モンスターハンター 勇気の証明~三章0-6
- カテゴリ:自作小説
- 2011/07/20 10:28:16
【渓流のミランダ・3】
「おやおや。お嬢ちゃんが、こんなところでピクニックかい?」
「あ…」
お尻を水浸しにしたまま、ユッカは女を見上げた。
不敵に笑った顔は整っているが、あまり若くはないようだ。浅黒く日焼けした肌に、ユッカより短く切った白銀の髪が良く映えている。
大きく張り出した胸がなければ、高い上背といかめしいハンターシリーズの装備とが相まって、まるで男の人のように見える。
「…と思ったけど、その装備、あんたもハンターだね。ずいぶん可愛いハンターさんだねえ」
褒めているのではないことは、どこか冷めた女の口調から察した。ユッカの顔がこわばると、女はオトモのアイルーに顎をしゃくった。
「行くよ。そろそろ、今夜の食事を確保しないと。さっきのガーグァには逃げられちまったし。ケルビでも撃とうか?」
「イイですニャ~。ホワイトレバーはボクも大好きですニャ。ジュるる…」
「あ、あのっ! 待って下さい!」
助け起こしもしないで、さっさと背を向けた女とアイルーに、ユッカは声を張り上げた。抜けていた足腰は、自然と立ち上がっていた。
そっけない顔で女が振り向く。
「なんだい?」
「あのっ…、あ、ありがとうございました! その、助けてくれて…」
「別に、そこまで恩義に感じることはないよ」
勢いよく頭を下げたユッカに、ふん、と女は億劫そうに首を回した。肩に食い込む銃身が重いのだろう。
「礼を言われる筋合いはないよ。ただ、見過ごせなかっただけさ」
「旦那様は格別お人好しですからニャ。普通、かなわないと見たハンターは、み~んなスタコラ逃げて行くもんだニャ。オトモだって置いてけぼりにするのニャ。ボクだって…」
「ランマル。おしゃべりが過ぎるよ」
「ンニャッ」
ぴしゃりと、女がオトモを叱りつける。口達者なアイルーはぴくんと背筋を伸ばすと、おとなしくなった。よほど女になついているらしい。
でも、そんなことよりも、ユッカには気になることがあった。
「ランマル? あなた、ランマルっていうの?」
「ニャニャ?」
そうですが、何か? と、首を傾げた猫の顔が可愛くて、ユッカは思わず噴き出してしまった。
「あはは! わたしのぬいぐるみと同じ名前! やだ~!」
「ニャ! やだ~とは何だニャ! 僕の名前は、旦那様がつけてくれた由緒正しい忠臣の名前だニャ! バカにするニャ~!」
「あはは、だめ~! 怒ったらよけい可愛い~!」
いったんツボにはまると抜け出せないのが、ユッカの悩めるクセだった。笑い上戸と化して、おなかを抱えるユッカを見て、さしもの女ハンターも険がゆるんだ。
「ふっ、さっきまで死にかけて震えていたのに、実は肝が据わってるのか? それとも、単におバカなだけか…。面白い子だね」
女は、右手を腰に当てて微笑んだ。
「…あたしはミランダ。あんたは?」
「…あ、ユッカです」
あわてて顔に残った笑いを追い払い、ユッカは気をつけをして、女――ミランダを見上げた。
ミランダは鋭い目元を和らげ、肩の銃を背負いなおした。
「ついておいで。キャンプへの道まで、案内してあげる。その様子じゃ、どうせパーティーからはぐれたんだろう?」
「う…。どうしてわかったの?」
「だってあんた、オトモを連れていないじゃないか」
肩をすくませたユッカに、当然のようにミランダは言った。
「ソロ~一人なら、みんなオトモを連れてるからすぐにわかるよ。他に仲間がいるかいないか」
そういえばそうだ。ユッカはうなずいた。
グロムとミーラルはお互い助け合っているせいか、オトモを一度も連れて行ってなかった。
聞いた話では、アイルーのような獣人は過酷な環境にも対応できるタフさ、人間とほぼ同様の器用さ、知能がある。
けれど、戦いにおいては人間同士ほどの戦闘力と連携行動は望めないらしい。
早い話、あまり当てにならないのである。
しかし、「猫の手も借りたい」孤高のハンター達には、得がたい相棒として大切にされている存在だ。
ミランダも、言葉通りソロのハンターらしい。
「…でも、キャンプに戻っても、わたし…」
ユッカはうつむき、肩を落とした。今回ギルドから与えられたクエストは、「ハチミツ集めのお手伝い」という下位の仕事だ。
目的は、渓流に分布しているハチの巣から、特に高級とされるロイヤルハニーの収集をすることである。支給された7つの瓶に満杯にしないと、報酬はもらえない。
