モンスターハンター 勇気の証明~三章-21
- カテゴリ:自作小説
- 2011/08/07 21:22:08
【麦の見える丘にて】
情けない声をあげたグロムと、それをあしらうミーラルを横に、ユッカは改めてミランダを見つめた。
「…ミランダさん、わたし…」
「…まだ出会ったばかりなのに、いきなり重いものを託す勝手は承知している」
瞳を逸らさず、ミランダはユッカの訴える様な視線を受け止めた。
「だから、無理にとはいわない。ただ…、もし、あんたがこのままハンターを続けるなら、あたしの夢も一緒に連れて行ってほしい。――そう思ったんだ」
勝手で、本当にごめんね。ミランダは苦く笑った。
「…最初に会った時は、あんたはとても頼りなさそうに見えたよ。お子様が遊びでハンターになることもあるから、もしあんたもそうなら、あたしが先輩として面倒みてあげようと思ったんだけどね」
「…わたしも、ミランダさんと初めて会った気がしないんです」
ユッカは、頬を淡く染めながら笑った。
「本当に不思議。なんだか、年の離れたお姉さんみたい」
「ありがとう。あたしも、なんだか、あんたが娘みたいな気持ちになっててね。あんたがおなかを減らして寝ていた晩、本当は、こっそり携帯食料を分けてあげようと思ったんだよ。そしたら、ランマルが気を利かせちゃってさ」
「ニャ! ボ、ボクは別に、ユッカのことなんて…。旦那様も、お人が悪いニャ」
ランマルが拗ねてそっぽを向く。ミランダは笑った。
「ねえ、ランマル。あんた、ユッカについておやり」
「え?」
「ニャ、ニャンと?」
ユッカとランマルはびっくりしてミランダを見た。何事かと、口論していたグロムとミーラルも注目する。
「ランマル。今日から、あんたはユッカのオトモになるんだ。この子を助けてあげてくれ」
「い、嫌ですニャ! ボクは旦那様のお傍から離れないニャ!」
「ランマル」
ぴしりと、ミランダの声がランマルを打った。ニャーニャー騒いでいたランマルは、びくっと肩を跳ねあげ、押し黙る。
「…これは、命令じゃなくてお願いだ。ユッカを一人前のハンターにしておやり」
「…嫌ですニャ」
うつむき、ランマルはぽつりと言った。
「ボクはもう、大好きな旦那様を失いたくないニャ!」
ぱっと身をひるがえし、ランマルは部屋を飛び出した。いつになく悲しそうな顔つきに、ユッカは胸を突かれた思いがした。
「ランマル、待って…!」
ユッカも後を追って廊下に駆けだした。
「…ランマル…そんなに、わたしが嫌い?」
村にある、小高い丘の上。麦畑が一望できるそのてっぺんに、ランマルは座り込んでいた。
白い姿を見逃さないよう、全力で走ったユッカは汗だくだ。荒い息をついて見おろす少女を、ランマルは冷めた目で見返した。
「…別に、嫌いってほどでもないニャ」
(…かわいくないなあ)
ぷい、と視線をそらした猫に、ユッカは正直むっと来た。けれどユッカは、怒らないで彼の傍に腰を下ろした。
「…ねえ、ランマル」
ランマルとともに眼下の景色を眺めながら、ユッカは言った。
「わたし、ちゃんとしたハンターになる。…ミランダさんに言われる前から、決めてたの」
ランマルは、ぴくんとヒゲを動かしてユッカを振り返った。ユッカは淡く微笑んだ。
「最初は、ただお兄ちゃんが心配で、ずっと傍で見ていたくてハンターを目指したんだ。でも、ミランダさんの戦いぶりを見ていたら、すごく…素敵だなって思ったの」
「ユッカってミーハーなんだニャ」
「そうよ。悪い?」
わざと開き直って胸をそらすと、ランマルは珍しい物でも見たかのように目をぱちぱちさせた。
「ユッカって変わってるニャ。普通、あんなおっかない目にあったら、二度と狩り場へ行きたいと思わなくなるもんだニャ」
「…うん。わたしも変だって思う」
ユッカは抱えた膝の上に顎を載せた。
「怖い気持ちはあるの。でも、どうしてかな。また行きたいのよ、あの危険な場所に。…この三日間、そればかり考えてた」
