さて、今日ここに来て下さった方々には、ちょっとしたお遊びに付き合っていただきましょうか。
キッチンタイマーでもストップウォッチでも、時間が計れるものを準備してもらいます。
携帯なんかにも、そんな機能がついたものもありますかね。

カウントダウンのモードがあれば12秒にセット、アラームが鳴るものだとなおよいです。
私が合図をしましたれば、目を閉じて12秒間、想像してみて下さい。

夢を実現した貴方の姿・・・
今の人類では実現できない何かでもいい・・・
誰もが夢見て、でも諦めてきたような何か・・・
小さい頃に想い、でも常識を学ぶにつれて、非現実になった何か・・・
奇跡のような出来事や、魔法のような世界のことでもいいかも知れません・・・

ここで私が言いたいことがわかっちゃった人は、その様子を改めて思い浮かべて下さい・・・

では、瞳を閉じて・・・スタート
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・はい、終了です。

最近、あるアメリカの人と知り合う機会がありましてね。
その方(以下W氏)のお名前を聞いて、ある歴史上の人物を思い出し、話題にしてみたんです。
で、どうやら彼もその名前に誇りを持ってたみたいでしてね。
そこで意気投合し、その人物についての話に花が咲いたときのこと
　私「でも、12秒って、すごく短い時間じゃないですか」
　W「そんなことはないですよ。目を閉じて想像して下さい。私が12秒計ります」
(※日本語会話です。達者なのはW氏の日本語です。私は英語話せません)

そこで先ほどの実演のお話に戻るわけですね。
ここで私が言う12秒というのは、人類最初の飛行機が空を飛んだ時間です。

1903年アメリカ、ノースカロライナにてライト兄弟が初の有人飛行機を飛ばしました。
強い向かい風など、最適最高の状況下で12秒・・・でも、これが歴史の動き始めた瞬間でした。

18世紀末には熱気球が現れ、人は「浮く」ことを可能にしていました。
でも、それは「飛ぶ」こととは少し違います。
また、1890年頃には、日本でも既に飛行機を設計していた人がいます。
ですが、有人で「飛ぶ」というラインには到達していませんでした・・・。
・・・って、それはまた別の機会にお話しましょう・・・(ネタが無くなったら)

とにかく、当時の人類にとって「飛ぶ」ということは、まだ非現実的な世界だったのです。

そこで先ほどの12秒です。
どう感じられましたか？
長かったですか？短かったですか？
・・・それとも、読み飛ばしてきたので体感していませんか？

12秒の意味を聞いて、どう感じられました？
すごいことでしょうか？意外とあっけないものでしょうか？
・・・それとも、長文を読むのが面倒になってきましたか？

まぁ、その感想は個々人にお任せします。
でも、私はW氏に合図をもらうまでの12秒で、本当にいろんなものを見た気がしました。
それは、ライトフライヤーで飛ぶ自分の姿だけではなかった気がします。
少し暗めの喫茶店、その隅の席で目を閉じていた12秒が、すごく明るかったんです。
12秒の長さを感じるにつれて・・・その感情は高まって行きました。
まるで扉が開いて、そこから朝日が差し込んで来たように、私は何かに満たされていました。

新しい歴史への一歩である12秒の偉大さ
そこから、そのたった一歩が作った現代

貴方が感じた12秒、それは貴方だけのものです。
そして、その12秒と同じ長さの時間から始まり、ガラリと変わった歴史があります。

別に、ライト兄弟みたいな偉業をなそうぜって話ではありませんよ。
でも・・・始めまてみませんか？
今の貴方に出来る、今の貴方の精一杯の、未来の貴方のための12秒・・・

いつかその12秒が、貴方の歴史を変えて、その未来の中で何かの形を成した時・・・
もう一度、キッチンタイマーで12秒をセットして、その時間を感じてみてください。

その時にはまた、感想をお聞かせ下さいね。

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