アニメを見てなくても『新世紀エヴァンゲリオン』のタイトルくらいは知っていて当然、だけど意味がさっぱりわかりません……。今夜はそんな方々（主に友人ＡとかＢとかＣ）の「で、『エヴァ』って何なの？」という疑問に答えようと思います。テレビ版～旧・劇場版のほうで。難解なアニメなので、ばかすか端折っていきます。

　（新劇場版はまだ見てないの。完結してから見ると思うー）

　必然的にネタバレも出てきますのでご注意。知っていればもっと楽しめるよ～という背景をなぞっていきます。作品中の人間関係やキャラクターの生い立ちには基本ノータッチです。


　それは、地球に生命が生まれる前のこと。宇宙で最初の知的生命体（仮に「神様」としよう）は、広大な宇宙に命の卵（こっちは神様の「使徒」としよう）を撒いた。その卵のひとつ「アダム」が地球に着陸する。アダムの着陸先は南極だった。

　ところが、もうひとつ別の卵「リリス」も地球に墜落してしまう。リリスの激突は、地球を激しく揺さぶり、ばらけた地球の破片が衛星の月になるほど凄まじい威力だった（ファーストインパクト）。リリスの落下先が現在の日本である。

　どちらも生命の源ではあるが、特色としてアダムは「生命の実」を持ち、リリスは「知恵の実」を持っている。だが、第１使徒アダムは地球に生命体をもたらさなかった。ファーストインパクトの衝撃で、機能が働かなくなったのだ。代わって第２使徒リリスのほうが、地球に生命体をもたらす。

　リリスの体液（漠然と「海」と考えてもいいかもしれない）からヒトも生まれたのである。リリスから生まれたヒトは知恵（感情）を有していた。ヒトは単一の生命体としては脆弱だったが、数が多く、子を作ることで種を存続させていく。

　一方、アダムは作りかけの「アダム製のヒト」とともに、南極で眠っていた。

　神と同等の知恵を持つヒトはやがて、医学的かつ科学的に、生命の根幹に関わる領域に踏み込んでしまう。

　さて。キリスト神話によれば、原初のヒトは知恵の実を食べたことで、自我と感情を持つようになった。ただしその罰として、楽園から追放されてしまう。これが「原罪」だ。

　ところで禁断の実はもうひとつ、生命の樹になる「生命の実」があった。知恵の実しか食べていないヒトは、不完全であり、身体的に脆弱で、寿命も限られている。

　知恵の実と生命の実の両方を持つことが許されるのは、神だけである。神は、ヒトが生命の実も食べて自分と同等になることがないように、ヒトを楽園から追放したのだった。

　この宗教観では、現行人類は原罪を今なお背負わされている、罪深い存在である。にもかかわらずヒトは、その知恵（医学とか科学とか）によって、生命の実にまで迫りつつあった。今にそれを阻止すべく「使徒」が現れ、現行人類を滅ぼしてしまうだろう。

　使徒の役目は、作りかけだった「アダム製のヒト」に与えられた。現行人類が生命の根幹に触れるようなら、目覚めて、アダムのパワーを取り込んだ大爆発で人類を滅ぼせ、と。

　人類は「知恵の実を食べたことを許してください」と意思表示するか、それとも「こうなったら意地でも生命の実も食べてやる」か……。

　そもそも知恵の実を食べてしまったがために、ヒトは中途半端な存在になった。ならば原罪を儀式的に償って、知恵の実を食べる前の穢れない姿に戻ろう、と秘密結社「ゼーレ」は考えた。ゼーレは神に頭を下げて、原罪を帳消しにしてもらうことを計画したのだ。

　その一方、碇ゲンドウ（主人公・碇シンジの父親）はまったく逆のことを考えていた。神に逆らってでも生命の実を取り込んで、ヒトという種を「神」と同等にしようと計画する。

　どちらにせよ、計画が成就すれば、「出来損ないの群体」であるヒトは「完全なる単体の生物」へと新生することになる。不完全なヒトが完全な種になる（戻る）ためのものだから、この計画は「人類補完計画」と名付けられたのである。

つづく～。