Nicotto Town



つ、津波が来るゥ


被災者支援活動その3は、医療者区分の赤いゼッケンに「お薬調べます」と掲げて、県内最大被災地に乗り込む事になった。

「自信がない。」と言う私に彼から渡されたのは『日本医薬品集データベース』それと幾つかのCDデータベース。これらを私のモバイルPCにインストールすれば、薬とその解説が検索できる。

このPCは小型なので、電源無しで最大10時間ぐらい使えるはずなんだけど、検索を駆使しても67時間は使えるはず。

他にも、ジェネリック医薬品とか市販薬などが分かる本なんかを1セットで結構な重さになるけど、大きな力を得る武器になる。

使い方を練習したけど、何とかこなせそう。

3日分+αの生活出来るだけのものを車に積み込み出発。

車はハ○エースワゴン、後ろには大きなマットレスもある、この中で寝泊まりできるようにしている。

現地に着く前、下り坂が続く、もう直ぐ街に入るというところで彼は車を止めた。「どうして?」と呟く私の手を取り、道脇の少し高い所に上ると、そこから街が一望できる。

息を呑んだ。溜息も出ない。幾つかのビルを残して瓦礫の砂漠区の様。

瓦礫の中を道路だけは確保され、砂ぼこりの中を車が走っている。青い海の見える港町は痕跡すら無くなってしまっている。見つめる目から涙が出る。

「見たろう。あそこに行くんだぞ。大丈夫だな。」彼が私の肩に手を置いて呟く。頷く私は覚悟が出来た。

戦場に入る時ってこんなだろうか。これから戦いが始まる。そんな心境になる。

ボランティアのテント村が出来ている。その近くに車を止め、大きなショルダーバッグに私達の武器と飲み物なんかをを入れて仮設の病院に行く。医療者用の赤いゼッケンに『おくすりを調べます。』、と書いたものを着けて。

すごい数の患者さんがいる。

こういうところでは診察もさることながら、薬のほしい人が多い、ところが、何の薬を飲んでいたのかきちんと知ってる人は少なく、『おくすり手帳』とか、まして処方箋を持っている人は殆ど居ないので、たまに現物を持っていても何の薬なのか分からないという。

そこで、診察前に出来るだけ飲んでいた薬を把握しておければいいんだけど、それを行う人が少ないという事なんだ。

振り分けられた患者さんが私達の前に来る。彼が、色々聞き出して「降圧剤の写真を」とか「不整脈の」とか言われるのをPCと本で探し出して渡すとそれを見せて効きだして、飲んでいた薬を調べ上げる。それが分かれば、診察は速くなるから。

中には20種類以上の薬を飲んでいたという人もいて、全て同じにとはいかないので、さしあたって必要と思われる薬だけでも推測しないといけないのだが、医学知識が無いと聞き出すことすらできない。それでもドクター任せにしないとお手上げの事もある。

慣れて来ると、薬の現物を持っているが何の薬かわからない場合の患者さんは、殆ど私に任されてしまった。これは錠剤の色と形、記号、数字、放送などで100%調べる事が出来るから、コツが分かれば結構な数がこなせるようになる。

でもキリが無い世界だ。

ここに来ているドクターは「国境なき医師団」の方々で、その中の一人から「学生さんだって?いや~ありがたいね。」と言われた。「私、役立っている。」去年あたりから「ひとに迷惑にならないように」を意識して心掛けるようになったばかりなのに、今は人に役に立つことしているなんて、自分でも信じられない。

彼からも「結構戦力になっている。」と言われたし、3日間我ながらよくやったと思えた。

最後の日は遅くまでやっていたので遅くなり、夜が明けてから帰る事に。2人で車の中で寝ていると、外から車を揺さぶられて目が覚めた。大勢で車を揺さぶっているのか、いたずらにしても程がある。と思っていると彼が「地震だ。」

あわててとび起き、サバイバル品のリュックを背負って懐中電灯で外へ出ると。駐車場の入り口で、「車はダメだ。」と叫んでいる。ラジオでは津波警報だ。

今度やられたらひとたまりもない。高い建物は廃墟なので、高台まで走るしかない。

懐中電灯が揺れる真っ暗な中をひたすら走った。先に向かっている人が「こっちだ。」と叫んでいる。

ボランティア村の人達は元気な人ばかりなので皆速いよ。5分ぐらい走って皆息が切れてる中で、ラジオから「早いところは5分程で第一波がきます。」と。

皆で今かと真っ暗な海の方を見てる。

結局、津波は来ず。警報解除まで2時間近くそこにいた。

車に戻ったけど良く眠れない。うつらうつらで夜が明けた。海から昇る朝日がまぶしい。

帰り道。高速は通行止め。国道は混雑。信号は点いていないところがあったりして普段の倍以上かけて帰宅。

またもや震度6とは。もうカンベンしてほしいヨ。

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2011/04/11 00:02
りつさん
ビストさん
先日の地震は、本当に誰かが車を揺さぶっていると思いました。
その後の津波からの非難は皆真剣でした。

皆さんが安泰に暮らせるまでは大分時間がかかると思います。
少しでも人のお役に立てるよう頑張りたいと思います。
今後もご支援ください。
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2011/04/10 21:21
3日間お疲れ様でした^^
先日の余震結構大きく、東京も横揺れを感じました。
ご無事で何よりです。

