Interceptor
- カテゴリ:音楽
- 2010/09/28 19:58:00
東京スカパラダイスオーケストラ 「FANTASIA」から
デビューから20年以上が経ち、今でも良質な音楽をリリースし続けるスカパラですが、この「FANTASIA」のころにいろんな意味でひとつの完成を見ていたような気がします。何しろ故・クリーンヘッド・ギムラ。この人の存在感がすごい。
当時、バンドといえばヴォーカル、ギター、ベース、ドラムス(いればキーボード)が基本セットで、あとはバービーボーイズにソプラノ・サックスとヴォーカル兼任のKONTAがいたくらいでした。ホーンはRCサクセションにサポートメンバーがいたり、米米クラブがいたくらいで、それだって基本セットに追加されたオプション扱いだった感は否めない。ところが、スカパラは登場するなり「ホーンが主役」だったわけです。しかも、一番目立っている怪しいスキンヘッドのメンバー(ギムラ氏)はそのホーンすらやらない。ちなみにデビュー・アルバム「スカパラ誕生」のギムラ氏担当楽器欄には…「におい」。たまにギターを弾いたり、歌を歌ったりはしますが、多くの曲では「シキチッ」とか「シキッシキッ」とか、リズムを刻むスキャットをしていたり、英語でアジテーションをするのみ。にもかかわらず、当時のスカパラのライブは明らかにギムラを中心に回っている。その存在感、カッコよさは古今東西、どこをどう見ても唯一無二なわけです。初めてこの曲を聴いたときには、それこそ頭を殴られたかのような衝撃が走りました。今観ても、しびれるほどカッコいい。
その後の色んなミュージシャンとのコラボレーションは、もしかしたらギムラ氏存命なら必要とはされなかったかもしれない。もしかしたら、音楽的に今ほどの多様性を持ったバンドにはならなかったかもしれない。もしかすると、ギムラ氏頼みが強すぎてどこかで行き詰ってしまっていたかもしれない…などの穿った見方をすることもあるのですが、それはそれとしてさておいて、ギムラ氏存命当時のスカパラのスタイルは、やはり唯一無二のカッコよさとして永遠に記憶にとどめたいひとつの完成形であったと、そう思うのです。
この映像ではまた、茂木欣一氏とは異なるスタイルの故・青木達之氏のドラムスも楽しむことができます。ギムラ氏逝去から15年、青木氏逝去から11年が過ぎようとしています。
http://www.youtube.com/watch?v=HvspKrMBdpo
↑この映像からギムラ氏が抜けたところを想像してみてください。…明らかにひと味足りないですよね。トンボ型のサングラス、羽飾り…その後のロックバンドのファッションの先駆者でもあった。