モンスターハンター 勇気の証明~五章 14
- カテゴリ:自作小説
- 2011/10/05 11:24:34
【極秘任務】
「ギルドナイト直々とは、恐れ入る。――これ、貴様らも頭を下げんか!」
教官が居住まいを正して、自分より年若い男に礼をする。ユッカ達は叱られて初めて、この青年が相当な地位のものだと気がつき、慌てて腰を折った。
「す、すみません。つか、そんなに偉いんすか、ギルドナイトって」
疑問は口に出さずにはいられないらしい。グロムが教官に尋ねると、当の本人――ロジャーが気さくに笑った。白い歯が眩しい。
「そうかしこまらずとも良いです。ギルドナイトは、確かに一般のハンターより特別な位置にあります。このように指揮を取ることもある立ち場ですが、わたくしはそれを誇示するつもりでここにいるのではありませんので」
「へええ~。……ん? ユッカちゃん、もしかしてこういう人が好みなの?」
「えっ?――そ、そういうんじゃ……」
ミーラルに指摘され、ユッカは飛び上って驚いた。顔が真っ赤だ。ロジャーはユッカに向けて微笑んだ。
「ありがとう。制服がかっこいいからね。街の少年達も、この制服は大好きなんだよ。僕もそれに憧れて目指したようなものだから」
「夢をかなえたんですね。素敵です」
ユッカが目を潤ませる。ロジャーは、ちょっと苦笑してみせた。
「まあ、かなったらかなったで大変だよ。いろいろ責任もあるしね……おっと。それでは、説明を始めます」
ロジャーは、全員に席に着くように言うと、自分は教壇のような所に立って、黒板にすらすらと、街と標的の位置を書き始めた。
「貴方達もご存じの通り、今回の標的はジエン・モーランです。観測隊の報告によると、今年はおよそ十頭あまりのジエンの群れがこの街にめがけて泳いできます。街は恒例の峯山龍祭りを催し、各地から集まったハンター達が、これを狩る手はずになっています」
一同が真面目に聞いているのを確かめると、ロジャーは話を続けた。
「ギルドでは、街に被害を及ぼすと見られる数頭を一般ハンターに撃退させ、貴方達には、回遊する群れのリーダーを討伐していただきます。ここまではよろしいですか」
「え? それって、一番難しい奴を倒せってことかよ? リーダーって強いんだろ?」
グロムが険しい顔をした。傍らのミーラルが、やや厳しい顔でうなずく。
「あの、私達は今回、ランク6に上がるための試験としてここに派遣されて来たのですが。そんな高難度のクエストをやるなんて聞いていません」
ロジャーが事情を察したらしい。「どうぞ」と、教官に促した。自分で説明しろということだろう。教官はうなずき、立ち上がって皆を見渡した。
「……わざと隠していたわけではない。だが、本作戦には貴様らをと、ユクモ支部長の強い推薦があったのだ」
「あのお爺ちゃんが?」
「答えになってねーよ!」
ユッカが目を見張る。グロムが声を荒らげた。
「クエの扱いが他と違いすぎるだろ。そりゃ、俺達に死ねって言ってるようなもんじゃねーか!」
「グロム、落ちつけ!」
ミーラルが唾を飛ばすグロムを抑える。が、グロムは教官を睨むのをやめなかった。
「おい、なんとか言えよ! なんでそんな危ないクエに俺達が出ないとならないんだ!」
教官は、しばし腕組みして目を閉じていた。が、やがておもむろに少年達を見る。
「かつて――貴様らの住むユクモ村に、一人の新人ハンターがいた……」
「……覚えているかい? かつてこの村に、一人の新人ハンターがやってきたことを」
旅立ちが決定する前。
ユクモ支部長は、グロム達の同行に反対する教官に、そう話し始めた。
「オトモアイルーと共にたった一人で数々の脅威から村を守り、ついには、あの天災アマツマガツチも倒してしまったね」
支部長の声に、懐かしむ響きがこもる。嵐とともにやってきて、後には破壊のみが残ると言う天を舞う竜、アマツマガツチ。それを極秘裏に討伐して村を救ったのは、その新人ハンターであった。
「――あれは、村の英雄だった。村長も、いつまでも村付きのハンターとして定住を願っていたね。しかし……」
「奴は去った……新たな天地を求めて。才能あるものは皆、そうでしょう」
ふいに降りたしんみりした沈黙を、支部長が乾いた笑いで打ち消した。
「まあ、才ある者という例えでね。グロム達も、まるであのハンターのようなきらめきがあると、アタシは見たんだよ」
