Nicotto Town


銀色羽毛のblog


全て長男の仕業

その昔、三谷幸喜さんの古畑任三郎シリーズに「すべて閣下の仕業」というタイトルのスペシャル版がありましたが。
全話観終わるまで沈黙していましょうと思っていたのですが、あまりにも酷いので言わせて。

ドラマ「獣医ドリトル」。これ、原作ファンは怒りを通り越して、諦めの境地じゃないか、と思います……。
といいますか、パラレルワールド視。
自分は原作を知らないのですが、一応、この、ネットのご時世、ウィキペディアとか、テレビ局公式とか見にいく訳ですよ。
すると。
原作には、花菱先生のトラウマは無い。
原作には、土門総院長の息子たちは居ない。
この2点を押さえておくだけで、このドラマ、原作漫画とは別物になっているのが解ります。


わたしがこのドラマを観ているのは、ひとえに、菅田さんが出演していらっしゃるから。(彼は自分より20歳以上も年下の未成年ですけど、着々とキャリアを重ねていらっしゃるプロですから、敬語でいいですよね?)
初めて彼を観たとき、「5年後もキャリアが続いているならば、是非、CBCの「スジナシ」に出て欲しい」と思ってしまったのです。
(「スジナシ」は、在名古屋TBS系局が作るバラエティ番組。組まれたセットの中で、鶴瓶さんと、ゲストの役者さんが十数分間、「O.K.」の声が掛かるまでぶっ通しでエチュード(即興劇)を行い、のちに2人で、撮られたものを見返しながら、即興劇中のそれぞれの胸中や駆け引きを明かしていく体裁をとります。これは、ゲストの役者さんの芸歴がもろ露わになります。もう始まって10年以上経ちますので、「長寿」の中に入れて良いかと。)
存在感は途方も無い。眼差しが素敵。けど、演技はこれから。第1話の「たこやき」発言、「素で言って、こう」なのか、「精一杯演って、ああ」なのか、「役を解釈した上で、そう」なのか、かなり、悩みました。
ですから、「旬だけ取って(十代で使い捨てのアイドルを、こう表現するのだそうな)」ではなく、世阿弥が言うところの「時分の花」が終わりつつあるときに、まだ俳優としてのキャリアが続く…ほど、役者としての経験を積めるのであれば。恐らく、鶴瓶さんに太刀打ちできる持ち味を引き出して貰えるほどになっているのではないかな、と思いまして。
…そして、彼のキャリアは着々と続いています。あと3年半強、となってますか。
あのドラマで、「スジナシ」に出たら面白そう、と思ったお方は、あとは、なだぎさんかしら。
そりゃ、高岩さんのが一番観たい(あのお方の引き出しはどんだけ広くて深いんだか…)訳ですが、スーツ着ていらっしゃらない状態でお出になられても、お名前を聞くまでは、どなただか全然判らない自信、きっぱりとあります(涙)。


菅田さんは、土門総院長の次男という、原作には無い存在にキャスティングされています。
母と、
「こういうのって、患蓄役の動物スターの方が、ギャラ高いよねー」
「(レギュラーとはいえ)菅田くんのギャラ、きっと動物(この会話を交わしたときの患蓄は、馬でしたので)より低いと思う(きっぱり)」
…という、失礼極まりない会話を交わしております。

で、この土門という人、何かと主人公にちょっかいを掛けてくるのですが、それはことごとく長男(原作に無い存在)の不手際で、不首尾に終わってしまいます。
…そこまで親の足を引っ張り続けるキャラ、なんだか、応援したくなってきました(俳優さんに対しては、こういう汚れ役をスマートにこなすことに感嘆。次の出演作、チェックしてみたいな)。

もう、患蓄とその飼い主なんて、主人公なんて、どうだっていい。ヒロイン? とっくのとうに眼中に無し。(原作ファンの方々、つくづくごめんなさい…。)
土門家の三代にわたる男たちのドラマに刮目。
…それでは、原作に対して失礼な作りだと思う、のですけど……。

で、ドラマ始まった頃は、菅田さんの役は犬を飼っている設定ですので、「どこか1話で、彼が主体になる話があれば、儲けもんかなー」というくらいに思ってましたが、脚本の方の思惑は、ずっと上を行っていました。
最終話こそ、彼の飼う犬が患蓄。事故とはいえ、致命的な怪我を負わせたのは、長男


さぁて、最終話は、母が言ったとおりの展開になる、と思いますよ。わたしですら

ただし。連続で生命維持装置を壊してしまった犯人は。単独犯でしたら、長男ではなく、どんでん返しを仕掛けますかね。まともな脚本家でしたら。
長男さんには、父親の不興を買うことを陰でする動機はあっても、主人公の動物病院に忍び込んで生命維持装置を壊す動機までは、在りませんもの。
では、真犯人は誰か。その人は今日の話(第8話)の中でもう、犯行を行えない状態に移ったと思われます…。
最終話で長男さんをどう描くか。ここに、この脚本家さんの力量が表れると思います。


まあ、それを言えば。
ダブルだって「全て長女の婿(に順ずる人)の仕業」なのですけれど。





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