ハワイ到着1日目
ホノルルに着いたらジョージさんが迎えに来ていて、奥さんと、その隣にカッコイイ男性がいる。

一通り挨拶の後、その男性が私のところに来て、「ハーイ・レイ」。

エェこの人誰？167㎝の私が見上げてだから180㎝以上はある。
よーく見たら、ジョージさんの息子のケンじゃないの。

私より一つ年下で、前に会ったのが中学生の時だったから、私の方が背が高かったし、子供の時のイメージだったから分からなかった。

「ハーイ・ケン」。

肩に手を置かれて見上げると、なんかドキドキしてきて、なんかマズイ。

ジョージさんの家に着くまでは、私とケンは一緒のシート。

日本語が通じるので一安心。

ジョージさんは生粋の日本人で、パパの学生時代からのお友達で、奥さんはアメリカ人だから、ケン君は２世になる訳で、運転席と助手席ではジョージさんとで日本語、真ん中の座席では奥さんとママとで英語、後部座席ではケン君と私とで日本語？変な感じ。

ジョージさんの家についてシャワーを浴び、派手目にお化粧し直して着替えると、「うん、我ながらまんざらでもない」と、リビングに入るとケンが「･･･レイ･･ビューティフル･･･」とか言って抱きしめられ、こっちがお姉さんという自信が揺らぎそう。

その後ママが入ってくると、ジョージさんまで「ワオ－」。

ド・ハ・デ、でも決まってる。

いい年こいて、でも、これはイカン負けてるかも。

シカモ、私を見て「ドウダ！あんた、私と競うのは10年早いよ」と言わんばかり。

流石に年期が入っているわ。その差は認めるとして、私の武器は若さだ。

どんなに頑張ってもこれだけはどうしようもあるまい。

親子で火花を散らしているのをかわすように、パパはママを連れて車に、そして私はケン君の車に。

若くてカッコイイケン君はどこでも女性群に注目される。

で、私は、誰が見てもケン君の彼女に見える様な。

本当は『カッコイイ男の子を連れて歩く魅力的な女』を演じるつもりだったのが、これじゃぁ逆じゃん。

それにケン君たら、私と歩くとき、いつも、私のウエストの上あたりに手を回しているから、私はいつも彼に寄り添って歩いているような。

これはイカン、どこかで挽回しなくては。

と、思っていながら、決定的だったのは、その夜のジョージさんの家のパーティーで賑わい始め、私が2階テラスに居るとき、下から呼ばれて、庭に降りる階段の途中に来たとき、ケン君が迎えに上ってきたので、カッコつけて右手を差し出すと、ケン君がその手を取ってエスコートして階段を下りる形に、みんなの注目の的。

庭に出ると私たちに歓声が、知らないおばちゃんが私達にキスの祝福？

ケン君を取り囲んだ人たちは「若いのに、このォ女たらし」「日本から彼女を呼んだのか」とか言ってるらしいけど、英語なので良くわからない。

その人たちにも手を振って明るく振る舞ったけど、内心

ヒジョウニ・マズイ。

これって、まるで婚約披露のような。

でも、悪い気はしない。ケン君カッコいいんだもの。

だけど、このままだと私、ケン君におとされてしまいそう。

初日から大問題ダヨ～ォ。

結局、私の行くところは殆どけん君が一緒。幸か不幸か2人きりになる機会がなかったので何事もなく。

で、最後の日は、日本で急用が出来たため、両親は帰ることに、私はもう１泊しても良かったんだけど、そうしたらけん君とどうなるかは分かっていたから、「私も帰る。」ということになって、しきりに留まるよう勧めるメン君に、「分かってる？親がらみで私達が好きになってというのは私嫌なの。成り行きで流されたくない。本当に私が好きなら、日本に会いに来て。」と言うと、けん君たら、真剣な顔で私を見つめ「分かった。日本へ…、君を僕の虜にして見せる。」（これは英語でした。日本語だとこう言われたら笑っちゃうけど。）とっても男らしく思えた。

だから「私ケンが会いに来るのを待ってる。」（これも英語。日本語だと「お願いだから来て。」みたいだけど、英語だと「私待ってるからね。（来なかったら許さないよ）」みたいな表現が出来ると思って）。

何とかカッコつけたつもりだけど、その後抱きしめられて涙が出そうだった。

さて、日本に着いて、胸がせつないとか、頭の中は彼のことだけなんてことは全然なくて、

あいつ本当に日本に来るのかな。来たらどうなるんだろう。