Nicotto Town ニコッとタウン

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名前を消した男 19


僕は寒さで目を覚ました
悪い夢をみてうなされていたので、寒いのに額に少し汗をかいていた
ペットボトルを見ると水で一杯になり、飲み口から透明な水が溢れ出していた
僕はすぐにそれをつかむと、口に含み上を向いて一気に喉の奥に流し込んだ
冷たい地下水が食道を伝わって、お腹のなかに流れこんでいくのが分かる
気管支に流れ込んでしまったのか、僕は急に咳き込んでしまった
咳が激しく出て、僕が水を飲み続けるのを止めた
やっと咳きが止った僕は深い呼吸をしながら時計をライトで照らし時間を見た
日付が変わってすぐの時間だ
「夜中の12時か」
僕は疲れを感じた
地震の揺れと津波、そして車の死体
それはあまりにも非日常的なことなので、僕の理解を超え精神的に僕を疲れさしたのだ
僕は島越まで行けばなんとかなる、運がよければ布団で寝られるかもと思った
水が半分残ったペットボトルをリュックにしまいそして背中に背負った
肩のベルトが食い込む感じで重く感じた
僕はトンネルの中をまた歩き始めた
少し歩くとトンネルの空気が冷ややかで湿った感じになり空気の流れも感じ始めた
『出口が近いな』
僕がそう思った時、先の方に小さく出口らしき物が見えた
暗闇の色がトンネルの形に少し薄くなっている
ライトの光が届かないずっと先の暗闇に浮かんだ出口だ
歩くにつれてその大きさが増してゆく
そして出口にたどり着いた
出口の向こうは谷になっていて、そこには橋のような小さな鉄橋がかかっていた
そして向こうにはまたトンネルの入り口が見えた
『あのトンネルを抜ければ島越だ』
僕は急いで線路を歩き谷を渡った
この谷は海から離れているので津波の爪あとはなかった
トンネルは短くすぐに出口が見えた
そしてトンネルの出口にたどり着きそこに立った僕は言葉を失ってしまった
線路が途中で無くなっている
何もかもが津波で消えていたのだ

#日記広場:自作小説

アバター
2011/05/03 08:58
津波の威力は改めてすごいと思ってしまいました
自然災害は人間にとって大きな脅威になります
生死を分けるぐらい
その発生のメカニズムが解明され予測さていても
どうすることもできない
安定した自然のなかに生かされてるのかもしれませんね
アバター
2011/05/02 02:48
島越に着けば何とかなると言う希望を打ち砕かれてしまいましたね。
でも、情報がないと、こんなに広範囲に亘って被災しているとは思わないでしょうから……。

今の日本の状況は、漫画の『サバイバル』や『ドラゴンヘッド』に似ていますね。
どちらの作品も、最後はどうなったのか分かりませんが ^^;



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