Nicotto Town ニコッとタウン

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月の雫のティールーム9 ~嘆きの妖精譚~

 全てを語り終えた少女は、ごめんね。と微笑って、泣いた。
「ごめんね。今だけの、蒼い魔法の花。だけどそれはわたしにはかからなくて、意味が無くて、……ごめんね。ただのやつあたり。この花にも、この『島』のヒトにも、関係無い事なのにね」
 微笑みながら涙を零す姿は、泣きじゃくるよりずっと辛そうで、苦しそうで。そのまま砕けて消えてしまいそうで、ニコは何も言えずに彼女を見つめ続けた。
 ――否。
 "そうで"、では、なかった。呆然と立ち尽くすニコの目の前で、少女の姿が不規則に揺らぐ。褐色の肌が夜に溶け込むように輪郭を薄くし、はっと目覚めるように戻り、けれどまた透けて。明滅するようなその様子は、何処かモールス信号を思わせた。まるで救いを求めるように。或いは、別れの言葉のように。
「え、え、なに? どうしたの、どうなっちゃうの?!」
「あぁ――」
 深く深く、吐息のように漏れ出た声には、理解と諦めの色があった。
「そういう、事なの……。わたしたちは、電子の住人。電子の海をたゆたって、いつの頃からか此処に居て――そして、此処に居る意味を失った時、"此処に居る自分を見失った"時、」
 ふらふらと、繰り糸を引かれたように、彼女は両腕を虚空に翳す。危うげに明滅を繰り返し、不吉に焦燥感を煽るその躰。
「――わたしたちは、消えるんだわ。ゼロとイチに還元されて、果て無き電子の闇の底へ……」
 居ない、と一言誰かが言う度、一人消えてしまうのだという妖精のように。

「ま――待ってよ! 消えちゃだめだよ!」
 怯えの覗く必死の声で、ニコが叫んだ。
「『誰か』に逢ったら、って、思ってたんでしょう? ニコに逢ったよ! ここに居ようよ!」
「ありがとう、でも――」
「それか! それか、そう、まだ間に合うよ。蒼いホタルも蒼い花火も、ここにあるもの」
 必死で。考えるより先に溢れ出た言葉に、ニコは自分ではっとした。
「そうだよ。魔法を、かけよう? そしたら、ヒトにも見えるようになるんでしょう? "そのヒト"はもう来ないんだとしても、新しい誰かと仲良くなれるよ。淋しくないよ」
「ニコ。魔法は、かけられない。ヒトがいなければ、陽炎のようなこの姿を見とめて、名前を呼んでくれる誰かがいなければ、」
「アイルがいるよ!」
 諦めに満ちた声を遮って、ニコは二色(ふたいろ)の瞳をじっと見つめる。迷いを映し出すような揺らめく躰に、小さな白い手が差し伸べられた。
「わたしも、いるよ。だから、ねぇ、まだ。諦めないでよ」



 * * * * *
いまだに花火とか言っててすみませんorz
そして今回でこのエピまとめるつもりが終わらなかった……!

文字制限に引っかかったので、サブタイは『妖精譚(フェアリーテイル)』と読んでください^^;

#日記広場:自作小説

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2011/09/27 21:09
>アオイさん 
一気に終わるつもりが、上手くまとまらない&この時点で1000文字↑で入りきらないっぽかったので切っちゃいました;
次こそ終わりまで行きたい……!

アオイさんもいる!w 心強い味方ですね~!
『彼女』がアオイさんの島に行くのも楽しそう……と考えちゃいましたw
ありがとうございます~!
アバター
2011/09/27 10:35
切ないところで…終わってる…っ
と、パソコン前で相変わらずもがぁ~!となっている私です(笑)
諦めないで~!と叫びそうになっている人がここにもいるから!だからあきらめないで~!
と、そんな感じです!!
大丈夫、アオイさんもいるから!←

続きを楽しみにしています!それでは!!




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