Be My Love
- カテゴリ:音楽
- 2010/08/01 00:16:20
Keith Jarrett 「The Melody At Night, With You」から
今さらながらなんですけど、今日テレビで「容疑者 室井慎次」ってのを初めてちゃんと観まして。まあ設定とかはいろいろ突っ込みどころ満載だとしても、それなりに観られちゃいましたね。割と面白かった。ほとんど灰島法律相談所の面々のおかげで。
いや、そんなことよりもビックリしたのは、突然キースのピアノが聴こえてきたところです。一瞬聴いただけでそれと分かるキースのタッチはやっぱり独特なんだなあと思いました。あ、喫茶店のシーンですね。室井が恋人の死について振り返るところ。
その「Be My Love」という曲が収録されたこのアルバムは、キースが慢性疲労症候群という原因不明の難病のために再起不能といわれた暗黒の数年間から抜け出そうとするまさにその時に、じっと待ち続けたファンにごほうびのようにそっと送り届けられたアルバムです。まだスタジオに通えるほどは回復していなかったために、自宅で録音されたというスタンダードの名曲たちは、いつものECMのような氷のようにクリアなクオリティではありません。それにキースのタッチも時々もたっているし、ミスタッチもあったりしますが、そんなことが全部どうでもいいと思えるくらい、このアルバムにおけるキースのタッチはどこまでも優しく、あたたかい。ウィルヘルム・バックハウスが心臓発作を起こしながら演奏したシューベルトに通じるような、透き通った、いつわりのない優しさ。音楽の至宝。
そんなキースの優しさが、やや…いやかなりくっさいあのシーンをもあたたかくしていましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=zE2WAURZC8c
ちょっと尊敬…。