Fsas(ケーススタディ)
- カテゴリ:勉強
- 2009/02/27 23:55:13
一橋ビジネスレビュー2000年夏秋号に掲載の「Fsas」のビジネスケースを
読んで、要約します。
9年前のケースなので現在と状況が変わっていますのでご注意ください。
Fsas(エフサス)は正式社名を富士通サポートアンドサービス(株)と言い、
その名の通り富士通の子会社です。
もともとは、企業のコンピュータシステムがメインフレームと呼ばれる大型
のコンピュータだった時の得意先相手の社内保守チームでした。
1989年に、富士通カストマエンジニアリング(FJCE)として独立し、1997年
に、富士通ポートアンドサービス株式会社(Fsas)として上場しました。
富士通から独立し、2000年に至る環境や技術の変化は、
・メインフレームからパソコンを使ったクライアント・サーバシステムと、
ダウンサイジング
・オープンアーキテクチャ
・システムの高度化、高コスト化による、システムの機能貸しやアウトソーシング
・サービス提供からソリューション提供へ
という流れでした。
もともと富士通という大企業から独立した企業の従業員には、意識面と技術
面で克服しなければならないことがありました。
ひとつは、富士通社員でなくなることにおける心理的な抵抗感です。
「結婚するまでは富士通の社員でいてほしかった」と婚約者に言われる社員
や、「子供の幼稚園への勤務先変更をためらう」社員がいました。
また、メインフレームの保守専門にやってきたカスタマ・エンジニア(CE)に
は、「いまさら新しいことをなぜ」という抵抗感の克服が必要でした。
独立後二人目の社長である桑原晟社長は、メインフレームのみでは今後
が無いこと、受注における富士通依存度を下げる必要があることを考えて
いました。
桑原社長は、全国の拠点を回ってトップビジョン推進キャンペーンを行い、
懇親会を開くことで、従業員の意識改革を行いました。
また、社員に対し、MCSE・MCP・MSSなどの取得を積極的に勧め、営業と
重複する部分も負わせることで、CEのマルチスキル化を図りました。
もともとメインフレーム時代に培っていた顧客との信頼関係と、顧客の問題
点に近い所にいることが利点となりました。
また、職務が営業部門と重複することにより、臨機応変な対応が可能とな
りました。
もともとメインフレームの保守によって構築されていた顧客との信頼関係に
新しいスキルや意識が組み合わさることで、Fsasは順調に成長を続けまし
た。
1999年には、サポートが30%、情報サービスが70%ということになっています。
一方で、技術が高度化することで、CEのマルチスキル化では対応できな
い、より高度な専門性が必要となってきました。しかし、高度な専門性を
持つ社員を育成することは、CEが営業等を行っていたことによる強みを
半減することになります。
また、業務を重複させることで、現場の混乱が生じていました。
強力なリーダーシップを発揮し、意識改革を行っていた桑原社長の後を
引き継ぐリーダーがいるのかということが課題として認識されました。
さて、現在のFsasは、2004年にふたたび富士通の完全子会社となっています。
また、2007年には、富士通エフサスと社名を変更しました。