原発作業員の安全はどうなっているのか?1
- カテゴリ:ニュース
- 2011/04/07 19:25:02
今回は私のとっているメルマガから。
「国を守ろうとしている原発作業員を守ろうとしない国は、
やがて世界から孤立する」
有限会社T&Jメディカル・ソリューションズ代表取締役
木村 知
東電福島第一原発事故は、発生から三週間以上経過した現在も、
未だ冷却装置の復旧がなされないばかりか、多量の放射性物質を含んだ汚染水の処理に難渋するなど、ますます深刻な事態に陥りつつあり、作業の長期化はもはや疑いようがない。
現場では、現在も多くの作業員の方々が連日作業にあたっているが、高放射線量が測定された水たまりでの被曝事故をはじめ、衣食住すべてにおいて非常に劣悪な労働環境、さらに線量計不携行での作業といった杜撰な放射線管理など、作業員の安全を脅かしている問題点が、次々と顕在化してきている。
このような杜撰な放射線管理の実情を耳にすると、驚くべきことで「あってはなら
ないこと」ともちろん誰でも思うに違いないが、混乱を極めている実際の現場におい
ては、むしろ驚くべきことではなく「そうせざるをえないこと」になっている可能性
も否定できない。
「線量計が鳴らなかった」とか「数が足りなかった」というのは、おそらく言い訳
にすぎず、「線量計など付けていては、あっという間に被曝線量上限に達してしまい、作業にならない」というのが、実態ではなかろうか。
これら作業員の方々の労働環境を監視・監督しているのは、いったい誰なのか?
そして作業員の方々の肉体的・精神的健康管理は、いったい誰が行っているのか?
それとも、これら作業員の方々の労務管理、健康管理は、いっさい誰も行っていな
いのか?
これらについて、明確な証拠を持って情報を開示する義務が、東電にはある。
そしてこれらについて、東電が情報開示しないのなら、国が責任を持って現状調査し、国民に情報開示し、早急にそして適切に問題点を是正しなければならない。
もしもそれを行わず、杜撰な放射線管理がなされているのを知りながら、「見て見
ぬフリ」をして、それを放置しているのであれば、それは国が作業員たちの「人権」
を認めていないということに、他ならない。
これは、明らかに憲法違反だ。
もしもこれらが「放置」されているならばそれは、「国家的犯罪」と言わざるを得
ない。
さらに、原子力安全委員会・緊急技術助言組織は、大量被曝の危険性がある作業員に対しての事前の造血幹細胞採取について、以下の見解を示し、その必要性を否定した。『造血幹細胞の事前採取については、作業従事者にさらなる精神的、身体的負担をかけるという問題があり、また関連国際機関等においても未だ合意がなく、国民にも十分な理解が得られてはおりません。このため、現時点での復旧作業従事者の造血幹細胞の採取は、必要ないと考えます』
一見、作業員の精神的、身体的負担についての配慮を窺わせる文体だが、いったいどのような「負担」がかかるというのか、これではまったく分からない。そしてその「負担」というのは、現場で作業を行っている作業員の方々が、今現在味わっている「負担」、そして今後味わうかもしれない「負担」と比べて、著しく大きい「負担」
といえるものなのであろうか?
そしてこの見解は、大量被曝のために準備し得る施策についての、作業員の自由意思による選択肢さえも制限しかねない見解と言えるのではなかろうか。
2に続く