日亜化学工業(ケーススタディ)
- カテゴリ:勉強
- 2009/02/26 23:59:42
新企画として、「ビジネスケースをまとめてみる」ということをやってみようと
思います。
今回は古いですが、一橋ビジネスレビュー2000年夏秋号に掲載の、「日
亜化学工業」のケースについて読み、要約を書きます。
なお、あくまでも2000年のケースを読んでいますので、企業の状況が当
時と変わっている可能性があることを含んだうえ、お読みください。
日亜化学工業は、徳島県阿南市に本社及び工場をもつ化学メーカーで
す。
この会社は、青色発光ダイオードの実用化で有名ですが、蛍光体の製
造との2本の柱があります。
もともとは、結核の治療薬であるストレプトマイシンの原料としての塩化
カルシウムの製造を行っていました。
しかし、結核患者の減少から、新しい製品として、蛍光体塗料であるリン
酸カルシウムの製造を始めたのが、現在の事業につながっています。
この会社の特徴であり、強みとなっている点は、製造を国内集中、といっ
ても徳島県阿南市で行っていることと、非公開の一族経営であることから、
長期的視野で事業を組み立てることができることです。。
会長及び社長は技術者であり、経営者の目の届くところで生産及び開発
を行うことができます。
また、方針として、高価格戦略の拒絶、技術開発能力ではなく生産技術
で勝負するということがあります。
ロイヤリティ収入をあてにするよりも、製品を製造し、顧客との対話によ
る品質改善や経験効果によるコストダウンを重視しています。
また、既存事業が成熟する前に新製品を育成するという姿勢が、銀行の
信用を得ており、借入を容易にしています。
さて、日亜化学工業と言えば青色発光ダイオードです。
当初、3M、SONY、豊田合成が開発先行していたものを、当時日亜化
学社員であった中村修二が「あとからやってきてうまくつないだ」結果、
実用化することに成功し、一気に先行メーカーとなりました。
なお、日亜化学工業は、青色発光ダイオードの開発を直訴する中村氏
の研究に対し、3億円の研究費を出しています。
さて、その後の青色発光ダイオードの応用分野としては、LEDディスプ
レイ、DVD、信号機等があり、順調に事業を伸ばしてきています。
最後に、この会社、コンプライアンスがちょっと弱い面がありそうです。
2000年以降、中村修二氏による特許権の譲渡対価の訴訟が話題になり
ました。
また、2006年には、偽装請負問題が起っています。
非公開の一族経営であることの逆効果が出たのかもしれません。
また、会社が急に大きくなり、以前のように経営者が直接現場に関与でき
なくなってきたこともあるでしょう。
一方、中村氏の件については、彼が抜群に優秀な研究者であることは疑
いようのないことのように思いますが、一方で、技術開発を大事にする一
方、製造を重視するという日亜化学工業の方針においては、一人の研究
者に多額の報酬を支払うことは難しかっただろうという気がします。また、
彼の直訴に対し会社が用意した3億円は、非公開企業であることで実現し
た投資である可能性も高いように思われます。
会社の形体や規模が、プラスの方向に働くケースとマイナスの方向に働く
ケースがあるようです。
書き込みありがとう。
このあたりの話は、けっこうひどかった話も聞きますね。
経済的に地元に大きな貢献があったとしても、雇用関係
をうまくやらないと、支持されなくなりますね。
うちの会社に勤めていた子の彼氏は請負偽装のとばっちりを受けました。
そして話し合いの上、時給1,500円で直接契約社員となって労働してましたが、
1年後には解雇されました。
仕事内容は会社まわりのゴミを拾ったり草むしりをしたりだったとか・・・
難しいことはよくわからんのですが、
偽装の話をうやむやにするための会社の作戦だったような気がします。