Nicotto Town


I♥東方神起


英雄物語1

credit: Cassiopeia-family.com/forums (CSSPF)
shared by: jaejoong_love33 + fangirlmitz
Japanese translation: Ruri(lesl.seesaa.net)
(転載される方はこのクレジットを必ず載せて下さい




それはずっとずっと前のこと。


韓国のどこかで、15歳の少年が生まれ育った町に長い別れを告げた。
少ない荷物を掻き集め、深い愛情を持ってくれている8人の姉と
両親にさよならを言ってソウルに向かう電車に乗る。

立ち去る彼の背に向け彼の家族は泣き叫び、
少年は愛する家族が彼のために
泣いてくれている声が聞こえていたが振り向くのが怖かった。
もし振り向いたら出立する勇気がなくなってしまう。

でもどうしてもこの夢だけは諦めたくない。
それに……家族に涙を見せたくはなかったから。
こうして、凍える冬に薄いジャケット一枚を着て、彼自身の夢のために、
夢にしか見たことがない大都市に向けて、

15年間生きて来て初めて懐かしい故郷を旅立った。



とうとう、列車が止まり、少年は電車から降り立った。
このおかしな、しかし混雑する道路、ネオン、栄光に彩られた
どきどきする町を見つめた。

それは彼が今まで何一つ見たこともない世界だった。
余りに圧倒的な世界に心細くなる。
本当に……本当にこんな街で自分が居場所を見つけられるんだろうか?
少年は躊躇い、決心が揺らいだ。

しかし、心に描いた夢は絶えなかった。
もしこうしてこのまま家に帰ってしまえば、そんな弱虫な自分を決して許せない。
だから、誰の助けもなく、うさぎ小屋のような小さな小さなアパートを自力で見つけて
……そこを自分の家と呼ぶことにした。



SMエンターテイメントは最大の音楽芸能事務所だ。
少年はそこで行われる第二回の歌手コンテストに向かった。
このコンテストで見出されれば一流の歌手になる道が開ける、
ロビーには彼と同じ夢を持った少年がたくさんいた。
少年はみなおしゃれをして来ていた。
カッコイイ服を着て、最新のMP3を耳につけながら練習していた。
少年は自分の地味な灰色のTシャツとジーンズを見下ろし、
すでに戦いに負けたような気になってしまった。

少年の審査番号は12。
審査部屋に入って行くと5人の無表情な審査官がいて緊張してしまう。
その時審査員が口を開いて歌うように促した。



こうして、彼の声は部屋のみんなを感動させた。
誰よりも柔らかく、余りにも純粋な声。
彼の声を聞けば誰もがこの悲しみと大きな感情の波に飲み込まれ、
しかしそれでも、いつまでもこの声を聞き続けていたいと願ってしまう。
しかし彼の声はまだ余りに柔らか過ぎか弱かった。



少年がコンテストに勝った理由は、その麗しき造詣だった。
完璧な肌、長い睫、女の子よりも愛らしい優美な特徴である濡れた大きな瞳、
ふっくらした唇、雪のような白さ。
審査員は君の顔は芸能界に入るために生まれたと言った。

少年はSMと7年の契約をした。内2年は練習生として音楽、ダンス、
他のレッスンの練習費を払わなくてはいけないがその後5年は芸能人になれるのだ。
自分の夢にこんなにも近づける自分のことを考えて、
彼は来る2年が自分の人生でもっとも厳しい、
体験したこともない辛いものとなることをわかっていて契約した。

厳しくともこれこそが彼の夢なのだ。だから諦めることはできない。


こうして辛い2年が始まった。


                                    ~つづく~




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