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無名沼での出来事 9


西洋坊主のエンバーミングが人の死について、残された者がどのような態度を示すかが問題であると言い始めました
「憎まれている人間や敵である人間の死は喜ばれ、反対に愛されていた人間や貢献した人間の死は悲しまれる。人間の死とは、生きている者や残された者にとって、死者と関わりやどのような気持で接していたかで単純であったり複雑に成ったりもするものです。しかしそれは生きている者の感情でしかありません」
「そりゃそうです」
キュリッパがうなずきました
「死人は語らずですな」
猫死天狗が口を挟みました
「そこで、死者に対して自分の素直を気持ちを今までのタブーとされてきた死体に対して向けてみてはどうでしょう。土に戻してあげるのもいいし、思い出として写真のように実物を残すのもいいと思いませんか」
「う~ん、良く分からん。人間の気持ちだからな。我々、化けもどきにとっては消滅が人間の死に当たる。消滅すれば何も残らないし残せない」
猫死天狗が首を傾げながら考え込むようにそう答えました
そして、猫死天狗とエンバーミングが死体の処理についてそれぞれ考え込んでしまった時でした
突然またキュリッパが叫で指差したのです
「人間の臭いがします」
猫死天狗はキュリッパの指差す方を見つめ言いました
「今度は死体の身内だといいが。ワシの虫の知らせの呪文はどないなっとるのか」
「身内が来ればプラストネーションの費用を出してもらえますね」
エンバーミングが商売を臭わせる発言をしました
エンバーミングは死体処理のお金を誰が払ってくれるのか気になっていたのです

三人と死体の前に今度は東洋風の坊さんが現れ「皆さんこんにちは」と、東洋の挨拶であるお辞儀をしました
「こんにちは」
三人は同じ様にお辞儀をして挨拶しました
「私の名前は坊主Aです」
「変わったお名前ですね」
キュリッパがまた一番に口を出しました
「はい、名前などどうでもいいのです。この世のすべては無ですから」
坊主Aの言葉に猫死天狗とエンバーミングの二人は肩を落とし黙ってしまいました
「ところでそこの女性の裸の遺体はだれなのですか?」
坊主Aが三人に聞きました
「どこの誰かわからないのです」
そう、キュリッパが答えました
「無縁仏ですか。可愛そうに」
そう言って坊主Aは死体の前に座り、手を合わしてお経を上げ始めたのでした
お経は長く坊主A以外の三人は、おとなしくお経の終わるのを待つしかありませんでした

#日記広場:自作小説




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