Children's Fantasy ...
- カテゴリ:自作小説
- 2011/02/09 13:50:47
第一章 其の六
門を出た後、二人はスタード西側の森へと向かって足を進めていた。日差しは暖かく風はさわやかと、最高に心地よい。『Children's Fantasy』の気候は現実の日本に対応して変化していくので、現在は四月の気候だ。
空では小鳥が飛び交い、丘には花々が咲き誇っている。遠くには優雅に咲くピンク色――桜の花が見える。
そんな豊かな自然の中、二人は人が通る事で自然にできた道を歩いていた。こういった道を歩いていればモンスターとの遭遇率は低くなる。しかし、低いと言うだけでゼロではない。時折現れる犬型モンスターの『ワイルドドッグ』を倒しながら二人は目的地へと進んでゆく。
「おっと。背後にも注意しろよー、サヤ」
前方だけに注意を向けていたサヤに今にも飛び掛ろうとしていたワイルドドッグを、カズヤは難なく斬り伏せる。
「あっ。ありがとうガズヤくん」
サヤはいつも通りにカズヤに助けられ、いつも通りに礼を言った。そしてすぐに二人は歩く事を再開する。サヤのピンチをカズヤが助けると言うのは、二人の間ではいつの間にか当たり前のことになっていた。
「うーむ、もうモンスターはいないっぽいな」
遠くを見ることを可能にする『遠見』を使って周囲を確認するが、モンスターは一体も見当たらなかった。代わりに丘を全力で走って下り、途中でつまづいて転びものすごい勢いで回転しながら丘を下る奇人――いや、変人だろうか? ――が目に入ったが、そんな人間とは関わりを持たない方がいいだろうと思いサヤには何も伝えなかった。
「そうですかー。それならしばらくはのんびりと歩けそうですねー」
「ああ、そうだな」
そして二人はゆっくりと歩く。それがあんな不幸に繋がるとは知らずに――
――などということはなく、二人はサヤの言葉の通りにのんびりと歩いていた。全力で走ればあと五、六分で目的地に着くだろうが、歩くとなるとあと十五分ほどだろう。
一人での狩りならば走って森まで向かうのだが、今は話相手がいる。二人は最近の話をしているうちに、いつの間にか『Children's Fantasy』について話すようになっていた。
「そういえばカズやくんって、どうして盾を装備してないんですか?」
その中でも話題は武器や防具のものとなり、サヤは前から疑問に思っていたことを口にした。
普通ならば片手剣を装備する時は盾、もしくは二刀流をするためにもう一本の片手剣を装備する。しかしカズヤは片手剣を一本だけ右手に装備するだけだ。
「あー、その事か。やっぱり気になるか?」
「それはまあ……気になりますよ」
そう言われてカズヤは「うーん」と唸り、考え込む。
「……まあ、時間ならまだ十分にあるし問題ないか」
そしてカズヤは、過去の事を思い出しながら語りだす。
「話をしよう。あれは今から三十六万……いや、950日ほど前の事だったか」
「いくらなんでも間違えすぎですよ」
いきなり突っ込みを入れられた。まあ、ボケをしたカズヤにも問題はあるのだが。
「……俺にとってはつい昨日の出来事だが、サヤにとってはたぶん……明日の出来事だ」
「いや、どう考えても過去の出来事ですよ」
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- いっしん
- 2011/02/09 14:40
- エルシャダイのネタやってごめんなさい。 <(_ _)>
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- 違反申告





























