Nicotto Town


暇人の暇人による暇人のためのブログ


パンドラの鍵 1章〔後編〕


日向「望みが叶う?・・・そんな事が信じられると思ってんのか」
フール「まあ、無理でしょうね。なので、ちょっとした証拠をお見せしようと思います。・・・ちょうど7時になりますね。ニュース番組をご覧になってください。・・・双葉銀行爆破が報道されていると思いますが」


真はその言葉に驚愕し、慌ててテレビを点ける。
ちょうど、ニュースが始まろうとしたところだった。

そして、速報として双葉銀行の爆破事件が流れた。
負傷者が数人、そして職員の1人が死亡、原因は未だ不明とのことだ。


真「・・・・・・・・」
フール「ご覧になられましたか?」

フール「あの事件は、他の鍵の所有者・・・我々は『ホルダー』と呼んでいます。これは6番鍵の『ホルダー』が起こしたものです」

真「なっ!」
フール「事の詳細はSDに同梱されている『NEWS』のツールにてご確認ください」
真「ま・・・待て!おかしいだろ。犯人が分かってんならどうして警察に知らせない!」
フール「それが我々の仕事だからです」
真「・・・なに?」


フールは、まるでそれが当たり前であるかのように話す。


フール「このゲームを成立させるため、鍵の所有者が警察に逮捕、なんてことがあってはなりません。ですから、ゲーム開催中は我々が『ホルダー』の起こした事件を隠蔽させていただくのです。もっとも、他の『ホルダー』には『NEWS』で筒抜けになるわけです」

真「・・・じゃあなにか?今ならその『ホルダー』が人を殺してもお前らがそれを隠しちまうってのか?」
フール「そうなります」
真「ふっざけんな!そんな馬鹿げたゲームに参加するわけねぇだろ!」
フール「残念ながら、それは無理かと・・・」
真「・・・何だと?」
フール「鍵の所有権を放棄、もしくは他の『ホルダー』に鍵を奪われ、24時間経過した場合・・・」


そして、フールは最も残酷な”ルール”を真に告げる。


フール「その『ホルダー』は鍵の所有権を失い、我々が『始末』する手はずになっているからです」

真「・・・・・は?」


呆ける真を無視し、フールは話を進める。


フール「他の『ホルダー』の情報は『NEWS』、もしくは独自でお調べになってください。・・・私に説明できることは以上です。貴方の御武運をお祈りします。それでは」
真「な、待て!」


しかし、通話はすでに切れており、不気味なくらいの静寂が周りを支配した。













翌日、真はいつものように朝食を済ませ、いつものように学校へ登校し、いつものように自分の席に座る。
が、その顔は優れない。

昨晩、フールとの通話後、真はまず鍵を調べた。
すると、柄の部分に『3』と彫られていた。

つまり、真は3番鍵の『ホルダー』ということになる。

次にSDメモリに入っていた『NEWS』というツールを確認する。
そこにはこんな事が記されていた。


【5月15日(日)15:00 6番鍵の『ホルダー』が双葉銀行に爆破を決行】


更に、警察しか知らないような事件の詳細までが記されていた。
使用された爆弾はプラスチック爆弾であることが書いてあったり、爆破後の銀行内の画像まで添付されていたのだ。
これを見た真は、フールの話を信じざるを得なかった。


真「(あれから他の『ホルダー』に動きはない・・・なら、しばらくは様子見といったところか)」


無論、真は他の『ホルダー』を犠牲にしてまで願いを叶えようよは思わない。
なにより、彼は気付いてしまった。

ゲーム中に『ホルダー』の犯罪が全て許されるということは、『ホルダー』が『ホルダー』を殺害しても隠蔽されるということだ。

何より、もう既に死人が出ている。
下手に動くのは危険だ。

だがそれでも、これ以上犠牲者が出ていくのを黙って見ていられるほど、日向は保身的ではない。


日向「(とりあえず、事件のあった双葉銀行にでも行くとするか。写真があったとはいえ、現場を見てみないことにはな・・・)」


あれこれ思案しているしていると、これまた暗い顔をした弥生が教室に入る。


弥生「あ・・・真。・・・・・ちょっと話があるんだけど、いい?」
真「・・・ん?いいけど、あと5分でHRだぜ?」
弥生「あー・・・。まあ、ちょっと長くなるけど、HRサボればいいでしょ」
真「いや、俺は困るんだが・・・まあ、いいけどさ」


弥生は「あまり人に聞かれたくない話だから」と言って屋上へ向かう。
当然、人は誰もいなかった。


真「それで話って?」
弥生「うん・・・あのさ。昨日、真と幸久が帰った後、家にも・・・届いたんだ、私宛に」
真「?届いたって・・・何が?」

弥生「・・・昨日、祖母ちゃんが真に渡した鍵が入ってた箱と、同じ物がよ」












こうして、物語の蓋は開かれた。
この物語の終焉が希望で飾られるのか、それとも絶望に染められるのか。

彼らはまだ知るよしもなかった。
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中編から結構開いてすいませんorz
2章から本格的に話進めるつもりですb

感想・ご意見等お待ちしてます(ペコ

#日記広場:自作小説

アバター
2011/05/03 21:02
す・・げぇ
いいところできりやがるwww
いいねいいね最ッ高だねェ!
次が楽しみです
アバター
2011/05/02 20:14
久々。
前編に続き後編。いいですな。



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