Nicotto Town


ま、お茶でもどうぞ


モンスターハンター 勇気の証明~三章-11

【理由】

ランマルの鋭い一撃が額をかすめたとき、ユッカは本当に殺されると思った。
(死にたくない!)
考えるより先に体が動いていた。ほとんど無意識に振った剣が、白いアイルーを斬りつける。
「――やああっ!」
「ニャニャー!」
ぎいん、と金属が弾ける音とともに、ランマルの斧がくるくると宙を舞った。同時にランマルもまた、軽々とふっとんでしまう。
「――あ! ラ、ランマルッ!」
空を飛んだランマルは、受け身を取ることなく地面に落ちた。ユッカは剣を投げ捨て、急いで彼のもとへ駆け寄る。
「ランマル! 大丈夫!?」
「…お前、お人好しニャ」
ユッカに抱き起こされたランマルは、ぶすっと上目づかいにユッカを睨むと、支える手を振り払って立ち上がろうとした。
「ボクはユッカを殺そうとしたニャよ。助けられるいわれはないニャ…」
「違う! それはわたしの方よ!」
ユッカはランマルを抱きしめていた。けれど腕に力が入らず、がたがたと震える。
腕の中の猫は熱かった。すんすんと鼻を鳴らし、きゅうくつなのか、苦しそうにもがく仕草。全部が、今のユッカを支えていた。
(…生きてる。ランマル、死んでない。よかった。よかった…)
「…うううっ。ひっく…」
「ニャ! …なんで泣いてるニャ?」
「だって…ランマル、生きてるんだもの。さっき、わたし、もう少しで殺しちゃうところだったんだよ?」
ぐすぐすと鼻をすすりながら、ユッカは激しく肩を震わせた。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい…!」
「…ユッカ…」
ランマルが困ったようにヒゲをぴくぴくさせた、そのときだった。
「…謝ることはないよ、ユッカ」
「…え…?」
「ニャ! 旦那様、いつからそこに?」
ふいに聞こえた低い声に、ふたりは顔を跳ね上げた。数メートル離れた所に、ミランダが月光を背負って立っている。
「悪かったね。あえて様子を見させてもらったよ。ランマルがあたし以外の誰かを気にかけるなんて、珍しいからね」
ミランダはランマルに近づくと、ちょいと指先で彼の眉間を小突いた。
「こら。ちょっとやりすぎだよ。仕合うにしても、もっと手加減したらどうだい」
ランマルはユッカの腕からすり抜けると、主人に向かって甘えた声を出した。
「これくらいでいいんだニャ。ここはボクがビシッとシメないと、いつまでも甘ったれたままニャ」
「だからって、泣かせることはないだろう。たいしたダメージでもなかったくせに、受け身も取らずに倒れたりして。死んだふりなんて、くさい芝居だよ。だからユッカは自分を責めたんじゃないか」
「え…? 芝居?」
目をぱちぱちさせて、ユッカはミランダとランマルを見比べた。ランマルは、少々ばつが悪そうにそっぽを向く。
ミランダは苦笑した。
「そう。ランマルは、あんたに本当にやられたわけじゃないから、安心しな。こう見えて、ランマルはあたしより強いんだ」
「ええっ?」
ユッカは目を見張った。ランマルは、ミランダの傍らで、どこか得意げにヒゲを引っ張っている。
「ほんとだよ。あたしが一人でハンターをやっていられるのも、この子のおかげ。大切な相棒さ」
「じゃあ、どこも痛くないのね?」
「ちょっと、びっくりさせられたけどニャ」
ふん、とランマルは鼻を鳴らした。
「ユッカ、すごい大剣へたくそだニャ~。 あてずっぽうで振り回したのが、たまたまボクに当たったんだニャ。下手すぎだから予測できなかっただけニャ」
「ご、ごめんなさい。…でも、本当に無事でよかった」
くしゃりとユッカは顔をゆがませる。ランマルは「泣くなニャ」と言った。
「ユッカのなまくらじゃ、ボクの丈夫な毛皮は傷つかないニャ。もう気にするなニャ」
「うん…ありがと、ランマル」
ようやく、ユッカは笑うことができた。ミランダはユッカに歩み寄ると、優しくユッカの頭に手を置いた。
「あんた…本当に優しい子だね。オトモを下に見る奴らが多い中で、自分の命と同じ重さで思えるなんて」
ミランダは、放置されたままだったユクモの大剣を拾い上げた。
「…しかし、ランマルの言う通りだよ。あんた、大剣の筋がなってないねえ。体が剣に持っていかれていたよ。なぜこだわる?」
ミランダから剣を受け取り、ユッカは頬を赤くした。
「だって…。お兄ちゃんと一緒がよかったんだもの」
「…そうかい」
ふっとミランダは笑った。こちらを見つめる眼差しが、わずかに懐かしむような光を宿す。
「…ミランダさん?」
「…ああ、ごめん。あんた、ちょっとあたしと似ていると思ってね。……・忘れてくれ」
がしがしと短い髪を掻いてみせたけれど、ユッカには、今のミランダには似つかわしくない仕草に見えた。
まるで、わざと男っぽく見せているような――。
ユッカはその理由を尋ねようかどうか、迷った。と、急にランマルが空を見上げて焦った声をあげる。
「旦那様、あれ、あれ…!」
はっと見上げたミランダにも戦慄が走った。
「ナルガ…! こっちに来るのか!」