ハチミツ好きなアオアシラに遭遇する可能性が極めて高いため、グロムとミーラルが同行して手伝ってくれるはずだったのだ。
「…初心者置いてけぼりって、そりゃひどすぎないかい? あんたの兄さん達」
ユッカの話を聞いて、おかしいねえ、とミランダは顎に手を当てた。
「でも、お兄ちゃん、わたしが行くのすごく嫌がってたし…」
ユッカはもじもじして、手を組み合わせた。
「足手まといはいらねーって、言ってたし…」
ソロっていうのもゲーム用語なので、ふつうに「一人で狩る」って書けばよかったww
ユッカは最初、こういう子だったんですよねぇ。今読み返してそうだったのかと思いました(笑)
現在書いているユッカは、このころとは性格が変わってます。
大人になったからというのと、状況が状況だけに、ここで見せている天然ぶりは出せないというのもありますが。
あと、ユッカは子どもだからという意識で書いてたので、子どもらしさを出そうともしています。
グロムとミーラルがどうなったのかは、この先で明かされます。
ユッカの視点から見れば、ちょい悪ものになってます。視点の勉強もしてたなぁ、このときは。
ユッカのあまり深く考え込まない天然さは、過酷な環境を生き抜く武器ですね。
ほら、置いてきぼりにしようとしたミランダがキャンプまで連れてってくれようとした。
そうそう、グロムとミーラルは置いてけぼりにしたわけじゃないと最初から思ったんですよね。
実は彼らは彼らでのっぴきならないことになってないですか?
ちょい心配ですねー!
人間の寿命は普通だと思いますよ。
でも、キャラをメイキングするときに、顔つきを決めるんですが、おっさんやおばさんの顔でも30~40代っぽかったですね。
オプションで、白いヒゲを着けられるんですけど。白髪白髭にすると、おじいさんに見えますよ^^
年取っても戦ってた歴史の人とかいますし、ハンター引退年齢は人それぞれなんでしょうね。
ちなみにミランダは、14歳からハンターになってたわけじゃなくて…、あ、これは後で作中で^^;
この世界の平均年齢がどれくらいかとか、
ハンターはどれくらいでリタイアするものなのか、
とかいう事を考えると……妥当な年齢じゃないでしょうか。
スポーツ選手と同じで、ある程度年齢が行ったらハンターはやってられないですよねえ?
自主的にリタイアするか、物理的にリタイアせざるをえなくなるか……
長命種の方は別として、『100歳の現役ハンター』って、ちょっと想像難しいと思う。
べ、別の意味か…。先の展開を読まれすぎるのは失策かもしれませんね。
でも、「こいつはこの器じゃない」ってわからせるのも、ひとつの手法ではあります。
アイマールさんは筆力も読解力もありますから、俺などでは半端にごまかしが効きません^^;
さすが~!です^^
ミランダは、35さいくらいの設定なんですが、そういう風に見えますか?
もしかして…「白銀の髪」で、お婆さんだと思われてる?^^;
うわ…それならば俺の失態ですね。
「あまり若くはないようだ」だと、中年に見えると思うんですが、いかがですか?
もし年寄りだと誤読されているなら、年齢をここに補足します。
いや、ほんと…文章書くのって難しいですね…。
ちなみにアリスって若づくりなんですか?^^;
確かにユッカの性格が明確になって……なり過ぎている分だけ、わかり易いでしょうね。
ストーリーの必要上、蒼雪さんと連絡を取っていた私は先入観から気にしていませんでしたが。
一重に蒼雪さんの名文が逆の意味で働いた結果と言えるでしょう。
それにしてもアイマールさん恐るべし。
ミランダは思っていたより年齢が高かったのでちょっとびっくり。
アリスより少ししたくらいかなと思っていたので。
まさに孤高のベテランハンターと言った感じですね。
ミランダに比べたらアリスもまだまだ若いです。
自信持っていいぞ、アリス。
うはw
…ばれてる…すでにこの章で…。
いえ、良いんですけど、それで…ww
そういう風に書いたんだし…。
でもなんでこんなにショック受けてるんだ、俺は(^∇^;)
スポーツでもそうだけど、長男、長女より下の方が器用だし。
性格的にも、くよくよ悩まないみたいだし。
数年後は、凄腕ハンターになってたりして。
でも武器は大剣より、他の武器の方が向きそうな気が…。www
この子、なぜか一撃必殺系の匂いしない子ですよね~。
何が向くのかは分かんないですけどね。
銃系統かなぁ?
手数の多い攻撃得意そうな感じ。