串揚げの本場は、誰がなんと言おうと大阪なんだ。

その中でも、「最○」スゴイ自信があってこの名前にしたのかと思ったら、私の読み方が間違ってて、とある地方の名前だった。

そこで串揚げを食べたいだけの目的で大阪までやって来たのだから、何ともと思われるかも知れないけど、これは私にとっては重要な事ナンジャ。

そもそもは、私が（息子の様に）通っているM先生の家での会話の中に出てきた食べ物で、先生の奥様が「もう一度で良いから食べに行きたい。」と何度も言っていたので、そこまで言われるとどうしても体験しないと済まないこの私に絶好のチャンスが。

東京の両親が大阪に行くとのことだったので、それに会わせて私も合流することになって。金曜日の授業はお昼で切り上げ、空港へ。

仙台空港は津波の被害からようやく回復し、つい最近になって定期便が元通りの運行が出来るようになったばかり。

車で着いた駐車場は、ゲートの機械が壊れたままなので無料駐車場なのだ。それで駐めっぱなしの車でいっぱい。ようやく駐めることが出来て空港ビルへ入ると、中は被害の面影もなく元通りになっていた。

乗ってしまえば飛行機は速い。明るい内にホテルに到着。両親と待ち合わせにはまだ時間があるからブラついてみようか。

ホテルは難波のほぼ中心近い。そこからアーケードに入って、地下街へ行ったら、そこにも『串カツ』と書いたお店、と言うより、立ち飲みやさん。まだ明るい内からお酒飲んでるよ。東京の繁華街ではあまり見ないシーンだけど。

開放的だからのぞいてみると、カウンターに生のキャベツと、ソースの入った金属缶のような器が、そこに「２度づけアカン」と書かれていて、笑ってしまった。

こういうのも話に聞いていたけど、実際は串揚げのイメージの主流はこちらの大衆路線なのかも知れない。この地下街にもう１件あったので、同じかなと覗いてみるとこちらは「２度づけは禁止やで！」と書かれていたような。そしたら「ネエちゃん、オゴッたるから、食べていき、ここの旨いで。」とかなんとか言われて、にっこり笑顔を見せて、ソク、トンズラを決め込む。こちらの人達は誰でも気さくに声をかけてくるけど、まだこのペースには対応出来ない。

で、歩いていて気付いた、大阪の人達は、特に女性は関東圏より背が低いので、普段でもお祭りのような人出の難波のアーケードの中では、背が高めの私は見通しが良くて歩きやすいんだわ。

道頓堀の夕方は実に賑やか、東京とは全く違うお店の集まりを見ると「大阪だァ」と思ってしまう。

この時間帯なのか、一人で歩いているとやたらと声をかけられる。東京だと「彼女～。」がここでは「オネエチャン」なのだ。その大半は私がこれから出勤する女性だと思っているかも知れない。

ブラついてお店の前まで来た時はもう約束時間だ。どうしようかと思っている間もなく両親も到着。

一緒にお店に入ると、中は周りの景色とは違って、落ち着いた感じのおしゃれな店で、両親に挟まれてカウンターの真ん中の席に。

ここで出てくるものは『ソースの２度づけ･･･』には縁もゆかりもない上品な食べ方が出来る。

目の前のお皿には塩とソースなど４種類の味で楽しめるように、シカモ出てくる串をお勧めのたれが分かるように置いてくれる。

久々の両親とのご対面だったので話すこともいっぱいあったりするけど、合間の食べるペースに合わせてお任せでいろんなネタの串が次々と出てくる。

コリャたまらんわ。大分前に銀座で芸能人も来ると言う串揚げやさんに行ったときも美味しいと思ったが、それより遙かに美味しい。

薄い衣はサクっとして、中はジューシー。少し置いてもベタっとするようなこともなく、中身は全て何かしらの細工がされている。揚げ物だけど、くどさは微塵もなくて幾らでもいけそう。

で、コースは全部で何本か聞いてみると、「３６本」だそうだ。ク・シ＝３６のしゃれのつもりか。実はさらに別のアラカルトも何種類か有って全部はとても食べきれない。だが、どうしても食べ尽くさないと。

そしたら、カウンターから「今度来られるときは、コースの逆順からもお出し出来ますよ。」との事だった。

ヨシ、明日もここに来るのだ。

とは言ったものの、実は明日の夕食の予定は決まっていて、取引先の社長さんが私達家族を招待してくれる事になっていたから、それを変更することは難しいんだ。

思い立ったら実行しないと気が済まない私としては何とかしないと。

果たしてそれは実現できるのか。

つづく