「……」
「それに、あのモンスターを倒さないと、村の人や旅人が困るでしょ。…昨日も、渓流を歩いていた商人の人が襲われて、大怪我しちゃったし…。誰かがやらなきゃいけないのよ」
「…別にユッカじゃなくても、他のハンターが退治するに決まってるニャ」
「そうかもしれないけど。でも、わたしも闘いたいの!」
胸に手を当て、ユッカはランマルの目を強く見つめた。ランマルは、ふうと吐息をつく。
「…ランク1のひよっこが、何を言うニャ」
「上がるわよ、2に! 絶対上がってみせる!」
ランマルはしばし黙っていたが、ふいに立ち上がると、腕を組んでユッカを見下ろした。
「…三か月ニャ」
「――え?」
「今から、三か月以内に、ランク2に昇級するニャ。それができたら、ボクはユッカを旦那さんと認めるニャ」
「…うんっ!」
照れているのか、ランマルのしっぽがフリフリ揺れている。そんな彼を見ていたら、胸がきゅんとして、ユッカは思わず首っ玉にしがみついていた。
「ふぎゃ! だ、抱きつくニャー!」
「ありがと、ランマル!」
うっ、ばれた?!
そうです、ミランダの性格はバルサがモデルなんですよ。
アニメの精霊の守り人が大好きでして、いやーバルサ姐さんかっこいい!とww
バルサ良いですよね~。
ミランダの過去は、キャラを考えた時点で思いついたので、迷うことなく書けましたね。
本当はもう少し筆を割いて、ユッカとの絆を書きたかったのですが、1年がかりになりそうなのでやめました。ものぐさな自分にちょっと反省…^^;
キャラクターでお話を広げてくださって嬉しいです!ありがとうございます!
自分ではユッカは動かしづらいのですが、こうしてお気に召して頂けると、作者として本望でございますw
小鳥遊さんの考えてくださったミニストーリーもかわいいです。ほんとにそういうエピソードもありそうですね^^
遠慮なさらず、いっそお書きになられてもよろしいんですよ?
想像を広げることが、二次創作の楽しみだと思いますので。
これまでの過去があるから『今のミランダ』が在る。
積み重ねてきた経験があるから、彼女が語る言葉には良い意味での重みがあります。
また、ランマルも良い味だしていますね~~
私がユッカでも最後のシーンでは後ろから抱きつきたい^^
さて、これからどんな成長を遂げて行くのか、ユッカの将来が楽しみです。
そして、成長したユッカと『これから先のミランダ』が再会出来たら嬉しいです。
そして、ここまで読んでいてユッカとミランダの絆がとても素敵だったので、
私は勝手に妄想してしまいました。作者様、申し訳ありません><
でも、本当にユッカが可愛くて・・・^^
『クエストから戻ったユッカが、大好きな兄はまだ温泉にいるのに自分はさっさと家に帰ってくる。
ずっとユッカに片思いしていた村の少年は、それを知って喜ぶのですが、それはぬか喜びに終わる。
ユッカはミランダに会いたくて、会ってクエストの報告がしたくて急いで帰宅したのでした』なんて(笑)
スミマセン><
読んでいて楽しい物語があると、その世界でたま~に遊んでしまう癖がありまして(汗)。
あまり妄想し過ぎないようにしますっ。
夢をあきらめるって辛いですよね…しかも、愛した人の思い出と共に;;
でも、一生会えないわけじゃないので、ご安心をw
続き読めばわかりますが^^
回数があれなので、展開が早いですが、ヒロインがこのくらいチャキチャキしていても良いかな、とは思います。
旦那さんの形見みたいな存在だから、別れるのは身を切られる思いでしょうねぇ。
私もずっとペットを飼ってきたから、これは悲しい! ← ランマルをペット扱い。www
でも、自分の夢を誰かに託したいって思いも分かるわぁ。
ユッカ、こんな別れのシーンを見せられたら、嫌でも成長しなきゃいけないって言うね。www
がんばってランク2に昇給するんだよ!