「我輩は反対です。彼らはもとから村の子、それに今や村を守るハンターではないですか。相応の実績はあるとはいえ、無謀すぎます」
「そんなの、やってみなくちゃわからないだろう?」
にっと老人は不敵な笑みを浮かべた。このタヌキ、と教官が思ったかどうか。ぴくりと彼のこめかみが引きつる。
「アタシは、あの子らがきっとチミの助けになると信じている。どうだね、ここは一つ、彼らの才能を目覚めさせる手伝いをしてくれないか」
そうなんです。俺も始めたばかりの頃は気づきませんでしたが、動画など見るうちに、その街だとわかりました。闘技場の形(崩れた壁とか)が一緒でしたのでww
他にもこの世界では、大きな国がありますが、3rdの世界は、その大陸での出来事のようです。
作品ごとに大陸が違う感じですね。
参考にした動画
http://www.youtube.com/watch?v=qsh99-q4UqM
http://www.youtube.com/watch?v=p2Owxo8UVTs&feature=related
どっちもトライでした。いいなあ、トライ。ナバルデウスと戦ってみたいですw
ロックラックの休日、いいですね~。でも、俺では街の詳しい様子は、ほんとに想像でしか書けないので、トライをプレイしたことのあるイカズチさんにお任せしたいですw
面白い作品が期待できるのでは^^
まあ、この回でも、ちょこっと街の様子などを書きたせると思うのですが。
想像力だけで、言ったことのない土地を書ききるのも、物書きの腕の見せ所なんですけどね^^;
言い伝えのくだり、今度は分かって頂けてよかったです^^
「岩にぶつかって」という説明を忘れていたので、よけい分かりづらかったかと。
ただ湖にぶつかるだけじゃ、牙は折れないですよね^^;
はい、ロジャーは俺のオリジナルキャラです。突発的に考えて出しちゃいました。
理由は、先に述べた通り。本部長の容姿がわからないからですww
もちろん、使い回しおkです!
公的な場、仕事では「わたくし」と言い、とても礼儀正しいですが、いつもの自称は「僕」です。
ナイトの誇りは人一倍ですが、普段は気さくな普通の青年。ユッカと話している時の彼が、地です。
得意な武器は弓ですww
もちろん、金レイアを無傷で、短時間で捕獲できるほどの実力の持ち主。
(どうやっているんだろう…足狙いか?)
ちなみに、髪型や顔、声のイメージは…俺の使ってるキャラそのまんまだったりします。少なからず、俺の憧れみたいなものが入ってしまいました。www
参考にしてくだされば幸いです、あはは(=´▽`)ゞ
グロムの性格、イメージとたがわず良かったです。
このくらい瞬発力があるキャラは、動かしやすくて助かってます。
この回で、ここまでグロムが反発するのにも理由があるのですが、それはまた次回。
急いで書きますね^^;
闘技場はロックラックにあったのですか! 今度、わたしもじぃーっと見てみます。
わたしもモンハンはMHP3からなので、ロックラックがどんな街なのか、興味があります。
動画を見ましたが、おもしろいですね。音楽にも異国情緒があって♫
先のコメントにも書いたとおり、全体を見れば「適当」ですけれど個人的にはもっと読みたいですし、イカズチさんももっと知りたい、蒼雪さんももっと書きたかった、と仰っている……。
いつか、番外掌編「ロックラックの休日(仮)」や「砂の都ロックラック ぶらり四人旅(仮)」が生まれたらすてきだな、と思いました。ああでも、画像や動画、時間も限られていますね。無理なことを言ってしまったならすみません。
「言い伝え」のところ、今度はよくわかりました。ありがとうございます。
『ロジャー』はオリジナル・キャラですか?
もしオリジナルならば私の章でも絡めたいのですが、大丈夫でしょうか。
グロムの性格は仰る通りミーハーです。
思慮が足りないと言うか、思った事が口を突いて出てしまう。
だけどミーラルには……と言った所ですかね。
教官の強さは、今でも尊敬し、憧れている気持ちもありますが、彼がミーラルとの良いシーンを見事にぶち壊したせいで、尊敬のパーセンテージがかなり下がりました。という感じです。
百年の恋も一瞬で冷める…的な^^;
わりとミーハーなグロムですが、ハンター目指した動機が「女にもてたい」だったので、こんな感じかなあと…。
人への印象って、一定にとどまらないですから。その時々で、相手への気持ちって変わると思います。
見方が変化するという方が正しいかな?
