「あのね、私、夢があるんだ」

とても、懐かしい、この声。

「どんな夢だ？」

「それは―…」


夢

俺が高校に入ってもう2年になる。いわゆる高校2年生。

もう高校生活には慣れ、勉強も順調だった。

そんな平凡な毎日を過ごしてきた俺だが、ある日、とても懐かしい夢を見たんだ。

―――――――――――――――――

それはまだ俺が小学6年のときだった。

その時、俺には女子の幼馴染がいた。

「拓人!帰ろう!」

そいつの名は蘢鵜(るう)。

いつも元気で、いつも笑顔を絶やさず、皆からも人気があった奴だった。

「あぁ、」

俺がいつも素っ気なく返事をしても、構わず一緒に居てくれた。

いつの間にか、何をやるにも蘢鵜と一緒だった。

「拓人!これ手伝って!」

「蘢鵜!あれやろうぜ!」


「拓人のばか!サイテーッ!」

「お、俺は悪くないっ!」


「拓人、次はおにごっこしよう!」

「ぜってー捕まえてやる!」


「蘢鵜、大丈夫か?」

「だ、大丈夫だもん!足に怪我したって、どうってことない!」


毎日のように声を掛け合い、毎日一緒だった。

遊ぶのも、喧嘩も。

周りからは兄妹と呼ばれたりしていた。

でも、ある日…

いつも通りブランコで遊んでた。

どっちが高くできるか、という勝負をしていた。

「俺の方が高いな!」

「えー!私の方が高いよ!」

いつも通りの言い合い。

「ﾁｪ､これじゃ決着つかないから明日にしようぜ」

ﾋｮｲ､とブランコから上手く飛び降りた。

「そうだね、絶対私が勝つ!」

そういって蘢鵜が飛び降りた。

すると…

「っ!?!?」

「蘢鵜!?」

蘢鵜がバランスを崩し、そのまま落ちた。

出血がひどすぎたからなのか、意識を失った蘢鵜。

「蘢鵜!起きろ!」

その時、俺は物凄く必死だった。

毎日いた友達がいなくなるのが怖かったから。

死んじゃうんじゃないかとおもったから。

数日後。

俺は蘢鵜が入院したという病院に行った。

ｶﾞﾗｯと病室のドアを開けると、そこには頭のところや腕のところになど、色々なところにｸﾞﾙｸﾞﾙと巻きつけてある包帯、目のところには眼帯をつけて寝ている蘢鵜がいた。

「蘢鵜!」

喜んでかけよると、首だけこちらに向け、蘢鵜は微笑んだ。

「拓人、久しぶり」

「ﾊﾊｯ､そうだな!」

その後、他愛ない話をした。

話題がなくなり、沈黙が流れた。

「…；」

「ねぇ、拓人、私ね、夢があるの」

静かに俺に言った。

「夢？」

夢があるなんて初めて聞いた。

「実は…うっ、ｹﾞﾎｯ」

突然咳をこみ、口元を抑える。

抑えた手をみると、真っ赤な血が付いていた。

「蘢、蘢鵜!!」

「ｹﾞﾎｯ!!ｹﾞﾎｯ…!!」

「だ、誰か…看護師さん!」

急いで看護師さん達を呼び、蘢鵜を見てもらった。

蘢鵜の親と先生が部屋に入っていったのをみた俺は、すぐ追いかけた。

盗み聞きをしてしまったんだ。

「先生、蘢鵜は…」

「蘢鵜ちゃんは、落ちた時に胸辺りを変に強く打ってしまい、肺がおかしくなっています。このまま行くと、蘢鵜ちゃんは息ができなくなって…」

「そ、そんな!先生!何か方法は…!!!?」

「…」

「蘢、蘢鵜…!!」

そんな…

蘢鵜が死んじゃう?そんなのありえない。

だって蘢鵜は俺の大事な友達で、俺の大事な親友で…

「う、うわああああ!!」

「!?拓人君!?」

叫びながら俺は病院を出た。

いやだ、怖い。

蘢鵜がいなくなるのが凄く怖い。

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

「拓人」

毎日聞いていたあの声も、毎日見ていたあの笑顔ももう見れなくなる？

嫌だ、いやだいやだ!!

俺はずっと、自分の部屋に閉じこもった。

数週間後、

「拓人…」

「何、母さん」

「蘢鵜ちゃんね…」

死んじゃったらしいのよ…

「っ!?!?!?!?!?」

怖い

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お葬式なども全部終わり、何ヶ月かたった。

「蘢鵜」

お墓の前で、呼ぶ。

「蘢鵜…うわあああああああ!」

…―

……………………………………………………

そして今に至る。

久しぶりに来てみた。

「蘢鵜、お前の夢は…―」

その時、ゴウ、と強い風が俺を包み込んだ。









ｆin...








カオスすぎて泣けますね、すいません

主人公の男の子の名前、どっかで聴いたことある?ﾊﾊｯ、気のせいだよ((

よかったらコメください(´ﾟωﾟ)ｔｙ