Nicotto Town ニコッとタウン

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名前を消した男 14


真木沢海岸は鵜の巣断崖の北側にある谷が海に開けたところにある小さな海岸だ
谷の真喜沢川が上流から運んだ小石がたまって海岸になり、それが扇型に開いているように見える
鵜の巣断崖の駐車場からだと、一旦県道に出て林道のような地道で車一台が通れる道を下れば、車でも直接海岸まで行く事ができる
僕は県道と海岸を結ぶ道までやっと降りてきた
さっきまで海水に浸かっていたのか道は湿っていた
その道を僕は急いで荷物のキャリーバックを引きずりながら海岸へと向かった
海岸は月明かりで薄っすらとその様子を見ることができた
海は元の位置に戻り、漂流物がやたらと多い以外は普通の様子だ
僕は津波がまたやってこないか心配だった
急いで波打ち際まで行った僕は、荷物とポケットから出した携帯が海の水で濡れるように、荷物のチャックを広げその中に携帯を入れ波にさらした
海水の入った荷物は打ち寄せる波に重さを増していく
適当に僕は荷物を引き上げ鞄のチャックを閉めた
濡れて重くなった荷物からは海水が垂れている
僕は力をこめてその荷物を引きずりながら自然歩道海辺の道にあるトンネルへと向かった
海岸にそそり立つ岩をくり貫いただけのトンネルだ
トンネルに息をきらしながら着いた僕は、荷物をトンネルの中に残し急いで道に戻った
『誰か荷物を見つけてくれ』
僕は心の中でそう思った

県道から海岸への道の途中には三陸鉄道北リアス線の鉄橋が谷にかかっていた
そこで列車は一度トンネルを出て鉄橋を渡りまたトンネルに入る
『トンネルの入り口がそこにある』
僕はそう信じた
僕は津波の恐怖に追い立てられながらそこを目指した
海岸から鉄橋までは地図では600メートルぐらいのはずだ
谷では月明かりも暗かったが、谷の両側の津波の爪あとははっきりと見ることができた
波で細い木々が横になぎ倒れていた
道と川底には流れた木の枝や幹が散乱していた
しばらく歩くと鉄橋が僕の目にいった
鉄橋は鋼鉄の柱が三角に組まれ、鋼鉄に塗られたペンキの色で他に見える物より白っぽく見えた







#日記広場:自作小説

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2011/04/27 23:33
着々と偽装が進んでいますね。
でも、自分を消して犯行を行った後、残るのは何なのでしょう。
家族の許に戻る事も出来ないでしょうし……。



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