Nicotto Town


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モンスターハンター 勇気の証明~三章-14

【敗走】 

すぐそこまでジンオウガが迫っている。
ナルガクルガが急いで飛び立とうとしたのも、それが原因だろう。
ナルガクルガは雷を苦手とする。雷狼竜の放つ電撃は、彼にとって最も忌み嫌うものだったに違いない。
「ニャ、旦那様!」
「くそっ、もう来たのか!」
背後を振り返ったランマルが飛び上がり、同じくミランダも舌打ちをする。深い森の闇の中から、一頭の巨大な獣が疾駆してきたのだ。
ばっという羽音とともに、一陣の疾風がミランダ達を薙ぐ。
ふたりが突風にひるんだ隙に、ナルガクルガはどこかへ飛び去った。
そして、まるでそれを追うかのように、全身に青白い電光をまとった雷狼竜ジンオウガが、ミランダ達へ向かって跳躍する。
「ミランダさん! ランマル!」
ユッカは叫び、二人のもとへ駆けだしていた。
が、着地と同時にジンオウガが凄まじい咆哮をあげる。
――オオオン!
びりびりと空気が鳴動した。ジンオウガが、帯電していた電気を一気に放ったのだ。
彼のまわりに何十本もの電光の柱が立ち、近くにいたミランダとランマルが弾かれたように吹っ飛ぶ。
「うわあっ!」
「ニャー!」
ふたりは悲鳴をあげ、ユッカからさらに遠くに弾き飛ばされてしまった。
「ああっ…!」
忘れていた恐怖が、再びユッカを襲った。けれど、くじけそうになる前に、ユッカはもう一度ミランダ達のところへ走る。ユッカの回復薬はたくさん残っている。これを飲ませて、早くみんなでここから逃げるのだ。
「ミランダさん、ランマル、今行きます!」
「来るんじゃない!」
先の戦闘で負った手傷もこたえているのだろう、ミランダの怒鳴り声はかすれていた。
けれど、彼女は必死に声を張り上げた。
「あんたは逃げな! 早く!」
「で、でもっ――!」
薬を、とユッカはポーチから回復薬の袋を取り出して、高く掲げて見せた。
しかし、ミランダは荒くかぶりを振った。
「ランマル! あんたはユッカを連れて安全な場所へ逃げるんだ!」
ランマルは飛び上がった。
「ニャにを言ってるのニャ! 旦那様を置いてなんて――ニャー!」
「くうっ!」
ジンオウガが、ひと抱えもある巨大な電球を幾つも放ってきた。それらはすべて、こちらを狙うように曲がった弾道を描いてふたりに襲いかかる。
「――っ!」
ミランダとランマルは、とっさに左右へ跳んで回避する。
からくも当たらなかったが、ミランダとユッカの距離はさらに遠ざかった。
「行くんだ! あたしが時間を稼ぐ!」
ミランダは再び銃を構えると、ジンオウガに向かって撃った。
怒り狂ったモンスターは、すぐに彼女を標的と見定めたようだった。まさに電光石火の勢いでミランダに迫る。
「旦那様―!」
ランマルは叫び、斧を振りかざしてジンオウガに飛びかかった。
「よくも旦那様をー! ニャー!」
「ランマル、バカ!」
地面を転がってジンオウガの攻撃を必死に避けていたミランダが、初めて絶望的な声をあげる。ジンオウガの背に斬りかかったランマルは、攻撃に気づいたジンオウガのタックルをまともに食らってしまったのだ。
「ふぎゃー!」
「ランマルー!」
その場に凍りついたように動けなかったユッカは、ゴミのように跳ばされたランマルのもとへ駆け寄った。
演技でも芝居でもない。ランマルは、ぐったりと地面に横たわって動かなかった。
「ランマル、しっかり! しっかりして!」
「ふぎぃ…」
ユッカが抱き起こすと、ランマルはかすかに呻いた。まだ息はある。が、どこまで大丈夫かはわからない。
生命の粉塵があれば。ユッカは泣きたくなった。アイルー族には、人間の回復薬は効かない。でも、生命の粉塵という貴重な薬なら、等しく効果があるという。
でも、まだ新米ハンターのユッカには、手の届かない薬だった。
「どうしよう…どうすればいいの?!」
この間にも、ミランダは懸命にジンオウガの攻撃を避け、残った弾丸で応戦していた。
けれど、ミランダの弾丸は敵にさほどの痛痒も与えていないようだ。
敵はまったく怯む気配がなく、ますます怒りをあらわにしてくる。
雷狼竜の名があるとはいえ、いつもこんな量を帯電しているわけではない。身体の中に住まわせている電光虫が活性化して飛び回るのは、彼らが戦闘態勢に入ったときだけだ。それが、ここに来る前から帯電状態だったということは、初めから闘う気でいたということである。
モンスターは非常に好戦的で、闘いの気配を察すると、興奮して参戦することもある。
しかし、きっとこのジンオウガは違う、とユッカは直感した。彼は覚えているのだ。
昼間、自分に刃向かったこしゃくな人間の匂いを。だからこそ、こんなにも怒り、殺戮に歓喜しているのかもしれない。

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2011/08/02 08:30
アイマールさん、まぷこさん、コメント感謝です。

notepadって機能があったこと、今まで知りませんでした^^;
スタートで検索しないと出てこないなんて、隠し機能みたいです。(うちのだけか?)

