Children's Fantasy ...
- カテゴリ:自作小説
- 2011/04/21 22:50:25
第一章 其の九
「じゃあ、狩り再会するか!」
「はい、そうしましょう!」
そして二人は狩りを再開する。
カズヤは先日サヤが経験値が70%を超えたと言っていた事を思い出す。それならばそろそろサヤのレベルが上がる頃だろう。
高レベルになると1レベ上げるのに何日もかかるんだよなぁ、と思いながらサヤのレベルアップのために少し気合を入れる。
少し離れた所にモンスターの集団がいる。ならばやるべき事は一つ――突撃だ。
「さてと。少し本気を出すか」
「え? カズヤくん。なにをする気――」
「サヤのレベルアップに貢献しやがれモンスターども! サヤは一発でもいいからあそこのモンスター全部に攻撃当てとけ!」」
一撃でも攻撃を当てていれば、少しはサヤへ経験値が入る。全部をカズヤの攻撃で倒してサヤがボーナス経験値だけを得るよりはマシだろう。
カズヤはモンスターの集団へ向かって加速スキルの『ヘイスト』を使い走り出す。まずは前進しながらの3連続攻撃の『柳刃』を使う。これで1体。
続いて回転斬りの『竜円斬』を使う、これでほとんどのモンスターのターゲットを取った。
クマッチョが正面から右腕を振り上げ殴りかかってくる。それを体を右へ動かし回避する。そしてすれ違いざまに足をかけて転倒させる。転んだ所にクマッチョの頭を剣で斬り落とし止めをさす。これで2体。
左右からほぼ同時にポコポコが飛び掛ってくる。両方対応する事は諦め、右のポコポコへ一閃。対応できなかったポコポコに左腕を噛み付かれる。体を振ってそれを落とし、足で踏みつけ動けなくする。一刺し。しかし倒せない。もう一度刺すと倒せた。これで4体。
今度はカズヤから攻撃する。高威力の攻撃スキルの『砲刃』を前方へいたクマッチョへ向け発動させる。剣を地面へ叩きつけるように振り下ろす。いや、実際に叩きつけている。叩きつけた事で起こった衝撃波でクマッチョの傍にいたポコポコが宙へ舞う。そこへ突き攻撃の『竜牙』で止め。これで6体。
と、後頭部への鈍い痛み。クマッチョに殴られたようだ。視界が揺れる。頭に攻撃を受けるとこうなるということを、カズヤは始めて知った。今まで後頭部を殴られそうになるような無茶な戦闘をしたことがなかったからだ。
後ろへ振り向きながら剣の柄へ両手を添え腕を引き、前へ押し出す。背後のクマッチョを剣で貫く。クマッチョを突き刺したまま、剣を後ろにあった木へ突き刺し固定する。左手に何も装備していないおかげか、カズヤは格闘スキルをいくつか使えた。左腕に力を籠める。そしてスキルを発動させる。『竜牙拳』、竜の牙のエフェクトを纏いながら相手を殴る技だ。人間であれば心臓がありそうな場所を貫く。7体目。
残りはクマッチョ2体。カズヤは現段階で一番の高性能スキルである『四影斬』を使い両方を狙う。目にも留まらぬ四度の攻撃。グォォ、とクマッチョから最後の声が上がる。ただし、一つだけ。
もう一体は倒せていない。クマッチョの拳が迫る。それを左の手で受け止める。しかしカズヤは受け止められるほどの力を持っていない。足に力を入れ踏ん張る。地面が削れ、1メートルほど押され止る。クマッチョのHPは残り僅か。スキルなど必要ないと言わんばかりに通常攻撃で止めを刺す。
これで――終わり。
ふぅ、とカズヤが一息き、剣を鞘へ戻す。それと同時にサヤの方からレベルアップした時の音が聞こえた。