虫族 1
- カテゴリ:自作小説
- 2011/09/09 00:52:26
五器教授とその助手のコミコは空港へ向かうバスに乗っていた
「虫族ってどんな一族なんでしょうね」
コミコが教授に聞いた
「こんな感じかな」
教授はメモ用紙にカブト虫を書き、それに顔と手足をつけセンスの無い服を着せた
「マンガのようですね」
「そうかな」
教授は寄生昆虫によって、外見も昆虫化した人間を想像していた
昆虫とほ乳類では無脊椎動物と脊椎動物、つまり骨が体内に有るか無いかの決定的違いがあった
昆虫が立って歩くことは、体の構造上不可能のことであったのだ
『ほ乳類に寄生した昆虫により、細胞レベルで共生が行われたなら』
教授は自分の書いた論文を思いだしていた
「私、虫族のゴミ虫さんから絵葉書もらったの。その絵葉書を見たらなんだかそわそわした感じになっちゃた」
コミコはバスのシートにお尻を擦りつけるように左右に振った
「コミコ君はなんだか遠足に行く子供みたいだな」
教授は楽しそうにはしゃぐコミコを見てそういった
昆虫のメスはオスを呼ぶためにフェロモンという物質を体から出す
オスはそれを嗅ぎ付けメスの居所を捜しあてるのだ
人間にもフェロモンを感じる器官が鼻にあったが退化してしまっていた
絵葉書にメスを興奮させるフェロモンが塗ってあることにコミコは気が付いていなかった
コミコの器官は敏感にそれを嗅ぎ付け、体はホルモンの分泌を促す反応していたが、コミコ本人はそれを意識することなく、ただ自然にそわそわするだけだった
教授はそんなコミコをよそに目を閉じた
昨夜の疲れが残っていたのだ
ベッドでのコミコの乱れようは久しぶりだった
コミコのあまりの激しさに教授は体力を使いきっていた
「まだ先は長いわよ」
コミコはつまらなそうにバスの窓の外の景色を眺めた
