うーん、でもアイマールさんのご意見だと、それでも改行が面倒そうですね。
文字修飾のリセット方法はわかりましたので、今後もコピペはwordから直接することにします。
ファイルデータは、USBにバックアップする予定なので、今のところは容量は心配ないかな。
みなさん、ありがとうございました^^
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2011/08/02 00:13
裏技でも何でもないですが……
私は最初から「.txt」で(つまりメモ帳で)書いてます。
ファイルサイズが小さくて済むので。

あ、あと、ニコッとのブログは最初の頃文字装飾がなかったので、その点でも「テキストファイルで下書き」で不都合がなかったのかも。
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2011/08/01 23:50
そそ、wordだと文字数が変わって来るんですよね~。
なるほど、やっぱりフォント違いで装飾扱いされてたんですか。
うっすらそうじゃないかな~って思ってたんですよ。
でも消しゴムで消せるのは知らなかったです~。
私は毎回word書き本文をコピペしてるから、イカズチさんが言うように、メモ帳にコピペしてから
ブログにコピペしてましたよ。
勘だけでやってたんだけど、合ってたみたいですね。
でもこれだと、改行がめちゃめちゃ面倒なのです…。^^;
誰か、便利な裏ワザ知らないですかねぇ?
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2011/08/01 09:26
「メモ帳」はWindowsに標準装備されてるテキストエディタの事でしょ?
大量のテキストをガシガシ書くのを仕事にしてる人には『力不足』『使いにくい(便利な機能がない)』などと不評ですが、単純に装飾のない文章をちょこっと打つには便利です。
というか、私は愛用しています。(ブログの下書きとか)
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2011/08/01 08:15
GRさん、コメント感謝です。

おお、お読みになっておられたとは、光栄です!
GRさんのような熟練プレイヤーの方にも楽しんで頂けたらいいなと思って書いておりました。
ご満足いただけて何よりです^^

モンハンの知識に関しては、ゲームから得ている物もありますが、サイトの攻略情報や、「モンハンwiki」
あと、先輩ハンターのイカズチさんにたくさんアドバイスを頂いております。

もとはイカズチさんの原案・原作なので、イカズチさんが監修されております。
(この間、ジンオウガの特効弾丸について、ご指摘ありました。あれは助かりました、間違って覚えていたので…^^;)
イカズチさんの第1・2章も大変面白いですので、ぜひお読みになってください!^^

お話、俺のとイカズチさんのも含めて、まだまだ続きますので、長くご愛読して頂けたら嬉しいです。
頑張って書きますので、応援よろしくお願いいたします^^
アバター
2011/08/01 08:01
今日、これまでのお話まとめて拝読させていただきました。
私も大好きなモンハンのお話ということもありますが、それ以上に読みやすく、あっという間にここまで読んでしまいました。続きもすごく楽しみです!
比較的最近モンハンを始められたはずなのに、ほんとに色んな資料も読まれてるんですね。
モンスターやハンターからアイテムなどまでの背後設定なんかもさりげなく、でもしっかり織り込まれてたりして活きてて、隙がない・・・すごいです。
というか、単純に好きです。難しい評論とか出来ない人ですから、アハハ^^;
続きも楽しみにしてますです!
アバター
2011/08/01 07:43
イカズチさん、ありがとうございます。

この原稿は、「文字の大きさ」に直ってますので大丈夫です^^

メモ帳ってどのメモ帳ですか?
storyeditorからなら、改行つめられたりしませんかねえ…?
フォントは解決しましたが、全部まとまっちゃうのは勘弁って感じです。いちいち改めるの面倒だし。
いろいろ法則があるんでしょうかね?^^;
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2011/08/01 01:37
一旦、メモ帳にコピペして、更にブログ欄にメモ帳からコピペしてもダメですかね?
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2011/07/31 22:14
wordのコピペだから、最初に貼りつけたとき、ちょっとおかしかったんですよ。
文字の大きさをそろえて、一回投稿したんですが、そしたら改行が全部詰められちゃって。
改めて改行しなおしました。

フォントは、wordではMSゴシックを使って書いてましたが…、それも関係あるのかな?
アバター
2011/07/31 22:09
自分のサブアバのところで比べてみたら、どうやらフォント自体が違うんじゃないかなあ、と。

……あれ?
もしかしたら、サイズによって微妙にフォントに違いがあるような気が……
気のせいかなあ?
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2011/07/31 22:04
はいはい、縮みました!ありがとうございました~^^

しかし、これだと、なぜか字数が増えてしまったのが謎です…。なぜ増える…。字は小さいのに…。
アバター
2011/07/31 22:03
実際、大きいのですよw

あ、修飾の部類に入るんですか?
なるほど、消しゴムですか~、それは知らなかった。ありがとうございます^^

ちょっと、やってみますね。この大きさでもいいけどね^^;
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2011/07/31 21:58
……言われてみれば…
なんとなく、大きいような気も、してきた、ような?



ちなみに、文字修飾を無効にするには、『範囲指定』して右端の『消しゴム』のアイコンをクリックすれば文字修飾は消えます。(でも、どうやら「右寄せ・センタリング」は解除できないみたいです)
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2011/07/31 21:21
いえいえ、見比べてみてください。こっちの方が、若干大きいですよ^^;

俺も、読む時は、こっちの方が好きですが…、コピペ原稿終わったら、またニコ標準に戻るかと^^;
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2011/07/31 21:16
…普通サイズ(10ポ)に見えますが?
アバター
2011/07/31 21:00
今回はwordで書いたものをコピペです。
案の定、Wordの方は倍の字数になってしまいました。字数表示されないので、4枚くらい書いてもすぐ増えているんですよね^^;

原文は字が大きかったので、ここで調整しようとしたんですが、標準の大きさにどうしても変更できませんでした。なので、ここでは字の大きさ2に設定してあります。いつもより大きい分、読みやすいかも。



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