名前を消した男 7
- カテゴリ:自作小説
- 2011/04/14 12:35:04
僕は消える機会が訪れるのを待っていた
三月になっても東北では真冬なみの寒さだ
空は曇り低く海はどこか冬の日本海を連想させた
僕は鵜の巣断崖の展望台と駐車場の間を何度も行き来した
駐車場の車がなくなるのを待っていたのだ
誰にも気づかれないよう荷物だけを残して消えるために人が居なくなるのを待っていた
駐車場には京都ナンバーの車が一台、僕の来た時からずっと止めてあった
来た時にはまったく気にはならなかったけど、いざ偽装自殺を実行するとなると気になる車だ
捜査組織には特別な組織がある
組織の信頼を維持させるために、組織の不祥事や失敗をもみ消し闇に葬る尻拭き屋と呼ばれる組織だ
彼等は決して世間に知られることはない
闇から闇のうちに仕事をこなす影の存在だ
組織自体も一部の人間を除いてしか知らない組織だ
僕はそれを薄々感じていた
『もしかしてこの車は尻拭きの車』
僕の頭に直感が走った
僕はあたりを見回した
けれど、この車の持主はどこにも見当たらない
僕の頭の中に彼等が林に隠れて会話してる様子が浮かびそして聞こえてきた
「やつ、なかなか自殺しませんね」
「ほんとうだ。しぶとい奴だ」
「死体はどうしましょう」
「偽装自殺ということにしなければまずいだろう」
「闇に葬る。ですね」
「そうだ」
僕は偽装自殺の実行を中止することにした
展望台に戻りこれからの計画を考えなおしていた
大地が揺れる30分前のことだ

























殺人犯の身内がどんな目で見られるか
それを考えるとやはり先に偽装自殺です
それなら、被疑者死亡で書類送検になるのではないでしょうか。