【街の入り口】
「おっし！街の入り口についたぞー」
はぁ・・・はぁ・・・速すぎる・・・
「つ・・疲れた・・」
「こんなんでへばってるんじゃねーよ」
「だって・・・」
そういいながら前を見た
「・・・・・・・・・・・・・！？」
おどろいた。声も出なかった
「ん？どした？」
「ここって・・・私の街・・・？？」
そう、私が生前住んでいた町にそっくりだったんだ
「・・ああ。この世界とお前の住んでいた世界はほとんど同じだ
　町並みも・・・暮らしている人も。」
「！！じゃぁおかあさんに・・！！」
「いや、それは無理だ。」
・・なん・・で・・？
「お前は相手のことがわかるが、相手からお前は認識されない。」
認識されない・・？？
「マンガみたいに相手の体を通り抜ける、ということはないが
　たとえ知っている人とぶつかったとしても相手はお前を認識せず
　ただ謝って通り過ぎるだけだ」
「そんな・・・
　声かけたら・・！？」
「相手は変な顔して通り過ぎるだけだ。」
・・・・・
ほんとに泣きたくなった。自分の街なのに・・誰も自分がわからないなんて・・
「そんな泣きそうな顔すんな。さっさと生き返ればいい話だ。」
・・・
「・・・いくぞ」
そういって見慣れた町中を進んだ
通っていた学校・・・親友の唯の家・・・
途中見慣れない建物があった
「龍輝・・・ここなに？」
「ああ、お前が見覚えのない建物はほとんど宿屋だ。
　そこのやつらだけは俺らを認識することができる。
　まあまだそんなに暗くないし、もう少し歩いてみるか？」
「・・・うん」
と、龍輝の目の前に車が飛び出してきた。
「・・・！！危ない！！！」
ぶつかりそうになって、私は目をつぶってしまった
そして、目を開けると・・
「・・？何してんだお前。」
龍輝は何もなかったかのように立っていた
「なにしてんのって・・車！！」
「ああ、俺のことはみんなとおりぬけんだよｗ」
「はぁぁぁぁぁぁ！！先言ってよね！！！
　本気で心配したじゃん・・！！」
「わりい☆ごめんな？」
「いいよもう・・・」
そこで旗と足が止まった
「どした？」
「・・・私の家。」
ついこの間まですんでいた、私の家。
何も変わってなくて、少しほっとした。
「ちょっとのぞいていい？」
「・・いいけど、きっと傷つくぞ・・」
龍輝の言葉には耳も貸さず
家の中に走っていった。
「・・・？？」
家の中には暗い空気が漂っていた。
目に見えないわけではないので足音を立てないようそっと歩いた
今日は平日だから誰もいないはずだが・・・
まず私の部屋を見に行った。
何も変わっていない。
最後に家を出たときから、一回も手をつけられていないようだった
気になるのはほこりが積もっていることぐらい
「掃除くらいしてくれたっていいのに。」
そう思いながら部屋をあとにした。
階段を下りて廊下を歩いた
数日しかたってないはずなのに懐かしく感じられた
「・・・？」
リビングの前まできた。
そこからすすり泣くような声が聞こえてきた。
気になって、ドアを開けてみると・・

家族がみんないた。
みんな泣いていた。
今にも死にそうな顔で
「おとう・・さん？おかあ・・さん。。陽汰まで・・・」
みんな今日は仕事や学校があるはずなのに・・・
どうして、と思いかけたところで自分が死んだことを思い出した
そうか、私が死んだからだ。
だからみんな悲しんでいるんだ
改めて自分の死を認識させられた
いっそ、「私は生き返れるんだよ！」といってあげたかった。
でも、私の声はみんなには届かない。
耐えられなくなって、家から飛び出した。
「・・・どうだった」
「・・・・・・・・ごめん。今は答えられない」
「そっか。」
龍輝はそれ以上聞いてこなかった
自分が死んだと言うことを再認識させられるのは苦痛だった。
ずっと忘れていたかった現実。
生き返られるとわかっていてもつらかった
家族をあんなに悲しませたことが、つらかった。
いっそ、消えてしまいたい
そんなことをおもっていたら・・
「おい、まさか消えたいなんて思ってないだろうな？」
龍輝に考えを言い当てられて目を丸くした
「おい、ざけんじゃねーぞ？こっちはどんだけ苦労してるとおもってんだ。
　家族を悲しませて申し訳ないとか思ってるんだろ？んなこと思うぐらいならさっさと材料探
　せ。」
龍輝の言葉に反論できなかった。
わたしたちはまた、歩き始めた。

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