Children's Fantasy ...
- カテゴリ:自作小説
- 2011/02/09 13:52:49
第一章 其の七
「カズヤ、そんな強化のやり方で大丈夫か?」
そう言うのは、今から950日ほど前ではカズヤにとって唯一のオンラインゲームでできた友達であるリオンだ。年齢については高校生だと本人は言っていた。当時は中学一年生だったカズヤとは少々年が離れている。
「大丈夫だ、問題ない」
カズヤが今からやろうとしているのは盾の強化だった。この当時にカズヤたちがしていた日本初のVRMMORPGである『The Legend』では最強の盾だ。この盾はトップクラスのプレイヤーが数名しか持っていない激レアアイテムだった。
そんなものをなぜカズヤが持っているのかというと、モンスターから運よくドロップしたという単純な理由だった。
これほど貴重なアイテムの強化となると普通ならば慎重になるはずだが、カズヤは思い切って成功率40%の強化に失敗しやすい、しかし能力の上昇は大きい強化アイテムを使おうとしていた。
『The Legend』では強化に失敗すればアイテムは破壊される。そしてこの盾の強化可能な回数は八回だ。
カズヤは一思いに成功率40%のアイテムを連続で六回使用する。
アイテムは――破壊されなかった。
「よっしゃあっ! 全部成功した!」
「こいつ……マジでやりやがった……」
ここまでの強化をすれば、この盾は『The Legend』最強だろう。最後の仕上げとして今度は成功率95%のアイテムを使用することにした。これは失敗する方が珍しい、いや、失敗したという話を一度も聞いたことがないくらいに成功率が高かった。
そして先程と同じように連続で使用する。
その時、悲劇が起こった。
失敗したと言う話を一度も聞いたことがない強化アイテムを使用して、強化に失敗してしまったのだ。
強化の失敗――つまりアイテムの破壊。
最強の盾は、この世界に数秒しか存在する事ができなかった。
「そんな……そんなバカな!」
「おいおい……その強化アイテムで失敗したやつなんて初めてみたぞ……」
あまりにもの虚脱感に、カズヤは膝をつきうなだれた。
先程カズヤが使用した強化アイテムは、カズヤの全財産の八割をしようして買ったものだった。しばらくの間は高いアイテムを買う事もできないだろう。
「まあ……この前拾った盾をやるからさ。元気出せよ?」
リオンが差し出した盾も、破壊された盾に比べては劣るもののかなりのレアアイテムだった。
しかし――
「もう、いい」
「へ? なにが?」
「俺はもう、盾を使わない」
――カズヤはそれを断った。
「は? お前なに言って――」
「そうだよ、盾なんて邪魔なだけだ。なんで今まで気づかなかったんだろう? そうだよ、剣だけを装備した方が狩りやすいじゃないか。そうだよ、盾なんて装備する必要はないんだ! 決めたぞリオン。俺はもう盾なんて装備しない!」
こうして、カズヤは盾を装備しなくなったのであった。
◆ ◆ ◆ ◆
「まあ、大体こんな感じのことがあったんだ」
「そんなことがあったんですか……」
「ああ、あれ以来は盾を装備すると手が震えて戦えないんだ」
「そんなにトラウマになってるんですか!?」
サヤはカズヤのトラウマに若干引いているが、それはレアアイテムを闇の彼方へと葬り去ったこと(要するに強化の失敗によるアイテムの破壊)がないからこそカズヤを理解する事ができないのだろう。
まあ、カズヤのトラウマのレベルが異常であるのも事実だが。
「それと『The Legend』は色々あって急にサービスが終了してな、それ以降はリオンと会えてないんだ。だから俺がカズヤだってことが分かるように片手剣しか装備してない」
「そうだったんですか……。あれ? でもそれなら知り合いをたくさん作ってリオンさんの情報を集めた方がいいんじゃないですか?」
「……俺、人と話すのが苦手だから」
「へ? 私とはこんなに話してるのに?」
サヤはもっともな疑問を口にする。
「それはまあ……出会い方があんな感じだったから」
「なるほど……あれなら仕方ないですね」
「だろ?」
そんな風に、四月の心地良い太陽の光に当たっているせいか会話はのほほんとした緩いものとなっていた。
「おっ。そろそろ森に入るな。武器とか回復アイテムの準備をしとけよ」






























だが自分はサイトの方で見ようと思うw
だからこっちの方が早く公開したり……w
ニコタの方がうpはやいとかwww
……ぜったいに時間がかかるよ。ごめんなさい。