そして、お薬の調べるボランティアお疲れ様でした。
兄が先日石巻の方にボランティアの行ったのでその際の写真見せてもらいました。
言葉が出ないってこういうことだと思いました。
徐々に周囲が回復してきた中での余震で、また電気を奪われた所、断水になった所など、さまざまな所でまた、問題が起こってしまったようですが、被災地の一日でも早く復興されると事をお祈り申し上げます。
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2011/04/10 20:09
3日間お疲れ様でした。
先日の地震 東京でも結構揺れましたが
宮城だと当然もっとすごいわけですよね、

毎回プログを読み活躍ぐりには頭が下がる思いです。
自分の出来る範囲のことでこれからも被災者の方を
サポートしてあげてください。

私も、遅ればせながら、GW中はボレンティアで
東北入りを考えております。
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2011/04/10 13:53
月星大尉さん
Rosebankさん
優さん
ラクトリオさん
koshiさん
纏めてで申し訳ありません。
皆様からこうして労いの言葉を頂けるのが
私にとって最高のご褒美だと思ってます。
多くの方々からご心配戴いて、励まされて、
自分の行動が支持されている事を感じるのが
これほど嬉しい事だとは想定外でした。
また機会を見て行ってこようと思います。
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2011/04/10 12:39
お疲れ様でした。
色々と大変な3日間だと思いますが、
この経験はきっと、れいさんの人生に活きるはずです。
見た景色を忘れないで下さい。
僕みたいにテレビを通してみる画像ではなく
実際に目で見た画像の方が衝撃が激しいはずです。

本当にお疲れ様でした
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2011/04/10 09:13
おつかれさまぁ

その言葉しかかけられないことが申し訳ないような気がしますが、その言葉しか言えないです。
きっと3日間、貴重な力だったと思います。

ホントにお疲れ様でした
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2011/04/10 09:05
お早うございます。お疲れ様でした。

良く頑張って来られました。毎回、毎回頭が下がる思いを感じます。
今度の被災地支援で、自信がついて良かったですね。その調子でいけば、皆さんの基調な戦力に成る事は間違いないでしょう。

地震が有ったりで大変でしたが、良く頑張って来られました。お疲れ様でした。
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2011/04/10 09:04
津波がこなくて良かったです!
しかし震度6とは;; 一体いつになったら地震は止まるのでしょうか。

天災だけは防ぎようもないのでしょうか。
だけど、私達は精一杯生きたいですクポ(゜_゜)。。
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2011/04/10 01:33
今晩は。
お疲れ様でした。
震度6超の余震(こんなでかい余震有るのか?)+津波禍,大変でしたね。
でもこうした苦労か,現地の方々にとってどれ程の救いになっていることか。
ありがたいことです・・・。
M町かI市かO市でしょうか。
被害甚大ということは・・・。

改めて私もこの目で現実を認識すると共に,生き残った者の務めとして,慰霊・鎮魂の為に香華を手向けてきたい・・・と思いました。
今の私にはそれぐらいしかできませんので・・・。
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2011/04/10 01:16
にょんさまさん
毎日飲んでる薬が切れるのは不安ですよね。
降圧剤は切れると大変なことになる場合がありますので、
また、何でも言うわけにはいかない事があるので、
これまでを把握しないと厄介ですから。
お役にたったと思われただけで、やりがいがあります。

それにしても、本当に「もうカンベン」デスね。
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2011/04/10 01:07
「お薬調べます」って何の事だと思ったけど、そう言う事だったのですね。
確かに、毎日欠かさず薬を飲む事になっている方は、避難の時に持ってきている事も多そうですね。

しかし、降圧剤なんて飲んでいた人は今まで薬が切れなかったのか心配になりますねぇ〜

東京にいてももう地震は勘弁してほしいと思っているくらいですから、現地ではさぞかし…お察しいたします。
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2011/04/10 00:31
いちじろうさん
ご声援ありがとうございます。
応援頂ければ、
まだつづけられます。
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2011/04/10 00:24
Himawariさん
過大なご評価いただいて嬉しいです。
現地で頑張っている人は大勢います。
私は休み休みですが、ずっと留まっている方々もいます。
現地に行けなくてもエールを送っていただければ
力になります。
心のご支援を宜しくお願いします。



はにぴょんさん
私に体力があれば、
もっと力を出せるんですけど。
被災者の方々は休む選択肢がないんです。
一人でも多くの支援者が求められているんです。
皆が安泰に暮らせるようになってほしいですね。
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2011/04/10 00:12
怪我はなかったですか。
決して安全ではない場所での支援活動、本当にお疲れ様です。
専門知識を活かした活動は、多くの人に希望を与えるでしょう。
余震が少しでも静まり、心に少しでも安心感がでてくればいいのですが……

精神的、体力的に、まだまだ厳しい時間が続くかもしれませんが、
がんばってください。応援しています。
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2011/04/09 23:51
よくぞがんばってくださいました!
津波がまた被害をもたらさなくて良かった
文章を読んで涙が溢れるほど現地の悲惨さが伝わります。
まだまだ長期戦でしょう。
れいさんのように勇気のある行動を起こせる人たちは
現地であの日からずっと戦っていらっしゃる
本当に脱帽です
遠くに居る私たちは直手を差し伸べることは出来ないけれど
間接的に自分たちの出来ることを協力します
どうぞ、またこのように今ある現実をお知らせくださいね
エールを送ります!
第一線にいるれいさんたちが元気というエネルギーを保持し
生き生きと活動できるよう、祈っております。
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2011/04/09 23:41
うう・・・本当にお疲れ様でした
れいさんの活動には心から尊敬申し上げます

一日も早く、平穏が訪れます事をお祈りいたします



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