名前を消した男 9
- カテゴリ:自作小説
- 2011/04/17 14:34:28
鵜の巣断崖の駐車上から真木沢海岸まで下りる道は普通の山道に近かった
枯葉に覆われた狭い地道には階段もなかった
道はしばらくは平坦であった
突然、僕の前の道が滑り台の様に見えた
『えぇ、ここを下りるのか』
僕がそう思ったときだ
鳥の騒がしい鳴き声がした
遠くのほうで地響きが聞こえ体が左右に揺れだし、木々がギシギシと音を立て軋み始めた
僕は目まいがしたのかと横の木を抱きかかえた
『なにかおかしい』
僕が手をまわして抱きかかえてる木も揺れているのだ
小石が目の前の坂を転げ落ちだした
『大地が揺れている。地震だ』
僕が地震だと気づくのには時間がかかった
僕はすぐにおさまる思って木からいっぺん手を離した
しかし大地の揺れはおさまるどころか激しさを増してゆく
僕は再び木に力いっぱいしがみつた
僕の大切な荷物が坂を転がり落ちていく
足の裏からは木の根が動いて地面が波打つのが伝わってくる
『これは大きい。早くおさまってくれ』
僕はただその言葉しかなかった
それから約一分程、大地の揺れはおさまらず僕は木にしがみついたままだった
一分をこれほど長く感じるとは思わなかった
やがて静寂が戻ってきた
何事もなかったように静かになった
大地の揺れがおさまったのだ
僕はどうしていいか分からなくなっていた
偽装自殺の計画も頭からすっとんで消えていた
とりあえず今の地震のことが知りたくなり携帯をポケットから出しYAHOO!ニュースを見た
ニュースの見出しには東北地方で大きな地震と書かれ各地の震度が載っていた
そしてすぐに大津波警報が三陸海岸に出たことも伝えてくれた
僕は急いで荷物を取りに坂を下りた
途中の木にひっかかり下まで落ちなかったのでよかった
僕は荷物を手にすると坂道を必死で登り駐車場へと向かった

























私も、まず揺れが終わってした事が、TVをつけて情報収集でした。
津波が来るのは、場所により時間もマチマチ。
彼は上手く逃げ切れるのでしょうか。