「ぽかぽか」は、発売当初、俺もさんざん買おうとして迷って断念したゲームです。その当時モンハンにも興味あったんですが、ためしにアイルー村やってみようかと思いまして。
そしたら、マルチレイド2が出やがって…そっちを発売日に買ったのです^^;
アイルー村のバトルは、確かアクションじゃなかったはず…。作戦選んで自動だったかな?
本家モンハンと違って、かなりゆるいライフらしいです^^
俺も当時、この紹介サイト見て猛烈に欲しくなったんですよ。
で、最近買おうかと思ったら、これのG(続編?)が出るそうなので。どうせ買うならそっちかなとw
でも、その前にPS3買わないとならないんだった…^^;
http://www.capcom.co.jp/monsterhunter/pokapoka_airu/top.html
……いかん。紹介ページ見るだけで、魂が引っこ抜かれそうだ……
いやー、成長早いのは、プロットの…進行の関係です^^;
あまり回数がないので、長引くと大変になっちゃうので。
本当は、3ヶ月くらい連載して成長を書ければ説得力も出るんですが、そうもいかないのでね(笑)
でも、うだうだ長く悩んでるより、ぱっと切り替えて次に行くのも、読んでいて気持ちが良いのではw
お楽しみにしてくださって嬉しいです^^
でも、あとちょっとで連載終わって、またイカズチさんにバトンタッチです。
それまで、どうぞお付き合いくださいませ~。
楽しいデコボココンビに・・・なれるかな?頑張れユッカさん!
たった一度の実践、時間にしても数日のことなのに、別人みたいに成長しましたね。
気がついたら”ユッカちゃん”じゃなくなってます。
今回の後半にあるセリフ、きっとハンターに必要不可欠なものですよね。
ユッカさん、すごいポテンシャルを秘めていそうです。これからが楽しみ!
そうですね、お互いに守りあう関係っていいなと思います。
ランマルは悲しい過去のあるオトモ猫なので、ユッカとは幸せになってほしいですね^^
オトモって、初代が一番大事なところがあるんですね。
なかなか自分に振り向いてもらえないのは切ないけれど、なんとしても俺に振り向かせてやるぜハアハア、てな感じでしょうか。
なんだか、恋人にも近い関係に見えてきましたwww
守るべき物があると人って強くなりますよね
ユッカもランマルにご主人を失う悲しみを味あわせない為にも
強く成長して欲しいですね
やっぱりアイルー可愛いわぁ
昨日も相方からもらったアイルー レベルは20まで上げてあるですが
なつき度は2のままにしてあるので・・・・
未だに初代ご主人の相方を敬愛しておりまして
昨日も「初代だんな様溺愛コメント」を連発していたので相方に見せてあげると
嬉しかったようでかなりニヤついておりました≧▽≦♪
かーいーでしょ。俺もそう思います、あははwww
ランマルの名は、最初はオリジナルのつもりだったんですが、ネコバァのスカウトで偶然、同じ名前を発見しました。
色は黄色でこざかしい奴だったんですが、名前は性格問わずほぼランダムらしいので、そっちは見逃して「主人思い」が出るかと粘ったんですが、出ませんでしたww
なので、自分で色指定して、主人思いの爆弾のみ+大型優先をスカウトしました。名前は、自分でつけなおしましたww
あ、お察しの通り、森蘭丸から来ています。出身部族では一番の美青年猫、という裏設定があります(笑)
名づけたのは一番最初の主人、つまりミランダの夫です。スカウトされる前の名前もあります。
そうそう、アイルーのデフォルト名に、ピュアとファーがいますね。カプコンのイメージキャラみたいなキャラなんですが。しっかり遊び心があるあたり、さすがカプコンだと思いました^^
俺もニャンコ先生(いなかっぺじゃなくて、夏目の方)まじ欲しいです。
ところで『ランマル』と言う名前は蒼雪さんのオリジナルですか?
あまり猫ばぁのところで見かけないような。
もしオリジナルだとすると出典は信長の近習だった『森蘭丸』ですか?
にゃんこせんせーとおなじくらい、ほしい・・・・・