風景画を見るのが好きだ。
- カテゴリ:アート/デザイン
- 2011/05/23 23:58:55
久しぶりに画集をパラパラと眺めてました。
私が特に好きなのは、ルネサンス期から1700年代のイタリアの風景画。
この時代の風景画には、聖書や神話を題材にした風景画というのが結構あります。
で、聖書を題材にした風景画で「エジプトへの逃避」がよく描かれていたりする。そんな絵画の中で、時々ピラミッドも一緒に描かれている物もあったりするのですが、どうもピラミッドのスケール感がおかしい。絵画の中のピラミッドと思われる建築物は、30個ばかしの長方形の石を、三角形のシルエットになるように、人の背の高さまで積み上げた感じなのだ。
画家はヨーロッパの人だから、多分本物のピラミッドを見た事が無かったのかもしれない。「エジプトへの逃避途上の休息」を題材にした絵を描く時に、伝聞によるピラミッドを描き込んでみた?という感じ。きっと当時は資料も無いし、気軽に旅行にも行けない時代だからね。
ルネサンス期から近世にかけての、移動に馬車を使っていた時代は、現代のように気軽に旅を楽しむなんて時代じゃなかった。楽しむどころか、恐ろしいとしか言いようの無いものだった。何しろ、人里離れた道は追いはぎや盗賊だらけ。武装した集団の一員と一緒じゃないと、とても旅なんか出来なかった。
イタリアあたりでは、ヴィットーリオと呼ばれる案内人を雇って旅をする事も出来たけど、この案内人自身が盗賊なんかと手を組んでいる事もしばしば。とにかく旅は命がけだった。
そんな時代のヨーロッパ人の、しかも一般人の画家が、エジプトの情報を手に入れて、絵を描くなんて、かなり大変な作業だったに違いない。なので、当時のヨーロッパ人の描く「エジプトへの逃避途上の休息」は、エジプトを題材にしていても、ヨーロッパ的な空気を感じる風景画になっているのね。でも、「エジプトにはピラミッドという三角形の建築物がある」という事を知っている画家は、想像力を駆使して頑張って描き込んだわけ。
そんな事を考えながら、風景画を見るのも、結構楽しい。
そういえば、聖母の衣装も時代毎に変化があったりして面白いですよね。
近世のヨーロッパ事情に比べると、江戸時代の日本の平和っぷりは異常です〜
既に『物見遊山』という言葉があって、庶民が伊勢参りとかしてたんですもん。
あれも、面白いです。
応挙の動物は、あまりにリアルで、額の外に出てきたそうです。だから、縛ったとか。
ただ…あのトラがリアルかどうかは微妙ですが。
聖母やその周りも、妙に西洋風だなーってよく思います。
その絵を見たことはないのですが、
その頃に旅行をする人の様子をイメージできました。
おもしろい(興味深い)と思いました。
よーく考えれば、昔の旅行はたいへんだったに違いないのに、
最近は、想像をする力も少なくなり、
日頃、短絡的にものを考えるようになってきているなぁ、自分。
私も人物画より風景画の方が好きです。(あまり見る方ではありませんが…)
時代は忘れましたが、ヨーロッパの絵画で、
光や光による影を感じたり、空や雲の色彩の変化を感じたりできるものが好きです。
印象派でしたか?