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脱原発が陥りがちな罠にご注意を! 宮台真司

7月21日 明大シンポでの宮台アピールの文字起しより一部転載
http://www.miyadai.com/index.php?itemid=947

■ 社会学者の宮台真司と申します。こんにちは。初めまして。国際ジャーナリストの神保哲生さんと一緒に11年前からインターネットの動画配信のニュース解説番組をやっておりまして、10年ほど前から折にふれて原子力発電の政策的合理性について議論をいたしております。
■僕がお話したいのは技術的合理性の問題とは別で、「原子力発電に技術的・経済的な合理性がないと証明されても、日本は原発を止められないが、その理由は何処にあるのか」です。2004年に六ヶ所村再処理事業の経済コストを問題視する議論が櫻井よし子さんや猪瀬直樹さんなど保守論壇で提起されて、無視されました。
■彼らは経済的合理性がないので六ヶ所村の再稼働をやめろ、もっと言えば核燃料サイクル事業は放棄しろ、という議論をしました。経産省でもこの方向で動く「市場主義派」の勢力がありましたが、残念ながらギリギリの段階で人事的に覆され、六ヶ所村再処理事業放棄という、当時は経産省の主流だった流れが頓挫したのです。
■それ以前から原発のコスト的・リスク的・環境的な合理性の議論がなされています。リスク的合理性については社会学者ウルリヒ・ベックがチェルノブイリ原発事故の1986年に出版した『危険社会』に書かれている。原発事故や遺伝子組換作物の花粉が開放系に放出されるリスクは、19世紀的リスクとは違うというのです。
■19世紀的リスクは保険を作れることに象徴される。つまり予測可能で計測可能で収拾可能です。事象の利得に生起確率をかけて全事象を合計すれば行動合理性を算定でき、ゆえに保険料も算定できます。ところが20世紀後半以降の予測不能で計測不能で収拾不能な新種のリスクの場合、妥当な保険が作れません。
■現行の原子力損害賠償法では原発一機当たりの保険は上限1200億円で、天災免責があります。これを「保険金支払上限なし」つまり青天井で、なおかつ「免責事項なし」にしたらどうなるか。フランスで試算がありますが、大きな事故がないフランスでも電気料金は3倍以上になります。
■日本は過去10年に限って事故だらけ。電源に占める原発シェアが3割ですが(フランスは8割)、電気料金の跳ね上がりは3倍ではすまないでしょう。こうしたリスクがまともに保険化されておらず、保険料として電気料金に上乗せされていないということは、原発のコストがちゃんと議論されていないことと同じです。
■コストについては、六ヶ所村再処理の議論の際、政府系の委員会が現有放射性廃棄物の再処理コストを算定したところ18.8兆円になりました。これは電気料金に算入されていますが、おかげで日本の産業用電気料金はアメリカに比べて5倍です。これで日本企業の資本流出が起きないのは奇跡だと言えましょう。
■日本の電気料金は総括原価方式といって、全コストに3%の利益を上乗せしたものを料金として請求する。これではコスト削減で利益も圧縮されるから、コスト削減動機が働かない。この方式を前提に東電は損害賠償コストを電気料金に乗せようとしています。狂気の沙汰です。資本流出による産業空洞化は間違いありません。
■これら出鱈目に取り囲まれる形で、原発の「絶対安全神話」が流布されてきました。要因の一つは1974年に田中角栄内閣の下で作られた「電源3法」の、とりわけ「エネルギー開発促進法」です。それによって、原子力発電所を立地させた村や町には、沢山の一般会計や特別会計からの補助金が出ることになったわけです。
■貧しい過疎自治体では、原発の安全性についての議論を全くしないまま、お金が貰えるからという理由で立地を決めます。こうして「原発とともに生きる生活」が始まる。すると反対世論が聞こえてくるので、「俺たちの日常にケチつけんのか」みたいな話になり、かくて賛成派と反対派に真二つに分かれた挙句、誹謗中傷の嵐。
■原発立地のために一般会計と特別会計からこれまでに支出されてきた総額は6兆円。これは原発コストに算入されていません。さらに先ほど申し上げた再処理コスト19兆円弱は、算定根拠が甘く、現有放射線廃棄物の再処理に実際どれだけのコストになるのか実はよく分かっていないのです。
■なぜなら核燃再処理システムが全く回っていないからです。核燃サイクルの最終処分は高速増殖炉です。プルトニュムを増やしながら原発を運転する。ところが高速増殖炉「もんじゅ」は16年間止まったまま。六ヶ所村の使用済核燃料は満杯。だから福島第一原発にも浜岡原発にも、水に浸けた使用済核燃料が大量にある。

転載ここまで

宮台氏が繰り返し述べていることなので重複している部分はありますが
だからこそ重要だと思います。
ぜひリンク先で全文をお読みください。

#日記広場:ニュース

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2011/09/21 11:38
リンク先で読んできました。

このような記事、たくさんの人達に読んで欲しいですよね。
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2011/09/21 07:41
これって我々の税金です。
年間4000億の電源開発促進税で電気代を使った分に誰でもかかってます。
1kWあたり0.4円なので請求書で見ると面白いです。←誰でもかなり毟り取られてます
この税金は37年も続いていて、この税金は原発の促進以外には使えません。
言われませんが、原発の燃料のウランは地球上では希少な石です。←いずれ早い時期に枯渇です
後処理や地方への補助のコストを原発のコストにいれなずに考えても
このウランだけで原発の燃料はコストがものすごく高いんです。
こんなにコストの高い燃料を使い続けているコトはただの税金の無駄遣いス~
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2011/09/20 23:57
お金に、、呪われているんですね。。

ミヒャエルエンデも、、モモ、、、思い出しました。。

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2011/09/20 22:45
少なくとも、事故の起こる前の福島県大熊町は、原発を宝物のように扱っていました。
あの水色の建物をまるで神聖視するかのようでした。

あれが表向き健全であった時は過疎とは無縁であったのです。

メッキが剥がれた今は、全てを清算すべきでしょう。
そのうえで選択できる余地があるなら、それを許すなら。使えばいい。

何もなしで、動かそうというのがおかしいのだ。
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2011/09/20 20:57
■貧しい過疎自治体では、原発の安全性についての議論を全くしないまま、お金が貰えるからという理由で立地を決めます。
こうして「原発とともに生きる生活」が始まる。
すると反対世論が聞こえてくるので、「俺たちの日常にケチつけんのか」みたいな話になり、
かくて賛成派と反対派に真二つに分かれた挙句、誹謗中傷の嵐。

ヨウ素131を吸い込んだな・・・。
http://www.sanspo.com/geino/news/110831/gnj1108310504004-n1.htm
http://livedoor.2.blogimg.jp/dqnplus/imgs/6/5/65dae51d.jpg

「浜岡原発を引きこんだ人物」
http://p.tl/AjXd
最近の、関係ありそうな記事
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110917-OYT1T00929.htm
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110920-OYT1T01008.htm



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