Nicotto Town ニコッとタウン

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名前を消した男 11


僕は海を寒さに震えながらずっと見ていた
嵐のような引いては打つ波でなく複雑に動く波達
それはひとつの波でなく大きな水の丘が岩壁にぶつかって丘の上の海が荒れ狂うような感じだ
ひとつの海の丘がなくなるとまた次のがやってくるのが見えた
津波の第二波だろう
僕は時計を見た
午後4時前だ
僕は想像した
宿のある海辺の町のことを
僕の想像では海に沈んだ家しか頭に浮かばなかった
そして単純に家の中で泳いでる自分を思い浮かべた
僕は津波に巻き込まれずに良かったと思った
ヘリコプターが僕の上を飛んでいった
自衛隊のヘリコプターのようで戦争映画によく出てくるやつだ

寒さと疲労を感じた僕は駐車場に戻った
駐車場には誰もいない
僕はただ一人この世に残された気がした
駐車場にはトイレがあった
そこで夜を過ごす事にした
暗くなるにつれて寒さがましてくる
荷物から服を取り出しそれを着れるだけ着た僕は着脹れ人形だった
すぐに疲れが僕を眠りに導いた
僕はいつのまにか寝てしまっていた
けれどもすぐに起こされてしまった
トイレの建物が音を出して揺れ始めたのだ
『また地震か』
そう思って目を覚ました僕は辺りの暗さに驚いた
何も見えない
その揺れはすぐに収まった
『最初の地震の余震か』
僕はそう思い安心した
ポケットの中から携帯を取り出しそれを明かりにして鞄の中かのライトを探した
単三電池一個の大きさのLEDのライトだ
ライトをつけた僕はその白色の明かりの中、鞄から飲みかけのペットボトルの冷えた紅茶をだし口にした
『お腹がすいた』
僕の頭の中に浮かんだ言葉だ
そして『おお寒い』
僕は携帯のニュースを見た
地震のことばかりが載っていた
でも死者の数が少なすぎると思った
ニュースではまだ数十人の死者のことしか報道されていなかった
『こんなに大きな地震と津波なのに』
僕はたいしたことはなかったような錯覚に陥った
また眠気に誘われた僕はすぐに寝てしまった

#日記広場:自作小説

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2011/04/24 00:03
暗闇と揺れ。被災地では続いていたんでしょうね。
真っ暗じゃないと眠れないのに、暗闇は怖いです ^^;
でも、明るくなって周りを見たら、暗闇の中の方が良かったと後悔しそう。。。



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