【人の話は聞くように】

最初の頃は、肉を焼くにも苦戦していた俺だが、さすがに２２時間を超えてプレイしていると、いろんなことに慣れてきた。
生肉も上手に焼けるし、あのアオアシラだってもう敵じゃない（油断するとやられるけど）

こうなってくると、がぜん狩りが楽しくなってくる。未知なる土地に行き、そこにはどんなモンスターが待ちかまえているのか、どんなものが採掘できるのか。わくわくしてくる。

この時点で、装備をまた取り替える。素材の関係で、片手剣をハンターカリンガに強化。
しばし大剣はお休みだ。レギンスも変えて、ふんどし丸だしからおさらばである。

村長から、熟成キノコを採取してくるクエを受けた俺は、さっそくおとも２匹を連れて出かけて行った。
「主人思い」と、「勇敢」なアイルーである。バトルに採取にと、良く働いてくれて頼もしい限りだ。ときどき寝転んでるけど…。

今回のクエはキノコ１０本採ればいい。これは簡単だと、鼻歌交じりに採掘にはげむ。
キャンプからすぐそこに、ガーグァの群れが遊んでいる。
ある１羽を、ジャンプ斬りでうしろからアタックする。すると、大きな卵を落とすのだが、この時はちょっと違っていた。

卵がキンキラだ！

珍しい金の卵！うはははは、と思わず笑いがこぼれる。

これをせっせとキャンプへ持ち帰り、さっそく納品。良い値がついた。
調子に乗って、アオアシラも気合いを入れて倒し、ついでに洞窟に入って、モンスターのフンと竜の卵をゲット。卵は、キャンプまでなんとか持ち帰り、無事に納品した。

ここまでで、ザコを倒し、虫を採り、草も実もタケノコも、たくさん集めまくった。
１つのクエでやれることはやりきろうというわけだ。その方が効率が良い。

しかし、ひと通りアイテムを採った後、キノコを採っていて思った。

特産キノコ…で、いいんだっけ？

俺はついぞまで、熟成キノコを特産キノコと読み間違えていた。
勘違いもここまでくると、自分でも呆れる。

俺は青くなって、クエストを見返してみた。

熟成キノコ０/１０

…採れてない。

これはまずいと、テスト勉強を怠った学生のごとく焦った俺。
熟成キノコはどこで採れるんだ？！
あらためて、クエの文を見なおすと、虫に気をつけろというような内容が。

虫？…虫。俺は虫が出てくるエリアをじっと観察した。
すると、隊列を組んで歩いて行くアリがいる。オルタロスというらしい。

このアリを観察していたら、キノコにたどり着いてそれを食べ始めた。
そこで俺はピンと来た。熟成の意味がわかったのだ。

案の定、青く膨れた腹になったところでやっつけると、キランと地面に光るものが！
これが熟成キノコだったのだ！

俺はいそいそと拾い集めた。でも、たった３個だけ。かなり足りていない。
俺はアリが出てくるエリアへ走った。もう残り１０分しかない。

どうかアリがいますように。俺は祈らずにはいられなかった。なぜなら、ここに至るまでに俺は考えなしでアリを殺しまくったからである。

断崖のあるエリアに来て、ようやく２匹ほどのアリを見つけた。これで少しは確保できるか、と思いきや、思いがけない惨事が俺の目の前で起こった。

忠誠心高いおとも達が、我先にとアリへ向かって武器を振りかざし走って行くではないか！

やめてぇ～～！！
俺の叫びもむなしく、「ゴロにゃ～♪」と可愛い鳴き声をあげながら、アリをせん滅するおとも達…。俺は呆然と惨劇を見守るほかなかった。

結局、最初にアリを倒したのが祟って、時間内に数をそろえることができないと判断した俺は、あまりのショックにリセットしてしまった。
集めたアイテムは無に帰り、まさに水の泡である。

その後、平和主義のおとも１匹連れて無事クリア。
自宅の側に立っている素敵な女性ハンターのセリフに気づいたのは、それから温泉クエスト２つめをクリアした後だった…。
彼女の言葉～「オルタロスの腹に気をつけろ」を、もっと早く聞いていればこんなことにはならなかった。

まだ自宅の本棚にある本も全部読めていない俺。
今後はさらに強敵や難しい謎ときが出ることだろう。今回のようなことがないように、もっと人の話を良く聞いて、情報を集めなくては。