トゥさんのコメントへの補足でした。
一回に書ける長さ、いつも悩んでます。
文庫などで読むのと、これはまた違いますしね。ここで書くのは、新聞の毎日連載みたいなものですしね。
区切りがなかなか大変です。
それに、全体の雰囲気というのも確かにあります。今まで、わりとあっさりと話が進んでいたこともあり、
あまりここだけにのんびりした描写を連ねるのもなあ、と…。ページ配分ってやつですね。
ただ、分割して街の様子などを入れるつもりではあります。その方が、読む人も読みやすいものですし。
俺は小説にある説明文って、あんまり長いと読まないんですよ。めんどくさいから。書く方は楽しいんですがね。
なので、小分け方式で今後いろいろと書けたらなあと思ってます。あの人もまた出る予定です^^
ウィキ先生は面白いですよね~。俺も小説書くたびにお世話になってます。激しく同意する書き込みとか、楽しいですよねw
ロジャーこと、ギルドナイトのことは、詳しくはウィキの説明に基づいています。
ここでは単に偉い人、のように書いてますが、
前の回で「教官」職がすごく強い人という描写を入れたので、その教官が礼儀を示す相手はもっと強い特別な人なんだろうと思ってくれたら、書き手として成功です^^
ギルドナイトはただ強いだけじゃなくて、ウィキにありましたが、「無傷で対象を捕獲する実力」が求められるそうで。
俺も今日やってみたんですけど、これがすごく難しい!角とか、うっかりどこか壊してしまいます。
つまり、ナイトのスキルは、単に力押しで勝つのではない、高度な技術の持ち主の現れなんだろうなと、勝手に推測しております。
服はカッコいいですよね。これだけは男性キャラで良かったと思える、唯一の装備です(笑)
ところで…お二人から誰も指摘がなかったのですが、この回の後半で語られる新人ハンター、なんですが。
これは、今まさにゲームをやっている、プレイヤーの皆さんのこと…だったりします。
以前にも、村をアマツから救った大物ハンターがいたそうですが。(モミジィの旦那さん)
こういう仕掛けをやってみたかったんです、はははw
お褒め頂きありがとうございます。
ロックラックの描写については、気持ち的にはこの回も使って、皆が観光しているシーンも書きたかったんです。
しかし、wiiの3(トライ)をやったことがないため、街の内容を良く知らないんですよ。
描写は、ウィキ先生や画像や動画を、目を皿にしてじーっと見て、そこから書きました。
それと、ジエン狩りでの決戦ステージ。船がある方向に、街が見えます。こりゃ、ジエン止めないとやばいよね、という雰囲気ですよね。距離が結構近いですよねえ。
あ、mhp3でも、唯一ロックラックを見る事ができる場所がありましたね!
闘技場がそうです。あそこに行くと、飛行船が飛んでます。都会だな~とわかる数少ない場面。
前作やってる人にはなじみぶかいんでしょうね^^;
ご指摘の部分、読み手によってわかりずらいと気づき、慌てて修正いたしました。
街の中心に立つ、すごく大きな柱は、ジエン決戦ステージでも見えます。あれの由来は、ウィキで知って書いたんです。シンボルだそうで。
元のエピソードもなにも、言い伝えなので…真偽のほどはわかりません^^;
なので、「言い伝えでは」と、加筆いたしました。これでわかるかな?
デルクスなんかは、あれは…ハプルと同じ生態なんじゃないかなあ。
砂がエラにつまるから、あんなふうに飛び跳ねて暮らしているんでしょう。魚じゃなくて、魚竜種だそうです。
グロムは、わりと感情で動くような気がしたので、こうなりました。
というか、頭の中で勝手に彼らが動いた結果です^^;
まだ少年ですしね。第一章でもミーラルに「ちゃらい」と言われる彼ですから。その場その場で思った通りに行動する奴かと。原作者のイカズチさんからも注意がないので、こういう男なのでしょうw
トゥさんとまたアドパご一緒したいです^^
こちらの都合は空いてますので、いつでも書きこんでください!
モンハンwikiを見てたりすると時間の経つのを忘れますからねぇ。
ギルドバード(シリーズではギルドナイト)シリーズは確かにカッコイイですよね。
帽子に飾った羽根がなんとも程好くキザで『皆の憧れ』と言うのも頷けます。
その割りにスキルは『広域化』『捕獲』と支援系なのですが。
トゥさん、お時間が会いましたら、また狩りに行きましょうね。
蒼雪さんの掲示板への書き込み待ってます。
話の流れを切らずに世界を広げる描写が巧みで、脱帽します。
前の回で「内容が浅い」と仰っていましたけれど、町の説明は私も必要だったと思います。旅人の視点が好きなので、個人的には、もっと読みたかったくらいです。ロックラックに行ってみたい!
でも全体の雰囲気と照らし合わせれば、あれくらいが適当ですね。
ひとつだけ腑に落ちなかったところがあるのですが、
「実際、それはこの街の湖に激突して折れたジエンの牙らしいが」
この部分って基になったエピソードがあるのでしょうか? 湖に激突して牙が折れる、という状況がちょっとわかりませんでした。
余談ですが、デルクスなど砂の海に棲むモンスターは水中でも暮らしていけるのか、気になります。
教官とグロムの関係はおもしろいですね。
一緒に狩りに行った直後はミーラルも目に入らないくらい崇拝していたのに、道理に合わないと思えば声を荒げて抗議する。彼らが規律に従う軍人じゃなく、個々で考えて動くハンターだからこそなんだろうなぁ。
もっともグロムの場合、性格からくる反射的な行動といったほうが正確かもしれませんね。あはw
かれらはこれからどうなってしまうのでしょう。ドキドキと、楽しみにしています。