モンスターハンター 勇気の証明~三章0-4
- カテゴリ:自作小説
- 2011/07/17 09:47:32
【渓流のミランダ・1】
「ここどこ~?」
ぜいぜいと息を切らして、ユッカは渓谷を歩いていた。
ユクモ村から一番近い狩り場と言われている『渓流』である。
渓流と名がついているが、実際は奇岩が立ち並ぶ深い山だ。水源が豊富でそこかしこに小さな滝や川があり、雑多な植物相と相まって、風光明媚な場所として名高い。
かつては人が谷合いに暮らしていたが、未曾有の大嵐で村は滅び、今では朽ち果てた廃屋が静かに佇むのみである。
ユクモ伝統の笠と装束に身を包み、背中に大きな剣を背負ったユッカは、へとへとになって近くの岩に座り込んだ。
笠を取って頭を振る。森の涼やかな空気が、ほてった頬や首筋に心地よい。
背中まであった髪は、今日のために短く切った。まるで男の子がもう一人増えたようだと、母が苦笑していたのを思い出す。
「お兄ちゃんとミーラルさん、どこ行ったのかな…」
おなかがすいたので、ユッカは腰に着けたポーチから携帯食料を取りだした。ギルドから支給される、小さなパンのような食べ物だ。必要な栄養素が詰まっており、日持ちがするので、ハンター達からは重宝されている。
もくもくとささやかなお弁当を食べながら、ユッカは何気なく景色を見渡した。
夏は盛りを過ぎようとしているが、山の寒暖差がそうさせるのだろう、早くも紅葉が紅く色づき始めている。
川辺ではガーグァの群れがゆったりと遊び、ユッカの左手では大きな滝がしぶきをあげ、きれいな虹を作っていた。
「みんなでピクニックに来たら、きっと楽しいだろうなあ」
穏やかな景色に寂しさを忘れかけたつもりだったけど、やっぱりひとりぼっちには変わりない。ユッカはしょんぼりと肩を落とした。
そもそも、なんでユッカが二人を探しているかというと、グロムとミーラルに置いてけぼりを喰らったからである。
1週間前、ユッカはギルドにハンターになる手続きに行った。
14歳で一応は成人扱いとなるため、村ではその年になった子供には、大人はあまり過干渉しないという決まりがある。
大事な娘であるユッカがハンターになることに、やはり両親は猛反対していた。
しかし、1年と数カ月にわたるユッカの熱い説得と、「いざとなったらグロム、お前がユッカを死んでも守りな!」という太っ腹な母の一言で決定したのである。
ただし、条件があった。
ひとつは、絶対に危険な狩りの依頼は受けないこと。
もうひとつは、グロムとミーラルの同行を必ずつけること。
過干渉しない決まりでも、親はいつだって子供の心配をしているものである。
しかし、グロムは嫌がった。ユッカとなんて行きたくねえよ、と親の前でゴネた。
だが、ユッカに甘い両親から再三強く言われ、しぶしぶ、近場の渓流になら、とうなずいたのである。
やっと自分も兄達と冒険ができる。また昔みたいに一緒にいられるんだ。
うきうきしていたその矢先、先に様子を見てくると言ってキャンプを離れたグロムが戻って来なくなった。
心配したミーラルが、ユッカにここで待つように言い置いて後を追い…、やはり帰って来ない。
「こいつァ、置いていかれニャしたね」
タル転がしのニャン次郎が、ユッカに言った。ユッカが怒ったのは言うまでもない。
「わたしが足手まといだって言うの? これでも訓練所じゃ、成績良かったのに!」
くやしいったらありゃしない。
ユッカは地団太踏みたかったが、立ち上がったところでガーグァの1羽が不思議そうにこっちを見たので、やめておいた。さすがに鳥の前でも恥ずかしい。
しかし鳥達は、ユッカがおしとやかさを取り戻しても、まだおどおどと辺りを窺っていた。
「みんな、どうしたの…?」
どうやら、ユッカが地団太を踏むことに驚いたのではないらしい。
そういえば、とユッカは教官が教えてくれたことを思い出した。
ガーグァのようなおとなしい獣は、常にモンスターに捕食される危険を背負っている。
そのため、彼らは危険に非常に敏感だ。
もし彼らがソワソワしたら、お前もソワソワしてはならんぞ!
なぜなら、近くには…。
「モンスターが来てるの?!」
ぞわっと全身に鳥肌が立った。急いで笠を被り、背中の剣の柄に手をかけて周囲を見渡す。
訓練で、練習用の弱いドスジャギィと戦ったことはあるが、実践は初めてだ。
それに、今日はグロムとミーラルが一緒とあって、すっかり気も緩んでいた。
「大丈夫、大丈夫…。ちゃんと、練習通りやるの」
アオアシラまでなら、動きも訓練で覚えている。ユッカは懸命に頭の中で戦い方をおさらいする。
そこへ、どこからともなく蛍のような小さな虫が目の前を漂い始めた。
「きれい…」
光る虫達は、たちまち周囲を乱れ飛ぶ。幻想的な光景にユッカが我を忘れて見入った、そのときだった。
ニャン次郎については、こちらの説明不足ですね。すみません^^;
ゲームの小説なので、ゲームやってる人前提に書いてました。なので、ところどころ説明していません。
でも誰が読んでも良いように、細かいところで説明は必要なんだなということを、アイマールさんや小鳥遊さんからの感想で気づかせていただきました。
ちなみにニャン次郎とは、プレイヤーの任意のアイテムを(プレイヤーの)持ち物倉庫に運んでくれるネコのことです。
木枯らし門次郎のごとく、三度笠に葉っぱをくわえています。
狩猟や採取で持ち物がいっぱいになった時に助かるNPCです。
モンスターがしゃべっているわけではないよね?
あぁ、↓のイカズチさんのコメによると、ピースゾーンにいるNPCってところかな?w
おぉ!? そのときなにが!? 引っ張りますねw
むむ、わかりずらかったでしょうか。
>うきうきしていたその矢先、先に様子を見てくると言ってキャンプを離れたグロムが戻って来なくなった。
のシーンは、キャンプでの出来事です。キャンプで一人、取り残されたんですよ、ユッカは^^;
彼らがどうして戻って来なかったのかは、あとで明かされます。奴が関係してるんですけど…。
ニャン二郎は好きなキャラで、どうしても出したかったんです。
格好もよいけど、しゃべりがまたナイス。ダウンロード画面のアニメーション、可愛いですよねえ。
そのセリフ、良いですね!ぜひ、使わせて頂きます^^
どうやら仕掛けがあるようなので装備品に関しては触れない事とさせて頂きます。
ニャン二郎が居ると言う事はキャンプ?
渓流のエリア1?
どちらにしてもブナハブラ以外ハンターを襲うモンスターは出て来ませんので御注意下さい。
ニャン二郎……。
wikiの資料を読まれたと思いますので御存知でしょうが、彼は『渡世人(猫?)』または『元・渡世人(猫?)』です。
ぜひ
「あっしニャア関わりのねぇこって」
と言わせて上げてください。
えと…そうなんですけどねw
でもそうはいかないのです。続きはまた明日^^