Nicotto Town


暇人の暇人による暇人のためのブログ


パンドラの鍵 2章〔中編〕

日向は大きく深呼吸をして、電話の相手に話しかける。



日向「なるほどな」
??「あ?」

日向「お前、6番鍵のホルダーだろ?」
??「・・・ハァ?何言ってんの?」


一瞬、相手の声が上擦ったのを日向は聞き逃さなかった。


日向「まず、お前が『ホルダー』なんて言葉知ってる時点でかなり絞り込めんだよ」
??「・・・・・」

日向「そして、俺がやった正体のバレそうな行動と言ったら、一つしかねぇんだよ、これが」
??「・・・・・」

日向「双葉銀行に行った時・・・違うか?」
??「・・・・・」

日向「多分、銀行前の監視カメラから様子を伺ってたんだろ?ハッキングかなんかして。俺の番号を調べたみてぇにな」
??「死ね」


電話の男はそれだけ言うと、通話を打ち切った。
再び、静寂が日向の周りを支配する。
数秒後、体の至る所から汗が噴き出してきた。
緊張の糸が一気に切れたからだ。


日向「あっぶねぇ!こ、こんな感じでよかったのか?」


ひとしきり興奮し、やがて冷静に考える。


日向「・・・かなり、推測の域だったんだけどな」


そう、日向には電話の主が6番鍵のホルダーであるという確証は何もない。
ただ、『6番鍵のホルダーが現場である双葉銀行の状況を監視していた』という仮説を立てたに過ぎない。

しかし、その仮説で図らずも6番鍵のホルダーの情報を手に入れることができた。

この情報で戦う以外、日向に選択肢は残っていない。


日向「・・・とりあえず、弥生に報告するか」


日向は弥生に電話をかけようとする、すると、着信音が鳴り響いた。
案の定、非通知だった。
日向は唾を飲み込みながらも、通話ボタンを押した。


日向「・・・もしもし」
??「日向君だね?先ほどは申し訳ない」


先程とは違う男の声で、日向は慟哭した。


??「ああ、紹介が遅れたね。僕は、東城輝(とうじょう ひかる)」
日向「・・・軽率に名前出しちまっていいのかよ?」
東城「・・・ああ、そうだ。君とは『敵』同士になるんだよね、うっかりしてたよ」
日向「・・・はぁ?」

東城「まあ、ここまで言ったら別にばらしちゃってもいいよね。僕は・・・君でいうところの4番鍵のホルダーだよ。以後よろしく」

日向「は?」


日向は驚くというよりも呆然とした。
これほどあっさりと正体を明かされたので困惑していると言ってもいい。
しかし、すぐに正気に戻り男の言葉を疑う。


日向「・・・・・」
東城「まあ、信用できないよね」
日向「信用する奴は頭おかしいだろ」
東城「それで、君はその頭のおかしい人間じゃ・・・」
日向「ねーよ」
東城「だよねー」


東城の軽い態度に益々警戒心を抱く日向。


東城「んー、それじゃあ、証拠を見せることにしようか」
日向「?」
東城「僕今、双葉銀行跡にいるんだけどさ・・・もしさ」

東城「爆発した場所がもう一回爆発するって事件があったら面白いと思わない?」

日向「・・・まさかお前」


すると、電話越しからガチャガチャという音が聞こえてきたかと思うと


東城「うん、準備は終わったよ。ちょうど8時に爆発するよう設定されてるから、『NEWS』で知らされるのは8時5分くらいかな?」
日向「お、おい・・・」
東城「ああ、大丈夫。近くに人はいないから。もし、いたとしても敷地内に入らない限りは無事だよ」
日向「そういう問題じゃねぇだろうが・・・で、お前が電話してきた理由はなんだ?」
東城「ああ、すっかり忘れていたよ」


苦笑する東城。


東城「あのさ、・・・えっと、6番鍵のホルダー君・・・6番とでも呼ぼうか。彼がね、君と勝負をしたいってさ」
日向「・・・お前はあいつの仲間なのか?」
東城「ん?まあ、そうなるかな」
日向「そうか・・・で、勝負ってのは?」

東城「ああ。明後日、6番がこの市内の20箇所にプラスチック爆弾を爆発させる。その爆弾は30分毎に1つが爆発する仕掛けになってるんだ。最初の爆弾の場所は爆発の30分前に知らせる。で、爆発を止められたら次の場所をこちらから連絡するよ」

日向「な・・・!?」
東城「それで、君がその爆弾を全部解体できたら君の勝ち、できなかったら君の負けだね。この勝負はフールに立ち会ってもらうことになる。ルールを破ったら、当然フールに『始末』されることになるよ」
日向「・・・そんな、俺が圧倒的に不利な勝負を受けると思ってんのか?」
東城「だよねぇ、僕なら受けないよ。でも、君はそうじゃないんじゃないかな」
日向「どういう意味」

東城「爆弾が仕掛けられる場所には、人が多く集まる所も結構あるんだよ」

日向「・・・お前ら、いい加減にしとけよ!」
東城「怒鳴んないでよ、僕が考えてるわけじゃないんだからさ」
日向「・・・分かった、その勝負、受ける」
東城「OK、君が負けた場合、鍵をもらう。君が勝ったらどうする?」
日向「6番の権利を廃止してもらう」
東城「・・・案外甘いんだね。それじゃ」


そこで通話は切れた。
そして、日向の長い2日間が始まる・・・。





〔後編〕に続く

久々の投稿^^;
感想等お待ちしてます

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2011/07/26 23:32
ぜってぇ才能あるwww
俺のヤツの100億倍おもしろいww



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