Nicotto Town


永遠などない、それこそ永遠


Children's Fantasy ...

プロローグ 其の五

「実は……今日買ったこのアバターが外せなくなったんです」
「アバターが外せない?」
「はい。それで買った時はよかったんですけど、いざ装備してみると恥ずかしくなってきて……それで外そうとしたらなぜか外れなくて」
「バグ……な訳がないか。『Fantasy Arts』は問題が起こった時に迅速に対応することも高い評価を得られている理由の一つだしな」
 カズヤの言うとおりに『Fantasy Arts』はバグなどがある場合は対応が早かった。『Children’s Fantasy』のサービスが始まって既に十数日が過ぎた。アバターが外せないバグとなると、既に対策を練ってホームページで告知しているだろう。
「ちょっとステータス画面を見せてくれないか?」
「ステータスですか? ちょっと待ってて下さい」
 そう言うとサヤは、メニューを開く。サヤの前の何もない空間に突然、縦と横には長いが厚さは一ミリもない桜色のディスプレイが表れる。サヤはそれを操作してステータス画面を出すと「どうぞ」とカズヤにそれを見せる。
『名前:サヤ
 Lv.:13 HP:753 MP:1245
 攻撃力:533 魔力:873 防御力:483 特殊防御力:745 素早さ:483
 称号:狐巫女』
 書かれていた内容はこの様な物だった。
 レベルやHP、攻撃力などは普通のゲームの様に能力を現している。称号は、例えば剣を装備している場合は剣の種類によって『称号:○○剣士』となったりする。カズヤは片手剣を装備しているので『称号:片手剣士』となっている。他には特定のクエストをクリアした後に『○○の英雄』などの称号になる場合がある。
 そしてこのゲームの特徴の一つに装備によってスキルが変わると言う物がある。このために低レベルのアイテムを装備していてもスキルが強かったり、逆に高レベルのアイテムを装備していてもスキルが弱かったりすると言う事がある。
 スキルの変化は有料アバターでも効果がある。そして、有料アバターでは特定の組み合わせでアバターの有効期限が無くなり完全にそのキャラクターから離れなくなる物がある。そうなった場合は特殊なスキルと称号が出現すると言う情報をどこかで聞いたことをカズヤは思い出した。
 特殊なスキルと言うのは、例えば犬の耳と尻尾のアバターを装備した場合は『称号:犬○○』となり、スキルに『嗅覚強化』が追加される。
 もっとも、アバターが固定になった場合は、無料アイテムの『透明な服』等の装備を透明にするアイテム――元々は透明にすることで能力は良いがダサくて着たくない服などを見えなくするのが目的のアイテム――を装備する事で元に戻すことができる。固定された装備になるアバターに使用した場合はアイテムが消えお金が戻ってくる。もちろん全額ではなくアイテムを購入してから経過した時間に対応した金額だが。
 しかし固定になる装備――略して固定装備と呼ばれている――には動物ならば犬、猫、兎の耳と尻尾などのメジャーなものから狸、豚、魚などのあまり人気のなさそうなものまであるのだが、しかし狐だけは聞いたことが無かった。
 これは誰も狐の装備を買わなかった訳ではない。買っても固定装備になる人間がいなかったのだ。この理由は『Fantasy Artsのミス』と言う説や『その内アップデートで実装される』などの説がある。
 しかし今目の前にその狐の固定装備になっている人間がいる。その理由が分からないで少し考えていると
「その……やっぱり私おかしいんですか?」
と聞いてきた。
「いや、おかしいと言うか……珍しいって言った方が近いと思う。元に戻そうと思えば一応出来るが……一応説明しておくか」
 その後カズヤは、特定のアイテムを装備すると固定装備になること、特殊なスキルが追加される事、今はまだ狐の固定装備になった人がいない事、そして『透明な服』などを装備する事で下の服に戻せることを説明した。

#日記広場:自作小説

アバター
2011/01/31 19:04
まあゲームの中だからねー。
電撃文庫の『ソードアートオンライン』とか『アクセルワールド』とか、ゲームの『.hack』のシリーズと似た感じですねー。

簡単にまとめるなら……
完全にゲームの中へ入り込むオンラインRPG
……かな?w
アバター
2011/01/31 19:02
世界観がすごいね~w




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