大学の仲間との忘年会2回目は、気心知れた男女混成10人ほどで。

特別のサークルではないので、堅苦しい事なしに単なる飲み食い仲間で、募ったら10人になってしまったから、一応忘年会なのだ。

１次会は、夜の繁華街で、ぶりシャブ中心の和食コースで、お一人様6000円。2次会はインドアゴルフの出来る店を目指したが、この日は既に貸切になっていて、「しゃあない。いつものカラオケコースか。」というわけでカラオケに入ったものの、どこも混んでいる。

暫くは、過ごせたものの、このメンバー特に上手い人がいるわけでなし、なんか面白くない、分かれてどこか別のところとか話しているうちに、「どこも混んでいるから」とかなんとか言ってるうちに、話が、『私の家で3次会』という事になってしまった。

酔った勢いで「ヨッシャー家に行くか～」とタクシーに乗ったのが6人。男と女が3人づつ、はたしてどうなる事やら。

さて着きました我が家は、とは言え、ここは私一人暮らしのマンションなのだ。女どもは知っているが、男どもを中に入れたのは初めて（いや、前にカレーを振る舞った事があった）。

両親は今は東京に住んでいるから、以前、私が子どもだった頃住んでいたここは、今や私一人の住まいなのだ。

「うわー。広いじゃん。」大概初めて来るとこういう声を出す。居間は食堂兼用だが24畳あるからマンションとしては広い方、全部で100㎡以上なので一人では、チト広いかも。

下にあるコンビニで買ったつまみを食べながら、ビールや水割りを飲んで、私がワインでも飲もうかと思っている時、男どもの一人が、「れい、おまえ金持ちだろうから、シャンパンぐらい飲ましてくれるんだろうな。」一瞬心の中で「味の分からん連中に限ってそんな事を」と思ってムッときたが、そこは「まあ、忘年会だから」と気を取り直したところで、シャンパンは良く飲むから在庫はと、70本入りのセラーを探したら「マジい。ドンぺリしか在庫が無い。」。

「どうしたの、れい」リエが「おう、ドンぺリじゃん。これでいいじゃないの。」そう言われるとシャアナイか。ワインク―ラーに入れて持っていくと、「おお＾、本格的じゃん。見栄えだけは高級に見える。」と言う男どもは、スパ―クリングもシャンパンも区別がつかないらしい。

ドンぺリの名前は知っていても、目の前にしても分からないのだから。

実はここからが大パニックの始まり。

シャンパングラスは迷ったけれど、目の前のキャビネットに入っているから出したものの、女性群だけはカッコつけようとして、『バカラ』のグラスを出したのが間違いの元だった。

「もう冷えてるからいいよね。」と、シールを切って、コルクを止めている針金を外すと、「頼むから俺に開けさせてくれ。」とコウタに言われて、瓶を預けると、「あ、あのバカが。」何を血迷ったかドンぺりの瓶を激しく振りながらコルクに手をかけると、見事な発車音と共に飛び出したコルクが跳ね返って『バカラ』に命中、結果2個がテーブルから落ちて砕けた。

コウタの持ったドンぺリは激しく噴き出している。それは当然のことで、シャンパンの圧力はそこいらの炭酸飲料とはケタ違いなのだから。

流石に「マズイ」と思ったのか、血迷ったのか、噴き出したシャンパンを咥えて飲もうとしたが、大量の泡でむせてゲロッてしまった。

見事に汚れたペルシャ絨毯。クリーニングに出すと何万円かかるか。仕上がりまで1カ月ぐらいかかるかもしれないし、買うとなると、小さな車より高いかもしれない。どうしよう。

と、頭の中では冷静だと思っていたのが、口から出たのは「帰れ！バカヤロ。それだけ楽しんだら充分だろうが！」体も反応して、回し蹴りを食らわしてしまった。

完全にキレてしまった。

B型の人間は怖い。何かされると、やり返さないと気が済まなくなるから、戦闘モードになってしまう。両親が見たらひっくり返るかも知れない。

蹴られたコウタもムッときたのか「蹴る事無いじゃないか、弁償すればいいんだろう！」と対決姿勢。こういう時、冷静なエリカが「コウタ、ちょっと」と呼び寄せ、なんか話していたが、コウタの顔色から見る見る戦闘モードが消えていく。状況が理解できたらしい。

で、結局コウタを玄関から追い出す形になって、修羅場となった部屋の後かたずけ。

汚れた絨毯を丸めてベランダに出し、ガラス片を拾って、散らばっているのは掃除機で、こういう時ダイソンの掃除機は強力だね。ウルサイけど。夜中に使うと近所迷惑だよ。

仲間としての責任を感じたのか、残った2人の男どもは良く働いてくれた。

取りあえず何とかなったところで、もう一人が帰って、残った男は草食男のヨシオ君だけになった。煮え切らない性格なので、帰りそびれたのだ。

実は、この男でもう一つハプニングが。

つづく。