ソニー カンパニー制(ケーススタディ)
- カテゴリ:勉強
- 2009/02/28 23:57:24
一橋ビジネスレビュー2000年冬号に掲載の、「ソニー」のケースについて読み、要約を書き
ます。
このケースでは、かつてのソニーの組織戦略である「カンパニー制」について書かれていま
す。
尚、ソニーは2005年にカンパニー制を放棄しておりますのでご注意願います。
ソニーは、1999年に、有力なグループ会社である、SMEJ(ソニーミュージックエンタテ
イメント)や、SCE(ソニーコンピュータエンタテイメント)などの4社を100%子会社化
することを含めた、カンパニーの再編を行いました。
頻繁に組織の形態を変えてきたソニーのそれまでのカンパニー制に至る過程を簡単に書き
ます。
1970年代まで、卓越した製品コンセプトとブランド力、技術力で成長してきたソニーです
が、1980年代初頭、オーディオ機器の低迷への対応遅れで急激に業績を悪化させました。
そこで、1983年に、組織を製品別単位に分けた「事業本部制」に編成しました。販売と商
品開発に関する責任と権限を事業部に移譲することで、機動力を増すと同時に、本社機能を
独立させ、全社戦略立案機能を強化するためです。
事業部制を10年続ける中で、製品別事業本部の細分化が進み、経営資源の分散が問題とな
ったところで、1994年に「カンパニー制」が導入されました。
カンパニー制とは、事業部制よりも各ユニットへの権限を大幅に委譲した形態で、販売や開
発だけではなく、擬似的に投資や資金調達の責任も持たせた形式です。
従来19の事業本部と8つの営業本部を持っていた組織を、8つのカンパニーに再編成しま
した。
同時に、長くなっていた意思決定ラインを8階層から4階層へ短くし、組織のフラット化を
図りました。
1996年から1997年にかけては、本社機能の強化のための組織再編が行われました。
具体的には、取締役会を38名から10名にスリム化し、全体レベルの戦略について実質的
なレベルの協議が行われることができるようにする一方、27人の執行役員を任命すること
で、ここの事業戦略を執行役員に負わせることとしました。
これは、カンパニー制によって自律的に動きすぎることになった各ユニットの間の調整・統
合を目指したものです。
そして、1999年に当時の出井社長の「リ・ジェネレーション」の掛け声の下、カンパニー
の編成を大きく変えることとしました。
出井社長は、それまでの単品売りきり商品の連続ヒットによるビジネスモデルから、継続的
な「課金」ビジネスモデルへの転換を図りました。
一方で、ソニーの期待されている自由闊達さ、チャレンジ精神をよみがえらせようと考えま
した。
カンパニーの切り分け基準をシフトし、従来の10ユニットを「ホームネットワークカンパ
ニー」「パーソナルITカンパニー」「ソニー・コンピュータ・エンタテイメント」「コアテク
ノロジー&ネットワークカンパニー」の4つのカンパニーに再編すると当時に、決裁権限の
上限撤廃など、カンパニーの権限を強化しました。一方で、本社機能を強化し、統合力・推
進力を高めました。
出井社長は、これらを「統合・分極型経営モデル」として推進しました。
当時グループの利益の25%を稼ぎ出していたSCEを完全子会社化することについては、強
みであった自由度を損なうという恐れもありました。
出井社長は、グループ企業が自由に成長することによって遠心力が働くことを避けたいという
考えを持っていました。
組織の中に複雑性を内包することで、将来会社が新しい企業の形になっているための「仕掛
け」をしようと考えたのです。
各ユニットに権限を委譲しつつ、企業全体としての求心力を高めようとする試みでした。
また、各ユニットの持つ製品は、ソニーが構築する、ネットワーク時代のビジネスの「場」
への入り口であり、各製品市場で勝つことを最終目的としないという考えでした。
成果としては、後発として参入したPC市場において、「生産性を上げるためのシステム」
という一般的なPCの価値をあえて切り落とし、ソニーのパーソナルITカンパニーの掲げ
た「パーソナル」「デジタル」「エンタテイメント」というコンセプトで開発した「VAIO」
がヒットすることとなりました。
以上が今回のケースの内容ですが、ソニーは業績悪化を機に2005年にカンパニー制を廃止
し、事業本部制を採用しました。
結局、出井氏が描いた、統合・分極型経営モデルへは、カンパニー制では求心力が働かなか
ったということでしょうか。
過去、組織編成を変えることで成果を出してきたソニーの今後の組織戦略に注目です。
ありがとう。
ソニーの人ではないです。
ちょっと、練習のため、手許にある文を読んで要約する作業を
続けてみようかなと。
本当は、iphoneとかって、sonyがやらなくちゃいけない仕事だった
んだよね。
会社が大きくなると、自由と統制の間の調整がすごく難しくなるよう
です。
何かと明るい材料見つけてこれからも躍進できるといっすね。