その短編小説気になるなぁ
今度詳しく教えて。

寝たきりの両親を殺した子供のニュースとかやってるけど
ただ単に、邪魔だから殺したとかじゃなくて
きっと、俺たちじゃ計り知れない何かと抱えて犯行に及んだんだろうね。
そういうニュースを聞くと、無性にやるせない気分になるね。

ちなみに、ラバーソウルってノルウェーの森が入ってるやつだよね。
このラバーってのは、プラスティック(まがい物の)って意味らしい。




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