アバター
2011/07/30 00:53
イカズチさん、レス感謝です。

あはは、いいなあランマル。すっかり可愛がられてますねww

あ、質問にお答え頂きありがとうございます。
なるほど、猫のごはんのやり方って、犬とほぼ同じなんですね。
犬も、人間の食べ物は基本厳禁です。チョコ、鳥の骨も禁止。理由は同じです。
玉ねぎも、犬は嘔吐、下痢、貧血をして、量が多ければ死にいたる食べ物です。猫は耳が腐るとは…。
玉ねぎって、人間にはよくても、動物には毒そのものなんですね。


でも、猫に魚の骨は良いんですね~。昔のマンガでもよく出てましたが。
犬は、丸のみする食べ方だから刺さってしまうけど、猫は少し食べ方が違うんでしょうか。
たまに、鶏の骨や魚をまるごと食べて平気な犬がいるって聞きますが、あれは単に運がよすぎるだけなんですよね。与えてる飼い主、とんでもないですよね(`O´*)

昔は、犬もねこまんまを食べていたんですよね。塩分が体に悪いから、寿命が短かったそうで…。
知識が発達していなかったとはいえ、切ない話です…。

ミーラルとグロムのオトモ登場ですか!楽しみです!^^
どんなアイルーが二人のオトモになるんでしょうか。あ、それぞれに1匹ずつ付くのかな?
アメショーとか可愛らしいですが…、イカズチさんはどんなのがお好みなんですかね。作中でそれがわかりそうですね^^
アバター
2011/07/30 00:36
ランマル、か~い~、か~い~。
はっ、イカン。
また猫馬鹿モードに。

猫(リアの方)には基本、人間の食べ物は与えてはいけません。
塩分が強かったり、人間は平気でも猫には毒と言うものがありますから。
例えばタマネギなんかは毒性が強く、絶対与えてはいけないものの一つです。
与えると耳が腐ります。
他にチョコレートとか鳥の骨とか。
魚の骨は良いのですが、鳥の骨は縦に裂けて内臓に刺さるんですよね。

昔は猫まんまと言って味噌汁をかけた白飯を猫に与えていました。
その頃に比べ、現代はキャットフードが主流です。
猫の寿命が伸びたのも医療の充実以外に適切な栄養を摂取できるようになったからではないでしょうか。

そう言えばミーラルとグロムにはオトモを考えて居なかったですね。
書いてみましょうか。
アバター
2011/07/29 10:53
イカズチさん、コメント感謝です。

イカズチさんまで、ランマル(アイルー)に釘付けとはwww
イカズチさんも、次に書かれる章でアイルー出してみてはどうですか?^^

アイルーはかわいくて身近にいますが、身体能力は高いんですよね。
鍛えれば、防御300とか超えますからね~。初心者ハンターの一撃くらい、どうってことないですよね。
ご指摘を受けて、皮膚の表現をこっそり直しましたw
俺も毛皮と皮膚で迷ったんです。ほんとですよ?ww

ランマルのオトモ装備の描写はしてない…というか、話の流れで書くの忘れたというか…あはは。
初期装備じゃないけど、あのチョッキみたいなのを着ています。(防具なしでも着ている、あれ)
が、ツッコミがないところを見ると、気にされてないようなのでちょっと安心です^^;

小鉄とジュニア…ああ、「じゃりんこ」のねwww
思うんですけど、○玉って物理的に抜けるんですかねえ。いや、マンガだから突っ込むなってところですが。
小鉄がアントニオの片方を取った話、今も鮮明に記憶に残ってます。パチンコ玉みたいだよな、って^^;

で、小鉄はよくチエからホルモンもらって食べていたんですが、あれって猫に大丈夫な食べ物なんですかね?チエはレバーじゃなくて豚の腸を焼いてるらしいんですが。
あ、あと、猫は魚を食べるけど、どうして骨がのどにひっかからないのかなあ、とか…。
書いてて、様々疑問がわいてきました…^^;


アバター
2011/07/29 10:37
まぷこさん、コメント感謝です。

ユッカの心理より、そっちかい!(≧∇≦)ノ彡www

いやまあ、この表現は迷ったんですよ。
彼ら、非力なようでいて、すごいタフですから。イカズチさんもおっしゃってますが、「丈夫な毛皮」と言い換えたほうがよさそうです。
頑丈さを強調したくて、皮膚にしたら、すごく固そうになっちゃいましたね^^;

あとでこっそり直しますw
アバター
2011/07/28 23:25
うんうん。
可愛く見えても獣人族はモンスター。
レウスに焼かれ、レイアに毒られ、ジョーに食われても地面に潜ればだいじょ~ぶっ!
おそらくですが『皮膚が硬い』と言うより『毛皮が丈夫』なのでしょうね。
もふもふのクッションで衝撃を和らげ、その下には牙も爪も通さない弾力を兼ね備えた皮膚が。
もふもふ……もふもふぅぅ!
猫、可愛いニャ。

ランマルの素性が明らかになって来ましたね。
おそらくは某ナニワ漫画の『小鉄』や『ジュニア』に匹敵する位のツワモノなのでは?
ああ……お腹撫でてみたい。

ランマルの活躍でどうやら私、今日は猫馬鹿モードみたいです。
アバター
2011/07/28 21:34
なんと!
アイルーの皮膚は固いんですか!
もふもふしようとしてむぎゅーってしたら、手触りは「ごつん」なんですか!?



月別アーカイブ

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010


Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.