モンスターハンター 勇気の証明~五章 02
- カテゴリ:自作小説
- 2011/09/14 15:54:50
【酒場での再会】
「おかえり。どうやら、無事に狩れたようだね。お疲れ様」
「はいっ。ただ今戻りました!」
背に弓を背負ったユッカが、ミランダのいるカウンターまで小走りに寄って来た。その後を、武装したままのグロムとランマル、それにケマリがついて来る。
ケマリは、もともとミーラルの父のオトモアイルーだったが、今はこうしてグロムについて旅をすることが多い。
「あれ、あんた達、ミーラルとショウコは? 行く時一緒じゃなかったっけ?」
ユッカ達のために飲み物を用意しながら、ミランダが首をかしげた。
「あはは……。ちょっと、ミーラルさんとお兄ちゃん、ケンカしちゃってて」
「あいつ、最近わけわかんねーんだよ」
どっかとカウンターの椅子に腰かけ、グロムはぐるりと首を回して肩こりをほぐそうとした。
「なんか妙に俺の方じっとガン飛ばすかと思えば、フロギィシリーズとナルガシリーズ、どっちの防具がいい? って顔真っ赤にして尋ねて来てさ。んなもんスキルで決めろよって言ったら、思い切り顔殴りやがるの。グーでだぞ、グーで? 狩り前の大事な身体に何してくれるんだよ、ったく……」
と、旅に出る前に殴られた右頬が今も痛むといわんばかりに、グロムはこれみよがしに頬をさすった。
「ああ……そういうことね」
「……そういうことです」
訳知り顔でミランダがうなずき、呆れたように弱々しくユッカが笑う。グロムだけが、何も知らない様子だ。まだ唇をとがらせている。
「だから、俺しばらく、ミーラルとはコンビ解消してんの。調子狂うんだよ、今のあいつといるとさ」
「へえ~、どんな?」
にやにやしてミランダが促す。グロムは「どうもこうもねえよ」とぶっきらぼうに言った。
「頼んでないのに、ちょっと俺が転んだだけで生命の粉塵使おうとするし。もったいないからやめろって言うとすげー怒るし。それで集中力欠いて、ミス連発。これならユッカと組んだ方がましだっての」
「ましって何よ~!」
「まあまあ」
ここ数回のクエストで、二人で強大なモンスターを狩れたのは、ユッカのサポートあってのことだ。さすがにユッカが食ってかかると、ミランダが苦笑して二人をなだめた。
「ミーラルも思う所があるんだろう。そうだね、今はそっとしといておやり。お互い、やりやすいようにやればいいさ」
ミランダは冷たいジュースを作ると、グロム達の前に置いた。それを潮に、うつむき加減に黙っていた教官が席を立つ。
「女将、ツケで頼む」
「ちょいと待ちな」
さっきまでの和やかな表情が一変し、冷やかな目で、ミランダはそそくさと帰ろうとする教官を呼びとめた。
「あんた、今夜もタダ食いタダ飲みかい? 先月と合わせて、もう5千ゼニ―もツケが溜まってるんだよ。いい加減払ってくれないと、こっちも商売あがったりでねぇ」
「そ、それはいずれ出世払いで……」
「あれ、教官じゃん。なんでここにいんの?」
肩をすくめた教官に、いまさらながらにグロムが気づいて目を丸くした。さすがに気分を害して、教官は肩を怒らせる。
「貴様! 気づくの遅いだろうが! 一体誰のおかげで今のお前があると思ってる!」
「俺、別にあんたに教わった覚えねーし……」
「きょ、教官! お久しぶりです!」
ユッカが慌てて頭を下げる。いかめしかった教官の相好が崩れた。
「おお、ユッカではないか。貴様は我輩が教えた中で、一番素直で聞きわけが良かったな。ハンターとしての実力も評判も上々のようで、我輩も鼻が高い! わはは!」
やむをえずと言いながらも、後進を育て教えることは性分らしい。満足げに笑った彼の目が、ユッカの後ろに控えているランマルを捉えた途端、驚きに見開かれた。
「おおっ、お前は! ミルク! ミルクではないか! アイルーの村以来だな。久しぶりだなあ!」
「ニャ! そ、その名前は~!」
ランマルのシッポが、ビン! と直立する。ユッカは不思議そうにランマルを見た。
「ミルク? 先生、元の名前はミルクっていうの?」
「ああ。ランマルは、あたしの旦那が付けた名前さ」
ミランダがうなずく。オトモアイルーは、主人となる人間に仕える時、彼らから新たな名前をもらうことができる。アイルーはそれを絆と誇りにして、一生大切にするのだ。
「ほほう、今はランマルというのか。良い名前だ、ミルク! レウス装備も決まってるぞ、ミルク! 相変わらず白いな、ミルク!」
「しつこいニャ! なんの嫌がらせだニャー!」
「ランマルさん、ちょっと静かにしてくださいニャ。ミランダさんが作ったジュースがまずくなりますニャ」
カウンターに落ち着き、まるで茶でもすするように両手でジュースを飲むケマリに、ランマルが牙を見せる。
「ケマリ! お前はちょっと落ち着きすぎだニャ! 狩りの最中もさぼるし、今回も全然役に立ってなかったニャ!」
「だってボク、元々グロムさんのオトモじゃないし~ですニャ」
網ですねwww
フロギィ装備は、西部劇スタイル。こちらも、露出が高いですがおしゃれです。
防具というより、普通におしゃれ装備。ミーラルの複雑な乙女心が現れていると思いませんか?^^
おお、よかったです。イカズチさんの中で「ケマリはこんなふう」ってイメージがあったらどうしようと思ってました。ちょっと生意気に書きましたが、問題ないようでほっとしましたw
ランマルの本名「ミルク」は、前から考えてました。
このギャグに使おうと思って、一番かわいい名前にしてみましたww受けて良かったです(笑)w
傑作とは褒めすぎですよwwwありがとうございます^^
ストーリーは、ほんと出たとこ勝負なので、破たんが心配ですが、なんとかなるでしょう。
教官、書いていて楽しいです^^
いえいえ、全然おっけ~です。
むしろ前章で大怪我をしたケマリのその後を書き忘れたので、逆に感謝と言いますか……情けな。
ミ、『ミルク』!?
ぶわぁっははは……。
ランマルはずっとクールなイメージでしたので、このギャップが。
また、教官が入った事で、より各キャラが生き生きと動き出してますね。
この章は『コメディ』的にも、『ストーリー』的にも、傑作になると同時に波乱の予感がします。
どうしてもダメな部分がありましたら、ご指摘ください。修正いたしますので。
よろしくお願いします。