Children's Fantasy ...
- カテゴリ:自作小説
- 2011/02/01 18:54:34
プロローグ 其の終
「あの、メアドとか知らない人と待ち合わせたりするのってどうしたらいいでしょうか?」
それは、遠まわしに友達登録したいと言っているようにも聞こえた。なのでカズヤは、ここぞとばかりに会話を続けようとする。
「じゃあ俺と友達登録するか?」
カズヤは何とか普通に話せたものの、実際のところとても緊張していた。今まで誰かと友達登録した事はなかったし、それ故に自分から友達になろうと言ったのは今回が初めてだった。
そんな風に心臓が破裂するのではないかと思うほど緊張しながら言葉を紡いだカズヤとは反対に、サヤはとても落ち着いてこう返した。
「……友達登録ってなんですか?」
「ああ、そう言うと思っていたよ。うん、予想通りだ」
とても緊張していたものの、『友達リスト』を知らないということは予測できていたカズヤであった。
『友達リスト』にお互いに登録しておけば相手がログインしているかどうかわかるし離れた場所にいてもチャットで会話することが出来る。そしてプレイ中でなくても『Children's Fantasy』のメッセージボックスにメッセージを送ることができる。この機能を使えば実質は相手といつでもメールできるのと同じである。
「つーかもう少し色々いじったりてみろよ。初心者でも『友達リスト』くらいは見つけるはずだぞ?」
そう言うと、頬をぷーっと膨らませてこう言う。
「……だって、色々やっている内に変な事になったら困るし、親が説明書が入った箱ごと間違って捨てちゃうし……」
「……変な事になったら困るというのにはもう少し勇気出せよとしか言えないけど、箱の方はその……ドンマイ……」
いじらなかった理由を聞いてみると、地味に悲惨であった。念のために言うと箱の方が。
ちなみにパッケージの絵は、たまにぼーっと見つめて『なんかすごい絵だなー』と思う事もある位には凝っていた。良い物を失ってしまったサヤであった。
「まあ、何か分からない事があったら俺に聞いてくれ。俺もそこそこネトゲやってるし、説明書読んで調べたりするからさ」
「はい……ありがとうございます……」
サヤは瞳を少し潤ませながら、少し泣きそうな声でそう言った。
「ちょっ、どうしたんだよ!?」
「だって……初めてやったオンラインゲームでこんな良い人に会えるなんて思ってなくて。だからすごく嬉しくて」
サヤの言う状況を現実で例えるのならば、知り合いが誰一人いない場所で困っている時に見ず知らずのひとが助けてくれる……という状況とほとんど同じだろう。
そんな状況になれば、誰しも自分を助けてくれた人に感謝するだろう。
だから少女は目の前の少年に感謝する。そうする事で絆は生まれる。
お互いに当たり前のことをしただけだが、そうすることで絆が生まれるきっかけができるのだろう。
「そうか。……じゃあ、俺と友達登録してくれるか?」
カズヤは微笑みながらそう言い
「はい! もちろんです!」
サヤは笑顔で了承した。
こうして、現実でだけ生活していれば出会うことも無かった二人は友達になった。
ネットでできた友達なんて……と言う人だっているだろう。だがネットでできた友達だからって現実の友達より大切にしなくていい道理があるわけがない。
なぜなら、ネットでできた絆だって、紛れもなく本物なのだから。
こうして、カズヤの騒がしく楽しい一日は終わったのだった。
ちなみに『Children's Fantasy』では自身の性別と違うキャラクターを作る事はできない。なので可愛い狐っ子の巫女さんと宿屋の中という人の目に入る場所で友達登録したカズヤには、殺気のこもった視線が向けられていたという。






























というかネトゲで久しぶりに友達ができたから嬉しくてしょうがないんだよカズヤはw
サヤは美少女なんだねw
カズヤ気付かないんですか?w