モンスターハンター 勇気の証明~三章 26
- カテゴリ:自作小説
- 2011/08/12 23:15:47
【長い夜】
「やああああっ!」
ミーラルが高くジンオウガめがけて跳躍し、大胆に斬りおろした。その斬撃の途中、ガツッと何かが砕ける。
――ガアア!
ジンオウガが苦痛に悶えた。額から生える二本の太い角のうち、一本の先が欠けている。ミーラルの剣が折ったのだ。
ばっとジンオウガは身をひるがえした。ここは敵わないと思ったのだろう。
「奴が逃げるぞ!」
剣を収め、ミーラルが怒鳴る。ランマルが、軽く首を横に振った。
「マーキングはまだ有効だニャ。一旦ここで、態勢を整えるニャ」
「……っ」
へなへなと、ユッカはその場にへたりこんだ。忘れていた震えが、また舞い戻ってくる。
「…大丈夫か、ユッカぁ」
グロムがやってきて、ユッカの傍に座った。能天気な声に救われて、ユッカは微笑んだ。
「うん、平気。お兄ちゃんこそ、大丈夫? どこか痛くない?」
「痛えことは痛えけど。まだやれるって。心配すんな」
「…うん」
「無理するな。今のうち、薬を飲んでおけ」
ミーラルもランマルとともにやってきて、近くに座った。ああ、と、武器を研いでいたグロムは、薬を飲むため兜を脱ぐ。
「先生も、疲れてるよね? ここは粉塵使おうよ」
「それはもったいないニャ。ここは、ボクが笛を吹くニャよ」
ユッカが自分のポーチを開けようとすると、ランマルが小さな角笛を取りだした。
「お、助かる~!」
「しっ、静かにしろ!」
グロムが声をあげたところを、ミーラルがすかさずたしなめる。
ランマルは意識を集中させ、かわいらしいステップを踏みながら、軽やかに短い旋律を吹いた。するとたちまち、バテていたユッカ達の体力が回復する。
この原理については、未だ明らかでない部分が多い。独特の旋律に、気の巡りを高め、疲労を取る作用があることは知られているが。
「…さて、追撃といきますか」
武器を研ぎ終えたグロムが、立ち上がって兜を被った。
「ああ。今の私達なら、十分に勝てる。奴が体力を回復する前に、急いで追いつこう」
「…うん」
ミーラルも腰を上げ、ユッカもそれに続いた。が、二人とランマルが先に走りだしたのに、ユッカは動かなかった。
「…どうした? ははあ、まさか今になって、怖気づいたのか?」
グロムが戻って来て、うつむいたユッカの顔をのぞきこむ。違うよ、とユッカはかぶりを振った。
「…ユッカちゃん?」
ミーラルも心配そうにこちらを見ている。ツンと澄ました顔でいるのは、ランマルだけだ。
「…また、ユッカの悪い癖が出たニャ」
トコトコと二本足で歩み寄ると、ランマルは、澄んだ青い瞳でユッカを見上げた。
「…今、ユッカが何を考えてるか、ボクにはお見通しだニャ。…でも、これからすぐに、そんなこと考えてる暇はなくなるニャよ」
「先生…」
「…ぼーっとしてたら、死んじゃうニャ。死にたくなかったら、何も考えずに戦うニャ」
「…うん」
ランマルの目を見つめ返し、ユッカはうなずいた。
角が折れて苦しげな声をあげたジンオウガを見た時、思わず思ってしまったのだ。
かわいそうだ、と。
「…でも、そう思えるってことは、ユッカに余裕がある証拠だニャ。本当にギリギリの戦いの時は、そんな甘いこと考えられないニャ」
「…奴は手負いになった。今度は、死に物狂いで襲ってくるぞ」
ユッカの考えを見通したように、真面目な顔でミーラルが言った。
「だな。油断は禁物だ。――さあ、そろそろ行こうぜ。マーキングが切れちまう」
グロムが言い、先に走りだした。ミーラルも、長い髪をひるがえして続く。
「…ユッカ」
「わかってる」
ランマルがユッカを見る。ユッカはぎゅっと胸の前で拳を握り締めると、すぐに二人の後を追った。
大きな滝があるエリアに、ジンオウガはいた。ユッカが、初めて彼と遭遇し、ミランダ達と出会った場所だ。
滝の裏には広い洞窟があり、そこにはリオレイアが巣を作っているが、今は留守らしい。森のどこかに身を潜めているであろう闇の暗殺者ナルガクルガも、この戦いに首を突っ込む気配はないようだ。
ジンオウガは、孤高だった。川の真ん中に四本の足を踏ん張り、ユッカ達が縄張りに踏み込むと、喉の奥で低く唸った。
「帯電しようとしているニャ! チャージをキャンセルさせるニャ、急ぐニャ!」
身をしならせて天を仰いだジンオウガを見て、ランマルが叫んだ。ユッカが矢をつがえ、ミーラルとグロムが敵に向かって走る。
「でりゃあ!」
「はあっ!」
「――ふっ!」
ミーラルとグロムの剣が雷狼竜の体躯を斬りつけ、ユッカの矢が散弾となって全身を撃っても、その雄たけびは止まらなかった。
――オオーーーン!
