形ある物はいつか壊れ
生命ある者はいつか滅びる

とは言え、一年前のあの日、5月31日のあの瞬間はあまりに突然やってきた
いつものように、ごく当たり前の日常の中に彼はいるはずだった
その当然を、私は疑いもしていなかった

妙にオーバーな挙動
野太い声や、若さを欠片も感じさせない無精髭
ウェーブのかかったような癖の強い髪は伸び放題
そのくせ、なぜか多かった女性の友人
そんなことからもわかる通り、基本的にいいやつだった

身体能力は極めて高かった
腕力も、俊敏さも、体の頑丈さも、普通の人よりよほど優秀だった
頭はあまりよくなかったかも知れない
何かにつけて、空気の読めていないキメポーズをいちいちしていた

大飯喰らいだった
人の集まる場ではゲフゲフ酒を飲んでいた
でも酒にはあまり強くなく、すぐに足をふらつかせ、大衆の前でもそのまま寝ていた

心根は優しかった
行き場のない猫を知人から率先して引き取り、世話もかなりマメにしていた
家の近所の畑でいろいろなものを育て、よく楽しそうに収穫していた

意外と子供っぽいところもあった
釣りも大好きなやつだった
茂みに入って虫取りあみを振り回す姿は少しシュールだった
様々な色の鉱石や石ころを拾ってきては、部屋の大きな箱に詰め込んでいた

そんな友達、名前はラッセル
彼が大好きだった
出会ってからの時間は3ヶ月あまり、それほど長い時間ではない
それでも私は、彼と過ごす時間が大好きだった

煌びやかな夏は物憂い秋に席を譲り
冬も終わって、春が来て・・・もうすぐ彼がいなくなって一年が経つ


彼の亡骸とも言えるメモリースティックの残骸は、今もちゃんとここにある
もう彼に会うことは出来ないけれど、今は彼の孫娘が私のそばにいる

彼女の両親や祖父(という私的設定)が守っていたポッケ村を離れ
彼女とともにユクモ村で狩猟生活を営んでいるが、彼のことは片時も忘れたことはない

セーブデータのバックアップはこまめにな！！
No more 5.31！
Remember Russel！

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