「しまっ…!」
「間に合わない!」
三度目に高々と遠吠えた時、グロムとミーラルが焦ったように叫ぶ。
「お兄ちゃん! ミーラルさん!」
ユッカは悲鳴を上げた。ジンオウガが全身から雷撃を放ったのだ。
さすが、そのあたりお詳しいですね!^^
俺が思うには、モンハンのスタッフは、もっと原始的に考えて設定したんだと思いました。
マンモスを追い掛けていた時代、当時の人も真っ先に足を狙ったでしょうし。
モンハンやって、最初に感じた感想が、「原始時代だ~」でした(笑)
ギルドがモンスターの生態調査しているとか、資源も掘りすぎるとなくなる、という設定がありますが、空に浮かぶ満点の星とか、豊富な野生の生き物を見ていると、資源の枯渇なんて想像がつかないですね。
メール確認しました。
大変期待できる内容でした~^^
俺が口出すところもないですね。早く読みたいですw
銃では『ガンスミス・キャッツ』と言う漫画で「親指飛ばし」と言う技が出て来ます。
利き腕の親指をピンポイントで狙撃し、銃を握れなくするというもので、えげつないんですが。
即死させるのでは無く、相手の攻撃力を奪うというのは高度ではありますが理にかなった戦い方だと。
バトンタッチ前にストーリーを確認しましょう。
メール出させて頂きますね。
お褒め頂きありがとうございます^^
やはり、詳しい所書かないと、説得力出ませんからねえ。と、偉そうなこと言ってますが、実はそんなに勉強してないんですよ^^;
四肢を狙うといい、とか言うのは、実際にゲームで有効な手段だからです。足狙うと、その部分のダメージ値が蓄積されて、転びやすくなるんですよ。その分、こちらのチャンスも得られるわけです。リアルに出来てます。
ゲームだけの知識ではいけませんね。もっと俺も勉強しないと^^;
戦いは経験が物を言いますからね~。
ランマルが司令官になるのも、無理はないかと。無邪気なペット的キャラも考えたんですが、性格的にこうなりました。ゲームのオトモは、ここまで役に立たないけど…おっとw
超帯電のキャンセルって、難しいですよね。それこそ、会心攻撃が弱点にクリーンヒットするくらいじゃないと。
帯電されると、ブルーになりますよね…。で、なんとかチャージを解除しないとならないんで、攻撃を喰らいながら攻撃を当てるしかない。…っていう展開になります。ゲームでの実戦が活かされてますww
あと5~多くても6回以内には、なんとか終わらせますので。
続き、どうぞよろしくお願いします^^
…ちょっと思ったんですけど、ランマル居ないとこのパーティー絶対苦戦してますよ。www
オトモなのに完全に師匠。やっぱりファティマに近い。www
ファイブスターストーリーズでも、ファティマの経験に助けられてる騎士多いし。
戦場では情報を制した者が勝つってよく言われるけど、ホントにその通りですねぇ。
こういう部分がさらっと書かれてあるのを見ると、ああ、やっぱり男の人の書いた小説だ~って
思いますねぇ。面白い!^^
女の人の(特に若い人)の書くアクション小説って、こういう戦闘の原理的な部分を分かって
ないで書いてる人が多いんですよ~。
細かい事だけど、攻撃はまず四肢を狙って敵の動きを止めるのが最優先とか。
剣を持ってる敵の攻撃を無効化するなら、親指の付け根を切れとか。(剣が握れなくなる)
作品読むと、作者の性別ってすぐに分かっちゃうもんなんですよねぇ。
やっぱりこういう地味な部分は興味湧かないんでしょうね、女の人は。
ま、普通の女の人は、サバイバルの本とか戦術の本なんて読まないから。www
前のコメで心配した事が。
ジンオウガの超帯電(電撃)キャンセルは、ある種、賭けみたいなモンですから。
チャンスは大きいんですがね~。
うひゃあ、あと5回ですか。
準備しないと。
あとちょっと…あと5回以内に終わらせるぞ~。